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2016年NYレポート3 中グレードマーケットの充実
欧米は中グレードマーケットが希薄といわれ、そこが日本との違いと言われ続けていました。例えば、NYの一人あたりGDPは$69,915とされ、東京の$43,664(DEMOGRAPHIA社2016年データ)より、ぐっと高いですが、おしなべて高い理由でなく、所得格差があります。

それでも、中間層ニーズはあると思いますが、どちらかというとラグジュアリーブランドへのニーズが強いようです。プロパーではセカンドラインやでフュージョンラインですが、それでも高い。そのため、クリスマスセールやサンプルセールが爆発的に売れるのでしょう。さらに、現在のマンハッタンでは、ディスカウント型百貨店が幅をきかせています。ずっと成長してきたマーシャルやセンチュリー21に加え、ノードストロームやブルーミングデールズ、サックスなどもアウトレット型百貨店をマンハッタンに出店させています。

ジェイクルーやアンドアザーストーリーズなどの大手SPAなども頑張っていますが、ファッションはディスカウントによって中グレードマーケットが成り立っているようです。


H&Mグループのアザーストリーズはミッドタウンに出店

一方、外食はディスカウントという理由にいかず、マンハッタンではストリートフードやテイクアウト&イートインといった中食が中グレードマーケットを支えてきました。ここに新たな流れがでてきたようです。

日本の多くのメディアに紹介され始めていますが、グルメなフードコートが注目を集めているようです。グランドセントラルのフードコート(ちょっと小さいけど)、ユニオンスクエア近くのユニオンフェア(カフェテリアとシームレスレストランのハイブリット)、ミートパッキングのガンズボートマーケット(観光客向けですが)などです。また、フィナンシャルディストリクトのラグジュアリーモール、ブルックフィールドプレイスのフードホールもグレードアップしています。

そして、前回のブログで伝えたとおり、イートイン&デリもアンダー10ドルで、グルメ&ヘルシーなものが増えてきています。

この中グレード、中間層の背伸びもあるかと思いますが、アッパー層の節約、リーズナブル需要もあるように思います。外食費が、安く済む東京と比べると、「フードホールで2000円?」「イートインで1000円?」と驚きたくなりますが、NYにおいては、リーズナブルな外食ビジネスが充実しつつあるように思います。




ユニオンスクエア近くにできたフードコート、ユニオンフェア

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 2016/07/27 07:51  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

2016年NYレポート2 ヘルシー&スロー
NYの地元の客層を捉えているのはこのキーワードでしょう。健康のために時間をかける、そのようなライフスタイルを支える商業がぐっと増えています。この中心となるのは、アスレチックと食。アスレチックでは、その人気メニューもファッションのようにさまざまに移り変わり、それが大きな関心事に。ジム利用率が極端に低いとされる日本からするとピンときませんが、朝食を食べるのと同じようにジムに行くのだそうです。その言葉は嘘ではなく、NYの街を歩くとアスレチックウェアに身を包んだ人々を頻繁に目にします。

また、食もトレンドとされるものは、「ヘルシー&スロー」なものばかり、すっかりとNYに根付いた「WHOLE FOODS MARKET」や「TRADER JOES」の他、サラダの「Sweetgreen」、コールドプレスジュースの「JuicePress」、ギリシャヨーグルトの「Greecologies」、抹茶ドリンクの「Cha Cha Matcha」・・・。これらの特徴は、スローな「手作り」が基本となっていること。簡単に言ってしまうとスーパーであり、FFですが、産地や生産者がわかったり、目の前でつくってくれるもの。じっと待つのもの、贅沢な時間に思えるから、不思議です。


Greecologiesのギリシャヨーグルトは濃厚で1食代わりに



サラダのSweetGreenに並ぶトライベッカのビジネスマンたち


ファッションは、まさにアスレジャーがまだまだ健在です。火付け役である「lululemon」は、マンハッタン中に店舗網を増やし、そのバッグを下げている女性は、毎日数回は地下鉄でみます。「Nike」やスニーカーのチェーン店「Foot Locker」は女性業態をつくりアスレチック需要に対応。「Tory Burch」も「Tory Sports」という店を構えています。これらの動向を見る限り、ファッションとしての「アスレジャー」というより、地下鉄に乗れて、レストランにもいけるアスレチックウェアという感じです。ファッションからスポーツへのベクトルではなく、スポーツからファッションへのベクトルでしょう。好調要素の基本としては、機能性でしょうが、その上に街に映えるさりげなさと、見栄心に訴えられるさりげないアイコンも必要なようです。


マンハッタン中でよく見かけるルルレモンのロゴ


トリーバーチもアスレチックラインのショップを開発


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 2016/07/26 08:23  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

2016年NYレポート1 観光商業の上質化
NYメンズコレ取材&マーケットリサーチから帰ってまいりました。本日は、私が衣食住飲食の商業を視察して抽出した5つのキーワードについてお伝えしたいと思います。長文になるので、5つに分けて説明していていきます。まずは「観光商業の上質化」です。

2015年は5,830万人(うち1,230万人は海外からの観光客)が訪れた観光都市NY。しかも、6年連続で過去記録しています。街全体が観光地ともいえるNY。その規模はアップし、質も向上しています。東京の世田谷区程度の大きさしかないマンハッタンでは、キャパがオーバーし、お隣ブルックリンに観光商業が移っています。ミッドタウンよりダウンタウン、そしてブルックリンの方が上質な観光商業が多いようです。
ソーホーは商業センターとしての地位を確立。ヴィレッジもファッション商業は落ち着き、洒落た飲食中心となり、お洒落なエリアといわれたミートパッキングエリアは、もはやベタな観光地に成り下がっています。ウィリアムズバーグも目抜き通りのベッドフォードアヴェニューはダウンタウン化し、イーストリバー側に上質な観光商業は移り、さらに落ち着いた観光商業はグリーンポイントへと、奥へ奥へと映っています。

そして観光商業もどんどん上質化しています。ベタなお土産もの屋さんだけでなく、話題のカフェ、インスタ映えするスィーツ、街並みや自然と一体化したハイクラスなカフェなど、観光商業の上質化が目立っていっています。




ハイブランドやセレクトショップに代わりアウトドアブランドが軒を連ねるなど大衆化が進むミートパッキングエリア



ブロードウェイを中心に商集積が高まるソーホー


土日のベッドフォードアベニューはも物凄い人混みに


落ち着いた観光商業が多く見られるグリーンポイント


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 2016/07/25 06:37  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

2017春夏NYメンズ所感
NYメンズ取材終了しました!
取材した記事や画像はこちらにあります。ぜひ、ご覧下さい。
http://apparelweb-collection.tumblr.com/tagged/2017ss

こちらでは、NYメンズを終えた所感を述べていこうと思います。
「インターナショナルなファッション・ウィークではない」というのが率直な気持ちです。

1.国際的なブランドの参加が少ない

まずは、これにつきるでしょう。国際的なブランドで参加しているのは、「マイケルコース」「トミーヒルフィガー」 、「コーチ」、「ブルックスブラザーズ」ら。そして、同ファション・ウィークでよかったのも、これらのビッグブランドです。

「ラルフローレン」も「トムブラウン」も、「3.1フィリップリム」も、「マークジェイコブス」も、「アレキサンダーワン」もヨーロッパでメンズコレクションを発表しているため、同ファッション・ウィークでのコレクション発表はありませんでした。より国際的な場でコレクションを発表するのは、しごく当然。アメリカのトッププレスやバイヤーはヨーロッパに行っていますので。これは、東京と同じ現象かもしれませんが、NYはファッションキャピタルの先輩なので、残念であります。ロンドンのように、スターデザイナーを呼び戻す努力を期待したいところです。



(写真 トミーヒルフィガー)

2.ローカルファッションの磨き上げが少ない
インターナショナルでないファッション・ウィークであれば、インディーズや新進気鋭のデザイナー、ローカルのビッグネームたちに期待です。これらは、NYのローカルファッションにどれだけ立脚しているかも重要な要素です。NYといえば、「エリートのパワースーツ」「ネオアメトラ」「コンテンポラリー」「ストリート」がメンズのローカルファッションでしょう。これらから生まれたブランドたちの、ショーやプレゼンテーションは魅力でしょう。

「パワースーツ」は、「ハート シャフナー マルクス(Hart for Hart Schaffner Marx)」が見応えありました。気鋭のデザイナー、「デイヴィッド・ハーツ」とのコラボで行ったプレゼンテーションでは、百貨店のスーツブランドという同ブランドのイメージを払拭しました。同じファッショングループである、ヒッキーフリーマンの不参加は残念でしたが・・・。


(写真 ハート シャフナー マルクス)


「ネオアメトラ」は「トムブラウン」がその先駆けでしょう。日本で「シティーボーイ」とか「プレッピー」「アイビー」といった言葉が復活したのは、NYで起きた「ネオアメトラ」ブームがきっかけだと思います。「トムブラウン」に次ぐデザイナーとして注目されたのが、「トッドスナイダー」「オバディア&サンズ」などですが、今や、「オバディア&サンズ」は、ストリートモードにシフトし、「コンテンポラリー」ブランドとして私は捉えています。「ネオアメトラ」のブランドとして、NYメンズコレで随一の存在となったのが、「トッドスナイダー」ですが、もはやNYメンズの顔として風格がただよっていました。

Jクルーやバナナリパブリックのメンズもショーをやると盛り上がるとは、思いますが、彼らのためのメリットがどれだけあるかというと疑問でもあります。


(写真 トッドスナイダー)

NYメンズの多くは「コンテンポラリー」を提案するデザイナーたちです。まだ皆が気づかなかったような、テーマやルック、テクニックを創造するクリエティビティはほとんど見られません。今の時代の空気を切り取ったコレクションが多く、残念ながらその多くは、数シーズン前のヨーロッパメンズで提案されたものが多いように思います。考え方を変えれば、トップトレンドをアメリカ向けに再編集したといえます。しかし、ここは世界一の大都会NY。マーケットから浮き出たトレンドを、形にするような提案が欲しいところです。

このような視点でみると「ジョンエリオット」はよかったと思います。スウェットのパーツブランド的に見られることも多いですが、モードとリラックスをミックスさせたコレクションは毎回、高評価。そして、今回は提案の幅を広げました。「リラックス」と「モード」をコンテンポラリーに表現するというのは、NYらしく魅力的でした。


(写真 ジョンエリオット)

そして、期待の「ストリート」。バッドなストリートではなく、今はブルックリンやダウンタウンあたりのカルチャーと融合したストリートが気になるところです。このファッショングループでは、「HBA」や「オフホワイト」「パブリックスクール」があげられます。しかし、「HBA」「オフホワイト」のメンズはヨーロッパで、「パブリックスクール」はメンズコレが始まるよりも早く、NYでショーを行ってしまっています。セレクトショップのオリジナルレーベルや卸売ブランドがショーをやっていましたが、見応えはありません。

その中で注目は、「ランドロード」です。ブルックリン発のデザイン集団で、今回が2回目のショーでNYメンズコレ初参加です。ブルックリンというアイデンティティの使い方、トレンドのすくい方、テーマ編集ともに、緻密に作り上げてられていました。デザイン集団の中には日本人のクリエーターもいるようで、バランスよくまとまっていた。


(写真 ランドロード)


このように、魅力的なショーやプレゼンテーションはありますが、荒削りだったり、トレンド追随でオリジナリティがなかったり、突飛すぎて意味不明だったり、というものが大多数でした。今後の改善に期待したいところです。

3.インターナショナルなプレス参加少ない

驚くほど、インターナショナルプレスが少ないです。日本の媒体が少ないのは理解していましたが、ヨーロッパメンズで見たインターナショナルなプレスたちを見かけることはほとんどありませんでした。1,2の現状が改善されないと難しいと思います。


今シーズンは、NYだけでなく、メンズコレ全体のあり方が問われました。ウィメンズとの統合、デザイナー交代によるコレクション発表の取りやめなどの要因もあります。そのため、そのような影響は元々弱いところにひずみが来てしまいます。その結果というように捉えてはいますが、ファッションビジネスの冠たる都であるNYのメンズ。もっともっと頑張って、インターナショナルなファッショウィークになってもらうことを願うばかりです。

Photo via Collection by Apparel-web.com

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 2016/07/17 01:26  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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山中 健(やまなか たける)
ファッションビジネスコンサルタント
大手百貨店、外資系ブランド、大手経営コンサルタント会社を経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、ライフスタイルショップ、百貨店、SCなど幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。

また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。

2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にアパレルウェブ編集長就任。

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