« 2016年03月 | Main | 2016年05月 »
セレクトショップの雄が放つ2大コンセプトストア
ユナイテッドアローズとビームス。日本のミッドマーケットを長らくリードしてきたセレクトショップの雄が、GW前の同じタイミングで東京に新たな大型店をオープンさせました。

ユナイテッドアローズは、4月29日に「エイチ ビューティー&ユース(HBeauty&Youth)」を南青山にオープン。ユナイテッドアローズ社最大の約1,300uの3層フロアという大型店です。「ビューティー&ユース」といえば、ユナイテッドアローズよりも手頃な価格でトレンドを取り入れたカジュアルを中心に展開する市場拡大型業態。商圏人口80万人以上の都市に出店しているようにうかがえます。

今回の「エイチ ビューティー&ユース(H Beauty&Youth)」は、その「ビューティー&ユース」のイメージをまるっきり変えるものに仕上がりました。オリジナル比率をぐっと抑え、国内外のデザイナーをセレクトした商品構成は、「ユナイテッドアローズ」よりアップスケールしたイメージです。「ユナイテッドアローズ」の中でもセレクト比率が高いのが、東京・原宿の「ユナイテッドアローズ アンド サンズ」があります。こちらは「ファッションコンシャスな高感度男性」をターゲットにされているようですが、「エイチ ビューティー&ユース」は、それよりももうちょっとコンサバ。ハイエンドというよりもちょっとだけ価格を抑えたコンテンポラリーなブランドやデザイナーが中心。シンプルやシティカジュアルなものが多いようです。

ユナイテッドアローズ社を支持してきた層は、「トラッド層」と「ファッションコンシャス」「中感度の若者」だったと思いますが、「エイチ ビューティー&ユース」はお金に余裕があり、インターナショナルな感覚にすぐれながらも、「そこまで行き過ぎない」ファッションを望む層に支持されそうで、同社が「新ターゲット」を狙ったことがわかる出来栄えです。「バーニーズやエストネーションだと高いけど、ユナイテッドアローズだとトラッドすぎるし、ビューティー&ユースだとちょっと物足りない」というニーズに応えそうです。

また、地下に人気のカジュアルなピザショップ「ピザスライス」が入っていますがそれ以外は広々としたフロアに「ファッション」に集中。ここ数年、セレクトショップや国内SPAが手がけた生活雑貨複合の「ライフスタイル系」とは一線を画す品揃えも、「ファッション直球勝負」という姿勢。業界関係者としては気持ちがいいでしょう。



そして、40周年を迎えたビームス社は新宿の「ビームス ジャパン(Beams Japan)」を4月28日にリニューアルオープンしました。同店は、1998年にカルチャーをテーマに、雑貨フロアやギャラリーを導入してオープンして話題を呼びました。その時、「ビームス ジャパン」の「ジャパン」は「日本総本店」的なスケールの大きさをイメージさせるものでしたが、今回の「ジャパン」はまさに「日本テーマ」。日の丸を背負っているかのような品揃えです。放送作家の小山薫堂を総合アドバイザーに迎え、雑貨や服、内装で、「外国人が思い浮かべるかのような日本」を見せているようです。

地下は日光の老舗ホテル「金谷ホテル」サポートのレストラン、1Fには「猿田彦珈琲」のスタンドも入っています。ここまで、自国イメージを強く打ち出しているファッション小売を私は見たことがありません。来店客も国内外から来た観光客が中心でした。セレクトショップというようよりも「日本テーマ百貨店」というイメージです。



私は、このブログなどで、欧州に広がる「コンセプトストア」について紹介してきました。そして、今、セレクトショップの雄である両社が、「立地×ターゲット」にあわせて、商品だけでなく業種の壁を超えて複合させた「コンセプトストア」を開発。日本のファッション小売に大きな刺激となるでしょう。今後、新たなうねりを予感させる2店のオープンでした。

★フェイスブックでも情報発信中です
https://www.facebook.com/yamanakaconsulting/

 2016/04/30 01:25  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

08bookが招くもの
デザイナー森下公則氏がつくった新業態08bookの内覧会に行ってまいりました。

場所は、世田谷区羽根木。井の頭線の東松原から歩いて5分ぐらいの緑豊かな住宅街にあります。ご存知のとおり、森下公則氏は08sircusのデザイナー。そのアトリエを昨年にこの地に移したことがきっかけだそうです。

80年代に建てられた外国人用の邸宅を利用したショップということもあり、個人宅を訪れるよう。「お呼ばれされた」ようなドキドキ感を抱きながら入店。

目に飛び込むのは、武蔵野の雑木林の巨木や緑を生かしたガラスの多いクリーンな空間。物件のオーナーは、この巨木を生かした家づくりをしたそうです。

商品構成は、08sircusと、16秋冬から再開したキミノリモリシタという森下氏のコレクションの他、家具や陶器など。これらは、森下氏と親交のあるアーティストのディレクションやキュレーションによるもの。庭もプラントショップPlant’s Planet Garage西川かをり氏が手がけています。羽根木の緑を生かしながら、京都から買い付けたという大杉を中心に石と芭蕉を配しています。

ショップの営業時間は、木曜日から日曜日までのオープンというエクスクルーシブなもの。知人の家に訪問したかのようなコト体験を楽しめそうです。

同店のオープンとともに、WEBサイトもリニューアル。そこにはコラムも掲載し、同店や周りの自然の移り変わりも掲載していくそうです。

昔だったら、「デザイナーのアトリエにあるエクスクルーシブなサロン」という位置づけで終わっていました。しかし、物販の閉塞感、行き過ぎたグローバル化&ウェブ化の果のリアルのあり方、オムニチャネルという現在のファッション小売でのキーワードを考えると、新たな可能性を感じさせる店でありました。











★フェイスブックでも情報発信中です
https://www.facebook.com/yamanakaconsulting/
 2016/04/28 08:55  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

リアルクローズとモードの間には
フランスのメンズブランド、ピガールが昨晩、南青山でフロアショーを行いました。ピガールについては、コレクションレポートこちらのブログなどで紹介してきましたが、東京でのフロアショーはブランド初です。

ピガールは、リアルクローズの中に括られるブランドです。日本では、スポーツコレクションのロゴTなどがお馴染みですね。

今回は、コレクションラインを披露。会場のエントランスでは、これまでのアーカイブが展示。マネキンに展示されたキールックとともに、これまでのショーの映像をタブレットで確認できるというもの。これまで行ったショーは懐かしみ、行けなかったものは楽しみ、ショーの開催を待ちました。



ショーは、1月のパリメンズで行われたショーのリピートショー。パリメンズでは、夜中の劇場で行われて、エレガントな演出でしたが、今回のショーでは新たなアイテムを足したショーで、ちょっとリアルな雰囲気。ただし、テーマである「エロス」のとおり、艶っぽさはそのまま。マネキンの間をぬってウォーキングし、マネキンや鏡をトローンとした目で見つめる様は、自己愛に耽る若者を思わせます。これまでとは違った方向にシフトしているようにも見えました。

ショーが終了したところで、MCの女性が登場。ショーで見せたピースを説明しています。例えば鳥の羽根を集めて刺繍したロゴ、高級メゾンが委託している工場に制作をしたクチュールテクニックなどを説明していました。

その後、「どうぞ手にとって確認してください」と説明。そして、このコレクションは、翌日である本日23日から東京・渋谷のピガールの直営店で販売をされます。





ブランド側は、10回目のコレクション、デザイナーのデザイナー ステファン・アシュプール念願のバイナウを実施、東京はステファンにとって特別かつ親しみのある街だから今回のショーを行ったと説明しています。

しかし、これだけのショーをやっているのですから、ビジネス的な狙いもあるはず。それを勝手に推測させていただければ、過渡期にある同ブランドのリポジショニングではないでしょうか。

ショーの合間にステファンにインタビューする機会がありました。その時に私が「これまでより少しエレガントな感じに仕上がってますが、何かご自身の中でムードが変わったのでしょうか」と聞くと、彼は「それはスポーツコレクションのイメージが大きいのでしょう。入口に展示されているものもそうですが、これはそれとは違うのです」と。

もちろん、私はこれまでコレクションラインとの差を聞いたのですが、彼は日本をはじめとする消費者やジャーナリストは、「ピガール=スポーツコレクション」というイメージを持っている前提で、ショーにのぞんでいる様がうかがえました。

ヨーロッパはカジュアルブランド(リアルクローズ)とモードの間に大きな隙間があります。リアルクローズ大国“日本”はそれらがシームレスで、ボリュームからベター、プレーステージグレードまでバランスよくブランドが存在しています。しかし、ヨーロッパではファッションコンシャス(ファッションが大好きな一部)な層を抜けば、「カジュアルはカジュアル」という認識が強く、そこには、価格の壁があるようです。その隙間を埋めるように現れたのが、ライフスタイルファッションやラグジュアリーストリートと言われるジャンルではあるのですが、それはファッションコンシャスの間での話。

パリやミラノやロンドンなどのファッションキャピタルでない街などをリサーチすれば、カジュアルブランドとモードの間の隙間が明確ですし、日本のデザイナーもヨーロッパ進出の時に感じる苦労です。

そのため、カジュアルブランドがアップスケールするためにはモードのデザイナーブランドとしてのアイティティを確立しなければなりません。ピガールはまさしくこの時期なのではないでしょうか。これまで、ライフスタイルファッションとストリートの重なった部分をうまくすくい上げ、スポーツコレクションで知名度アップを果たした。しかし、コレクションラインとなるとさまざまライバルが現れ、かつ本国外で売るにどうしても内外価格差問題があります。

そこで、リピートショーと“See Now Buy Now”の試みでコレクションブランドのアイデンティティを確立したかったのではないかと感じた次第です。次に気になるが店頭での売れ行きですね。近いうちに店頭もチェックしたいと思います。

★フェイスブックでも情報発信中です
https://www.facebook.com/yamanakaconsulting/



 2016/04/23 11:13  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

コンセプトストア的アプローチ アトレ恵比寿西館
3月15日にオープンしたアトレ恵比寿西館。ものすごい行列の「シェイクシャック」、今やメジャーブランドとなった「猿田彦珈琲」、台湾の人気店「鼎泰豊」、屋上庭園とシームレスに設置されたレストラン「シロノニワ」など、魅力的なレストランやカフェが集結しているため飲食ビルのようにも思えます。

しかし、私が注目したのは、同館がコンセプトストア的アプローチをしている点です。2Fはマッシュスタイルラボが、3Fはジュングループがフロアプロデュースをしています。

2Fをプロデュースするマッシュスタイルラボは、スナイデルやジェラートピケなどで知られる人気のアパレル企業。他業種から参入した会社だけに、新たな視点がいつも話題を呼んでいます。今回の同フロアには、同社のミラノオーウェン、エミーの派生業態「W&E」の他、グループ会社のオーガニックコスメ「コスメキッチン」とその派生新業態であるカフェ「コスメキッチン アダプテーション」、ジェラートピケのクレープリー「ジェラート ピケ カフェ クレープリー」、同グループが手がけるニュージーランドのホームケアブランド「エコショップ」など、同社グループ関連の店で食・装・美容関連を編集しています。

3Fは、コラボレショーンで業界に新風を送り込んでいるジュングループが手がけています。アパレルは、駅ビルなどで多く展開している「ロペピクニック」や「VIS」でなく、長い間ジュングループを支えてきた百貨店ブランド「ロペ」と、同グループのセレクトショップ業態の祖「アダム・エ・ロペ」を投入。アダルト層狙いをうかがわせます。これに、キオスク風雑貨業態「アダム・エ・ロペ ル・マガザン」、ロータスやモントークカフェを手がけた山本宇一氏がプロデュースしたビストロカフェ「サントロペ」などを加え、欧州の街の賑わいを思わせるようなライフスタイルを提案しています。


アパレルテナントの不振と代替テナントが見つからないジレンマ。それを、さまざまな業種に拡大しているファッション企業とパートナーシップを組んでテナントミックスしたという点は新しいと思います。

次は、グループ会社の業態でなく、出店余力のない中小企業とコラボしながらの、フロアプロデュース事例などの登場を期待したいところです。





★フェイスブックでも情報発信中です
https://www.facebook.com/yamanakaconsulting/
 2016/04/18 14:45  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

山中健 公式サイト


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
山中 健(やまなか たける)
ファッションビジネスコンサルタント
大手百貨店、外資系ブランド、大手経営コンサルタント会社を経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、ライフスタイルショップ、百貨店、SCなど幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。

また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。

2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にアパレルウェブ編集長就任。

山中健 プロフィール
山中健 公式サイト
コラム 山中健のWorld Report

QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
最新コメント
山中
金環日食を見ながら感じたこと (2012年05月21日)
mie
金環日食を見ながら感じたこと (2012年05月21日)
Rina
メンズの死角 (2011年12月08日)
山中
新サイトオープンしました (2011年06月07日)
山中
銀座シャネル (2011年03月25日)
morimo
銀座シャネル (2011年03月25日)
最新トラックバック
3区カフェと20区カフェ (2009年07月21日)

http://apalog.com/yamanaka/index1_0.rdf
更新順ブログ一覧
リンク集