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アトレがつくるセレクトショップ/クチューリフ
恵比寿のアトレ本館にあるCoutuLife(クチューリフ)は、アトレ直営のセレクトショップです。オープンしてしばらくした日に店を覗いてみました。

出店場所は、5Fの中島区画。ガラスと白い壁で囲われ、リゾート地にある上品なショップのような佇まい。取り扱いアイテムは、レディスアパレル、バッグ、アクセサリーなど、ブランドは、Tibi、STUDIO NICHOLSONなどのインポート、TAROHORIUCHI、ENSORCIVETなどドメスティックデザイナーなど。どれも、知る人ぞ知る玄人好みのブランドばかり。ウェディングドレスのデザイナーのKaori Akutsuとコラボしたワンピースなども。駅ビルという立地からすると、かなりの挑戦といえるブランド及びプライス構成といえます。

ご存知の通り、アトレはJRグループの駅ビル運営会社です。商業施設が小売店の直営店を持つことは珍しい。あったとしても、1館1業種の業種で展開したり、チェーン店のFC展開したり。今回のような自主企画、自主運営のショップというのは稀有です。

なぜ、商業施設運営会社が小売直営店を持たなかったのでしょうか?長い間、商業施設のコンサルティングをしてきた経験から以下の理由ではないかと思います。

1. 人材がいない
商業施設の運営は、小売店運営とは大きく異なります。そのため、小売店運営のノウハウを持っている人材がいない、もしくは少ないことがあげられます。

2. 収益性が悪い
人材がいたとしても、小売店は、手間ひまのかかる商売です。そして人件費や商品ロスなどを考えると、商業施設運営会社からすると旨みがないことが多いのです。

3.既存テナントへの影響
強い商業施設でノウハウがあれば、良い立地、館内情報から売れ筋把握などができます。そのため、既存テナントの売上を奪いながら小売店をつくることは可能です。しかし、それをやってしまうと、既存テナントへの悪影響となることとなり、商業施設運営会社としてはあまり美しい姿と言えなでしょう。


では、アトレはこの問題にどのようにクリアしているのでしょうか。

まず、1の人材ですが、このショップ開発に携わったのは、アパレルでものづくりをしていた目利きの人物です。私もよく存じ上げている方ですが、マーケティングだけでなく生産・企画に精通しています。

次に、2の収益性。これはこれからの結果次第ですが、駅ビルでもトップクラスのブランド力とテナントから支持を持つアトレ。体力があるからこそ挑める挑戦なのでしょう。

そして3の既存テナントへの影響。ブランドやプライス構成から悪い影響はなさそうです。このセレクトショップ、売れ筋追随型でなく、駅ビル全体の上澄みを狙うハイエンドな品揃えです。商業施設の上中下グレードの中でいうと、上に挑んでいます。商業施設の中では、上で売上をとっていくのは、よほどのブランド力がないと難しいのが現状です。その中でチャレンジする姿勢は、他のテナントにも良い刺激になるのではないでしょうか。

アトレ恵比寿は、この春新館を増設。新館はライフスタイル系のテナントミックスになる一方、本館はビームスやシップス、ケイトスペードなどが入り、ファッションとしての集積を高めます。その中でのこのセレクトショップ開発。商業施設のテストケースとして注目をするショップになるのでしょう。








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 2016/03/31 18:45  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

2016秋冬 東京ファッション・ウィーク 私的ベスト5
メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京をハブに、3月14日〜19日まで東京でファッション・ウィークが行われました。今も展示会やプレゼンテーションなどが行われ、コレクション発表は続いていますが、これまで拝見した中で、よかったと思うショーを5つ選んでみました。


1.Hanae Mori manuscript(ハナエモリ マニュスクリ)



最も印象に残ったのは、天津憂さんが手がけるHanae Mori manuscriptです。日本を代表する偉大なデザイナー、森英恵氏。そのプレタポルテの新ラインを受け継いで4シーズン目。ダークで力強いルックを発表しました。これまでは、ハナエモリの持つ、甘みのあるエレガンスをモダンに提案してきましたが、今回は、天津憂さんの個性がぐっと浮き出たようです。日本では、ビッグネームを家族以外の若手のデザイナーが引き継ぐ例は稀。しかも、このように引き継ぎ手が個性を浮き出せつつ、リスペクトを忘れないという点が印象的。ぼかした蝶柄のドレスで行ったフィナーレは、闇を蝶が乱舞しているようで、感動的でした。

2.PLASTICTOKYO(プラスティックトーキョー)



東京のファッション・ウィークに、イキのいい若手が誕生、そしてどんどん勢いを増しています。インパクトのあるプリントと、ストリートスピリットの感じられるルックが特徴のブランド。今シーズンは、ルックに磨きをかけました。今回、DHLデザインアワードを受けるなど、最も注目を集めているデザイナーといえそうです。たぶん、先輩たちのように海外を目指すのでしょうが、もうしばらく東京の盛り上げ役を担って欲しい存在です。

3.MR.GENTLEMAN(ミスター・ジェントルマン)


久しぶりにショーを行ったのが、MR.GENTLEMAN。ネペンテスやラブレス、シティショップを手がけた吉井雄一氏と、フェノメノンのオオスミ タケシが手がけるメンズブランドで、東京のメンズシーンでは欠かすことのできない存在となっています。MR.GENTLEMANは、その名の通り、ジェントルマンルックを華奢な日本男性に似合うようにアレンジしたルックがこのブランドの特徴でした。無味無臭に近いほど、爽やかさとでもいいましょうか。それが、今回はぐっと男らしく、マウンテンやストリートの要素を取り入れています。こちらはトレンドではあるのですが、もしかして、オオスミさんがフェノメノンから離れたことも関係しているのかもしれません。もともと重々しいロックからちょっとずつ爽やかになっていったフェノメノン。そして、その後に生まれたのが、MR.GENTLEMAN。MR.GENTLEMANはあくまでトラッドで、すくい上げるトレンドもコンサバラグジュアリーのトレンドでした。しかし、あえてフェノメノンとの境界線を設けることもなかったかと思うのは考えすぎでしょうか。


4.LAMARK(ラマルク)




今シーズン、欧米のコレクションで吹き荒れたBUYNOWというムーブメント。一方で揺り返しともいえる動きもあります。サンローランが行ったサロンショーもそうでしょう。
そして、東京ファッション・ウィークでの成長株であるLAMARKもサロンショーのようなエクスグルーブなショーを行いました。招待したのは、30人のジャーナリストのみ。場所は代々木上原から10分ほど歩いた住宅街の中にある一軒家という、忙しいファッション・ウィークを忘れさせるスローなスタイルのショーです。発表されたコレクションも秀逸。今シーズンのトレンドである、レトロエレガンスを、若々しく表現していました。


5.ADEAM(アディアム)



ミセスマーケットで、特別な存在であるフォクシーグループ。そのファウンダーのご令嬢で、NYパーソンズ卒の実力派デザイナーが手がけるのがこのADEAM。アメリカでは、サックスフィフスなどの高級百貨店でも取り扱われるなどの注目のブランドです。毎回、NYでコレクションを発表していますが、久々に東京でショーを行いました。日本の伝統技術を採り入れ、「BORO」をテーマに。しかし、それは素材やテクニックにとどめ、ルックはモダンなエレガンス。そして、演出はゴージャスそのもの。暗転していた舞台に突如現れたオーケストラに、ゲストも驚きの声をあげました。次世代のミセスプレタのリーダーに相応しいショーでした。

他にも、好きなコレクションや印象に残った演出などのショーなどはたくさんありましたが、特に印象に残った5つをあげてみました。「業界人の自己満足」「誰も知らないブランドばかり」などと言われる東京のファション・ウィークですが、行ってみれば、新しい発見や感動、そして気づきがあるのです。

Photo Ko Tsuchiya(Hanae Mori manuscript,.MR.GENTLEMAN,ADEAM) Ayako Nakamura(PLASTICTOKYO,.LAMARK) via Colletion by Apparel-web

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 2016/03/28 14:09  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ザ・パーキング/業態として注目すべき3つのポイント
青山の「The Pool(ザ・プール)」に続きジュンがプロデューサー藤原ヒロシ氏と組んで、新たな店をつくりました。その名も「THE PARK・ING GINZA(ザ・パーキング銀座)」。こちらの店は、本ブログでも、お伝えしてきたコンセプトストアで、プレスリリースにも「コンセプトストア」と明記されていました。

銀座のランドマーク的ビル、ソニービルの地下駐車場横にオープン。かつて有名フレンチ「マキシムドパリ」があったところです。そこをスケルトンにしてパーキングのように設えているため、まるで駐車場に店があるようで、とても新鮮な店です。

また、私が講演などで欧州のコンセプトストアについて解説してきたポイントをしっかりと抑えており、日本での新たな業態としていえそうです。内覧会を見てきて、皆様に業態として注目していただきたい3つのポイントをお伝えしたいと思います。

1. ひとつのコンセプトにそって業種業態をシームレスに集積
藤原ヒロシ氏の持つ世界観にそって、シームレスに集積しています。藤原ヒロシ氏のキーワードとしては「裏原宿」「クラブカルチャー」そして「コラボ」ではないでしょうか。この店は、大人になった裏原世代のカルチャーやライフスタイルを表現しています。それは、銀座の地下というアングラ感、そして、ソニーという「ジャパン・アズ・ナンバーワン」だった頃を象徴する企業ブランドとのコラボなど、藤原ヒロシワールドを繰り広げています。


2.メンズ軸にエイジフリー型MDを実践
主軸は思春期に裏原文化を享受した男性をターゲットとしていますが、そこから派生したファッションジャンルや雑貨、カフェを集結しています。それらは、年代という縦軸、ファッションジャンルという横軸を広げることで、エイジフリーMDを実現しています。縦軸では、裏原世代(現在の40歳前後)らの先輩世代(50〜60歳代)存在していたランドマーク「カフェ・ド・ロペ」を再現。裏原世代と同世代に誕生した「ボンジュールレコード」やずっと愛してきた「ナイキ」。彼より下のギャル世代のメンズてっぺんブランド「ヴァンキッシュ」と藤原ヒロシ氏のデザイン集団「フラグメントデザイン」とのコラボした「デニムバイ」、松田翔太が手がける「CAREERING」と、上は60歳代〜下は20歳代まで共感できるものを取り揃えています。
もちろん、単なる懐古ではなく、今の大人世代がスペクトする商材もしっかりと取り入れて構成。「ユナイテッドアローズ」の有名バイヤーで今はメンズファッションアイコンでもある、小木氏(通称ポギーさん)が手がけるポップアップストア「ポギーズボックス」、サカイとコラボした「sacai (not sacai)」、ダブルタップスなどを手掛けた西山徹が古着や自身のブランドをキュレートした「813」など、ファッションジャンルという横軸を広げ鮮度アップも図っています。


3.ミニモール的形状
行って見られるとおわかりになりますが、この店は、駐車場にテナントが点在しているかのような形状です。駐車場を中心にそれぞれのテントや空き区画のようなスペースにコーナーがあります。なので、この「THE PARK・ING GINZA」はミニモールのようです。詳しい取引条件は開示されていないのでわかりませんが、各テナントにサブレントをしているかのようにも思えます。このことにより、すべてをジュンが運営するのではなく、ジュンは箱を貸し、それぞれのプロフェショナルが編集・運営することで、魅力的な集団に見えます。


欧州では、業態トレンドの先端となっているこのコンセプトストア、日本にやっと本格的なものが生まれたといえます。この先、日本の業態開発に影響を与えそうです。本日、3月26日(土)オープンです。











THE PARK•ING GINZA(ザ・パーキング銀座)
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目3番1号ソニービル地下3階


★その他の店に行った所感も、FBでも綴っています。
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 2016/03/26 13:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

マリン&ウォークが旬な理由
本日、オープンした横浜みなとみらいエリアの商業施設「マリン&ウォーク」。私は2日夜に行われた内覧会&パーティーに行ってまいりましたので、ご報告します。

マリン&ウォーク、モールトレンドの先端といえそうです。その理由をお伝えしますね。

1.モール形式



「マリン&ウォーク」は、店舗8,346.98m。ヴィレッジ型のオープンモールです。ヴィレッジ型という言葉、あまり耳馴染みがないかもしれませんが。アメリカで10年ぐらい前から取り上げられたモール形態です。

「アメリカにちゃんとしたダウンタウンがあるのは、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴぐらい」と言われるぐらいモールが多いです。そのため、どこも同じような巨大な箱型のエンクローズドモールばかりになりました。

そして、生まれたのがヴィレッジ型モール。昔のダウンタウンを再生したかのような形式が特徴です。

このヴィレッジ型、格好いいのですが、オープンモールであるゆえ、天候によって集客が左右されるので、世界でも類を見ない高効率を求める日本の商業環境では、なかなか生まれてきません。アウトレットモール以外では。特に高価格テナントを集めるモールでは、少ないですね。六本木ヒルズのけやき坂ぐらいですね。

そこをあえての、オープンモール。それを決定させたのは、やはりそのロケーションでしょう。横浜の海沿い。この海を見ながら歩くという、アメニティ性を重視した結果でしょう。

そして、この形式では、アジアでも珍しいのです。中国の上海の新天地などがありますが、やはり空気が悪い国には不向き。そしてASEANはスコールと熱気、韓国は厳冬という問題があります。そういう意味では、アジアからの観光客の高感度層に人気になりそうです。

2.コンセプチュアルなテナントミックス



テナントミックスがユニークかつコンセプチャルです。フレッドシーガル、トッドスナイダー、スティーブンアランなど、上質でリラックスしたアメリカンカジュアルブランドが目をひきます。これは、デンハムやハリーハンセンも、和カジュアルな店を、アジアの若者に人気のネイバーフッドもアメリカンクラッシックなデザインを取り入れていれています。





3.フレッドシーガル



このモールの見所は、フレッドシーガルでしょう。代官山に次ぐ2号店ではありますが、1号店より、ぐっとLAの店に近づいています。ファサードは、LAのメルローズの建物を再現したかのよう。またファッション以外の業種をミックスさせるのがフレッドシーガルの魅力ですが、カフェテリアコーナーやサーフコーナーも広々としたスペースを先、海を見渡せるつくりになっています。そして、ファッションもぐっとカジュアルに。これがフレッドシーガルの持ち味です。本来、ロンハーマンはヨーロピアンデザイナーに強く、フレッドシーガルはアメリカンカジュアルが得意。でも、日本に先に上陸したロンハーマンがLAっぽいカジュアルを打ち出したため、代官山ではモードを扱うというねじれ現象が起きていました。そこを、この横浜の店でリセット。ロンハーマンのセレブっぽい感じのLAより、もっと武骨な方向にシフトしています。






4.ヴェランダミラトミライ

ウェディングプロデュースの大手、テイクアンドギヴ・ニーズが運営する結婚式場です。モールに大型結婚式場というのが、ユニークです。そしてこの結婚式場もカジュアル&リュクス。モールの立地やコンセプトと連動しています。店内はヴィンテージなデザインとムードが漂い、これまでの晴れ晴れしい結婚式場とはまるで違う空間が誕生。リラックスして、カジュアルでいて、リュクス。旬な感じですね。

5.物販はすべて1Fに戸口
モールは2階建てですが、物販はすべて1Fに戸口を設けられるつくりになっています。買い回り性が高める目的でしょう。そのため目的性の高い飲食はほとんどが2Fにあります。

規模を小さく、立地も良くはない(最寄り駅から徒歩9分、みなとみらい中心から15分)、天候に左右される、といったネガティブ要素をさがせば、出てきていますが、モールトレンドの先端にあることは確かで、今後も日本のモール業界に新風を吹き込みそうな事例といえそうです。




 2016/03/04 13:01  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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山中 健(やまなか たける)
ファッションビジネスコンサルタント
大手百貨店、外資系ブランド、大手経営コンサルタント会社を経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、ライフスタイルショップ、百貨店、SCなど幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。

また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。

2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にアパレルウェブ編集長就任。

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