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2015年、私が見て回ったり、コンサルティングをしている中で、印象に残った出来事をランキング形式紹介。1位はあの悲しい出来事です。 1.パリの同時多発テロ やはり、今年の一番の衝撃は、この出来事です。中近東などで、テロや爆撃が起きており、パリだけハイライトすることに対する意見はあるかと思います。しかし、ファッション業界において、パリというは特別な都市す。平和だからこそ、楽しめるファッション、そのファッションの首都であるパリであのようなことが起きた時は、言葉にできない衝撃でした。そして、テロが起きたエリアは、ファッションピープルに馴染みのあるエリアでした。その同時多発テロ後、最初のファッションショーが1月のパリメンズ。毎シーズン、通っているので、今回も行って参ります。パリで、デザイナーたちがどのようなメッセージを私たちに発信するのか。しっかりと見てきたいと思います。 2.インバウンド消費拡大 「爆買い」が流行語大賞に選ばれるなど、インバウンド消費の拡大を市民が実感した年でした。それと呼応するように、ラグジュアリーブランドなどのグローバルプレイヤーの投資が東京に増え、東京のファッションキャピタルとしての存在感が上がったとも言えます。しかし、パリやニューヨーク、ロンドンなどの世界のファッションキャピタルと比べると、まだまだ伸び代があるのも確か。インバウンドをバブルとして捉えずに、さらに伸ばすための戦略が求められる段階となると思います。その一つの鍵が、テクノロジーの利用。音楽、英語とともにグローバルスタンダードなりつつあるウェブの力を最大利用することが必要でしょう。その現れとして、越境EC、タブレット接客などが始動した年でもありました。 3.百貨店オリジナルブランド開発活発化 インバウンドの恩恵を最も受けた業態の一つが百貨店。しかし、百貨店の皆さんもインバウンド依存でよいとは思っていません。そこで取り組みが進んでいるのが、オリジナルブランド開発です。かつての百貨店のオリジナルブランドといえば、プロパー下限でのベーシック商材が中心でしたが、今はスピンオフしても成り立つ、キャラ立ちしたものの開発が今求められています。先行していた西武・そごうは、ジャンポール・ゴルチエを迎えたコラボラインを発表。イセタンはルーガ、京王はミ・デゥーを始動させ、卸も目論んでいます。アメリカの百貨店ではすでに中核政策となっている、オリジナルブランド開発・拡大、ブランド独占政策。来年以降も増えていくでしょう。 4.ライフスタイル型業態あらたなステージへ ロンハーマンの成功により、ミドルグレードで活発化した「ライフスタイル型業態」。しかし、その多くは苦戦しました。その要因は、本当のライフスタイル提案でなかったこと。多くは、「うちのファッションに合う雑貨を揃えました」的なものでした。そこから、改善の方向性が生まれています。その方向性は大きく2つ。一つはミニモールのような業種ミックス型への移行。これまでとの違いは、異業種をプロに耐え得るものを導入している点でしょう。もう一つの方向性は、「尖らせたライフスタイル」。最大公約数のライフスタイルではなく、「この指とまれ」型ライフスタイルの提案です。アートを多く取り入れているのもその特徴でしょう。今年後半に開発された、ベイクルーズの「シティショップ」とパルの「CPCM」がその象徴でしょう。 5.日本企業のアジア進出新局面に 上海一辺倒だったアジア戦略から是正されて数年たち、グローバルプレイヤーと同様に、香港やシンガポールなどのアジアのファッションキャピタルへ出店を増やしてきましたが、さらに広がりを見せました。その一つがタイ。ファッション感度の高い国と知られていましたが、法規制の問題で外資の出店が難しかったので日本企業の出店は少なかった国の一つでした。しかし、規改正により一気に出店が増えました。また、出店エリアだけでなく、出店業態にも変化が見られます。これまでは百貨店アパレルかSPAが中心でしたが、ビームスやUAなどのセレクトショップも出店。UAは台湾に、テーラリング中心のセレクトショップ業態も出店しました。マシュスタイルラボは、台湾にローカル対応ブランド「ウラハ」も始動。新局面を感じさせる年でした。 ファションビジネスは平和だからこそ成り立つビジネス。2016年の1位は、幸せに包まれた話題を選べるよう祈るばかりです。 6-10位はこちらから。 山中健 ★年末年始もFBでは発信します https://www.facebook.com/yamanakaconsulting |