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ホスピスへお見舞い
90歳過ぎの親戚の叔母(母の従兄の奥さん)に会いに、今日は母とホスピスに出かけた。

母とはお互いに20歳前後から知っていた仲で、近年は直接会うことはなくなっていたものの、お互いに夫の介護という苦労をしていただけに時々電話で励まし合っていた。
それが半年前に、「すい臓がんと医者に言われたから、もうこれからは電話できない」と突然の連絡。それからずっと気にしていたのだが、同ホスピスに出入りをしている親戚の牧師を通して、2日前に入所が母のところに知らされたのだった。

ここは日野原先生が20年前に創設されたところで、国内ではホスピスの草分け。
多くのボランティアの人で支えられているだけに、手入れの行き届いた静かで美しいところだった。
母はここで最期を迎えた知人が何人かいて、久しぶりだったが、ここに来るのは3回目だという。

部屋に入ると、真っ白な髪の毛の小さく痩せ細った老女が、明るい窓の方を向いて寝ていた。
寝返りはおろか、体を動かすことも声も出せない状態で、口がぱっくりあいている。
それでも聴覚と視覚はしっかりしている(聴覚が最期まで残るということは、先日仕事で会った医師が話していた)。
私は子供の時以来数十年ぶりだったが、自分の名前をいうと、キラキラした目がしっかり私の方を見てくれた。
残った力を振り絞るように手を出してくれたので、母は手を握りながら、少しの時間、いろいろと話かけていた。
仲良しだった従兄たちとの集まりの記念写真とお花を枕元に飾り、私たちはその場を失礼した。


体調がよかったら一緒にお茶でもと思っていた母は、相当ショックを受けていた。
ある程度覚悟をしていたが、これほどまでにすさまじい人の最期というものに向き合ったことは、私にとっても初めての経験だった。
ある一人の女性の人生というものに、しみじみ思いをはせた一日となった。
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 2013/10/30 21:27  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

近場湯本で至福の時間
星野リゾート「界 箱根」に、母と行ってきた。
母は来月、入院予定だし、父も小康状態なので、この時期しかないというタイミングで予約を入れていた。幸いにも何事もなく当日を迎え、晴れ女らしく晴天となって(今日2日目は予想外の雨天)、父も喜んで送り出してくれたような気がした。

といっても、箱根湯本は最寄り駅からわずか3つめ。そんなに近場ではあまり気分は変わらないかもしれないとも思ったが、今の母にとって遠出は無理。それならたった1泊でも泊まりがいのあるところにしようと思ったのだ。
星野リゾートは、以前に取材した時に日本の温泉旅館の慣習を変えたいという信念が印象的だったし、最近も知人たちからの評判も聞いていたので、一度ぜひと思っていた。
それなりに費用がかさむ宿だから、母の米寿のお祝いと私の誕生日に、夏休みと冬休みと、半年分のイベントをすべて盛り込んだ。


結果は、総じて満足であった。
温泉も、日帰りのスーパー銭湯などテーマパーク化している温泉が好きな人には物足りないかもしれないが、あのシンプルさがとても良かった。とにかくお湯の質がいい。
食事も上質そのもの。あの食べ物がずらりと並ぶ旅館メニューが苦手な母も、少しずつの美しい盛り付けの料理を一つ一つ堪能した。
写真は先付。これに八寸、お椀、お造り、揚物…と続く。

それ以上に素晴らしかったのは、スタッフの方々の自然なサービスだった。
通常の旅館にあるような堅苦しさや気取りがまるでなく、若いスタッフが気持ちよく接してくれた。チェックインから食事の席まで同じスタッフが気遣ってくれる(担当してくれた高橋さんは、本社軽井沢からここに派遣されているという)。
また、顧客の来訪目的(何かの記念日など)に関する情報を共有していて、最後のチェックアウトの時もそれが満足いくものであったかを声がけしてくれた。

ただ、もともとあった高級旅館(東日本大震災の影響で倒産した「桜庵」)を再生しているだけに、建物のハード面では少し不便さもある。温泉や食事に行くときには、いちいち外に出なくてはいけないので寒い冬は大変だろう。
でも、各部屋が独立したスタイルなので、よその部屋のことはほとんど気にならないし、全部で31部屋と全体の収容人数が限られているので、お風呂場で混むということもない。

全体の印象としては、湯本というのは観光する場所がほとんどないので、仕事で疲れた心身を癒しに都心から急に思い立って来るにはぴったり。
部屋が広いので(50平米の部屋は2人には広すぎ)、友人同士のグループ向けにもいいかもしれない。

何はともあれ、母が「この年でこんなところに来れるなんて」ととても喜んでくれた。
またいつか再訪できる時を楽しみにしている。がんばって仕事しなきゃ。
 2013/10/29 18:04  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

老人介護施設の取材
今年になってから、老人施設情報誌の仕事で、いくつかの老人施設の取材を行った。
数年ぶりに再会した知人(編集者)が声をかけてくれたというご縁によるものだが、それ以上に父が施設にいることもあって、私にとっては非常に身近なテーマだったのだ。もし私自身がそういう体験をしていなければ、ほとんど興味のない領域だったかもしれない。

老人施設や介護問題は、ライフスタイルの中でも、病院と並んで、今、最もポテンシャルのある分野。ライフスタイル・ジャーナリストを標榜する私としては、願ってもない対象である。

どんな話を聞いても、自分の中には父のいる施設という比較対象があるので、わかりやすい。老人介護や施設ならではの専門用語も、自分の中に実体験や基本知識がなかったら、なんのことかさっぱりわからなかっただろう。

取材先は情報誌のタイアップ先である有料老人ホームだけに、いずれも高額な入居金が必要なところで、父のいる老人保健施設とは異なるが、これは父のいるところの方が上と思う面も少なくない。
父の施設は何と言っても新築だけにきれいだし、(畑の中にポンとできただけに)周辺の環境も抜群。さらに都心に近いところとは異なり、スペースも広々としている。そして、食事メニューもいろいろと工夫されているので、父はいつも「おいしい、おいしい」と食事を楽しみにしている。
生活や持ち物が制限されることや、一人ひとりに対するきめ細かさに欠けることなど、欲を言えばキリがないが、総じては、歩くこともできない要介護5の父を手厚くケアしてくれる施設に感謝している。

ただ、これだけは不満と感じるのは、医療面。施設長が医師(どこかの病院を退職したような高齢者)なのだが、その医療的判断がどうこうというより、入居者や家族に対して人間的な心の交流を重視している姿勢があまり見えないのだ。
現場のスタッフの方々の働きには本当に頭が下がるだけに、私も普段からコミュニケーションを密にしようと心がけているが、トップに対してはいつも残念な思いがある。父の施設は最期の「看取り」を行っていないので、そもそも比較はできないのかもしれない。

取材をすればするほど、施設に大切なのは医療の体制はもちろんのこと、介護や医療にかかわる人たちの思想、人や仕事に向き合う姿勢というものが要となることを痛感している。これは病院も同じだ。会社と同じで、病院もたいていはトップである院長次第で決まるもの(患者は意外にその辺を敏感に見ている)。

昨日は、「看取り」をテーマに、都内のある老人施設を取材した。そこにかかわる医療チームの医師に会うのは2回目だったが、終末医療の段階と現場のスタッフへの教育方針をわかりやすく説明してくれた。
「看取り」というのは最期に息をひきとる一瞬ではなく、いよいよ最期の段階に入ってからのプロセスであるということ。そして、現場の介護スタッフというのは死に居合わせることへの恐怖があるものだが、それはたまたまに過ぎないことを伝えていると話していた。

父が病院から移転というかたちで施設に入居してから、はや1年が経とうとしている。この間に私自身が経験したことは実に大きかった。
(写真は開業前の入居準備に出向いたときに撮影した父の施設内部。これほど広々している所は都心には見られない)

 2013/10/24 18:40  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ブログ休暇の言訳
雑事に追われているうちに、季節がガラリ変わってしまった。
このブログもすっかりご無沙汰。1か月ぶりの復活です。

この間、考えてみると、秦野ハイキングで偶然にも安藤忠雄設計のお寺に遭遇したり、3時起床で20年ぶり位に高松に日帰り出張したり、新しいPCに手こずってイライラしていたり、ブログのネタには事欠かなかったはず。
それでも食指が動かなかった(?)のは、単に時間がなかったという理由だけではないような気がしている。

この間、いろいろな方が亡くなった。
山崎豊子、やなせたかし、天野祐吉…。
そして同級生の友人のお嬢さんの突然の死は、本当に衝撃だった。

先週から今週にかけては、父と母のそれぞれの病院につきそうという出来事もあった。
すっかり小さくなってしまった父はそれでもまだまだ食欲があるし、手術を決心した母も、未来に向かってすでに歩み始めている。生命力というものを目の当たりにできることの幸せ。

めったに風邪をひかない私にとって、(先週から今週にかけては)のどの痛みに始まる風邪週間でもあったが、それもどうにか落ち着いてきた。

いろいろな意味で、これから始まる何かのための準備期間というか、節目のような時期だったかもしれない。
このウェルエイジング日記もさぼりながらも続けていくつもりですので、見放さないでください。
 2013/10/21 20:39  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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