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私はHNK・ETV特集のファンだ。映像と文字の違いこそあれ、ドキュメンタリー番組はノンフィクション文学にも近いものがあって、その番組作りの裏側に思いをはせてしまう。昨夜放映された「アンジェイ・ワイダ 祖国ポーランドを取り続けた男」には、深く感銘を受けた。 番組の主人公にも、番組の制作者にも敬意を表したい。 最近、アカデミー外国映画賞をとった最新作『カティン』。アンジェイ・ワイダという監督の、その生い立ちから、この映画を生みだす経緯がたっぷりと描かれていた。 内容はもちろんのこと、この監督の人間としての魅力(容姿も含めて)にも引き込まれるものがあった。いい仕事をする人はかっこいい。 『灰とダイヤモンド』『地下水道』という題名とともに、アンジェイ・ワイダは何か気になる存在だったが、実は一度もその映画を観たことがない。 ポーランドと聞いて思い出すのは、かつて英語学校で一緒だった大学院生がポーランドを専門にしていて、何年か住んでいたという話を聞いたことぐらい。連帯のワレサ議長のことなど、何度もニュースなどで見聞きしていたはずだが、この国についての知識はほとんどなかった。 作品ごとの、政府の検閲との駆け引きは、まさにドラマのようだった。 アンジェイ・ワイダ監督は真っ向からぶつかったり、闘ったりするのではなく、好機を待つ。聴衆の良心を信じ、違う表現で、聴衆に訴える。「これで充分に理解してくれる」と。限られた条件内でいかに伝えるかを考え、しかも自分の信念は少しも変えないところがすごかった。 時間が経てば、状況は少しずつ変化するものだ。あせってはいけない。要はそのタイミングをいかにつかむか、そのためにはいつでも発表できるように準備しておかなければならない。 長年封印されていた事件も、いつかは明るみに出来るときが来る。 そうして、監督のライフワークの集大成のように、最後の作品として、自分の父親が虐殺された「カティン」事件を題材に、自分の母親を主人公にして映画を作ったのだった。 長い時間をかけて、自分の命をかけて、伝えていかなければならないものは、私にとって何だろう。 |



