昨日、「バーチャルリアリティ」「テレイグジスタンス」の研究で知られる東大のT教授のところへ、チームで取材に伺った。本郷にある東京大学の構内に入るのは、これで二度目。雨上がりのしっとりした空気の中で、美しいキャンパスが映える。
東大、しかも工学部とは、自分にとって一番遠い存在。こういう仕事がなければ、一生、縁がないところである。
実際に研究室でいくつかの装置を体験させていただいてからお話を伺ったので、まったく理系オンチの私も、実感としてすんなり入っていくことができた。
まず、「バーチャル」という言葉自体が、一般に日本で言われている「仮想」とは程遠く、「ほとんどリアル(実際とは違うが、本質的にはリアルに近い)」という意味。日本人がこの言葉を誤解しているように、ヨーロッパ人は「ロボット」に対する嫌悪感があるらしい。
こういう研究が現実社会の中でどういうふうに利用されていくのか。
よく言われるのは遠隔医療や介護の面だが、インターネットやテレビ電話の進化版にもなって、行きたいところ、会いたい人のところに飛んでいける。
ファッションビジネスと関連するところでは、カスタムメイドなど一人ひとりに合った対応が得意らしく、また自分がそこに行かなくても海外でショッピングすることもできる。
実際にそこにいるのとはやっぱり違うじゃないか、とは言うなかれ。そこにいたって、心そこにあらずということも多々ある。
また、この技術を使えば、無駄な資源やエネルギーをかけずに、効率よく、物を生産することも出来るのだという。
宇宙開発技術のおかげで、天気予報やカーナビといった便利な情報を享受しているように、バーチャルリアリティにまつわる各種の技術も、近い将来、いつの間にか私たちの生活になくてはならないものになっていくのだろう。
それにしても、実業の世界とはまったく別のところで、純粋に学問を行う人たちの姿に触れると、ある種の感動を覚える。