パリで仕事をしている日本女性からメールをいただいた。
1月末、パリではいくつかファッション関連の大型展示会が開かれたが、その中の一つ、私が20年来取材を続けている某サロンで、VIPルームの受付をしていた女性だ。
安定した強さを見せる日本人来場者に対応し、主催者が近年日本人スタッフを置くようになっている。
その人の心配りの細やかさ、しかも自然な接し方にはすばらしいものがあった。
過酷な展示会取材の合間に、彼女とひと言、二言、言葉を交わすだけで、本当に癒された。
展示会常連の私がこんなだから、言葉に不自由な初心者はさぞかし助かったに違いない。
帰り際にお礼を伝えながら、連絡先を交換したのだった。
ただものでないと思っていたら、やはり、ただものではなかった。
失礼ながら、その女性からのメールをここに転載したい。
こうやって、異国で活躍している日本人がいることが少しでも伝わればうれしい。
《(前半略)私事となってしまいますが、元々は能を専門として、大学時代にパリに派遣されました。その時に広義の現代アートの諸分野(映像、ダンス・ 演劇、現代アートなど)にて研修を受ける機会を得て、再び文化庁在外派遣芸術研修員として当地に戻ってからは、フリーランスの立場で広く活動しています。映像制作という仕事と、日仏共同の文化事業に於いて対日本コーディ ネーター(通訳翻訳含め)の仕事を、フランスの組織から頂いています。最近では、国立シャイヨー劇場、2008年には国立人類博物館にて行われる日仏現代アート企画を担当しています。
またパリにお出での折にはぜひ、お声をお掛けいただけましたらと存じます。色々お話をお伺いできましたら、望外の喜びです。また、何かの折りに、現地におる私が有用となることがございましたら、微力の者ではございますが、どうぞ何なりとお申し付け下さい。またのお目もじを心待ちとしております。どうぞ、立春の後の春めいた東京をうきうきと、お過ごし下さい!》
私は海外で、いろいろな人との(どこの国の人でも)出会いを楽しみにしている。
よく海外で日本人同士は目をそらしてしまうような傾向があるが、海外経験が本当に豊かな人、きちんと生きている人は、コミュニケーションの大切さを理解しているものだ。
こういっては何だが、長年、海外に住んでいる日本人の中には、妙にすれてしまったような人、独特の特権意識からか日本から来る日本人を嫌うような人もいる。でも少し会話をすれば、相手がどういう人かは分かるものだ。
一つ、ここで私は提案をしたい。
日本人は海外であまり積極的に人との交流を広げない。仕事の集まりには義理で出かけても、個人的なパーティなどにはあまり顔を出さないらしい。特に、企業という組織に守られている男性がそういう傾向が強いと思う。
もちろん、最低の外国語力は必要だが、それは言葉の問題だけではない。
引っ込み思案の国民性は自分の中にも多分にあるから、理解できる。でも、私はやっぱり人が(素敵な人が)好きなのだ。
ファッション業界もかなり多くの人が海外に出るようになったと思うが、個人的にもっといろいろな人との出会いを楽しんだらどうだろうか。
特にパリやニューヨークなど、コスモポリタンな街には世界からいろいろな人が集まっているから、いろいろな国の人と知り合える。
何かをきっかけに、ひと言声をかけることによって、挨拶をすることによって、新しい人間関係が生まれる。
実際に、展示会に出展しているような人が、自信をもっている自分の仕事について聞かれて、嫌な気がするわけがない。そこから新しい仕事に発展する可能性もあるのだ。