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中国メンズアパレルの抱える課題!
本日、会社設立して約15年、上海に本部を構える中堅メンズカジュアル企業と、今後の取組みについて商談して来ました。中国内に直営店を軸に、加盟店含め1,500店舗の店舗網を持ち、知名度も二、三線都市を中心に高く、こちらの業界では「常に面白いことをやるメンズブランド」という認知をされている先です。最近では、メンズファッション界のカリスマ、Nick Woosterとのコラボブランドを、中国内でどんどん出店しています。
もちろん、上海、北京、天津、広州、シンセンなどの1線都市のモールを中心に、良い区画をもらい、店舗フォーマットもそれまでの標準店から、大型店に戦略変更をしていっています。客層は90后世代の男性に支持されており、競合ブランドは中国ブランドだと「GXG」、海外ブランドだと「JACK JONES」、つまり、カジュアル一辺倒ではなく、かっちりとしたジャケット、パンツなども展開するブランド。

展示会での発注方式についても、直営店舗の商品構成(SA商品が軸)は全国で統一させたシーズンもあれば、次のシーズンは裁量発注(つまり各地方の特性を活かして独自で発注する)に方向転換させるなど、試行錯誤を繰り返しても、確実に伸びてきた会社ですが、ここへきて下記のようなメンズアパレル企業にとって、異常な或るブームに苛まれているようです。

今中国で話題のメンズアパレル企業といえば、「海瀾之家」(HLA)という江蘇省に本部があるカジュアルブランド。何が話題かというと、その販路拡大手法がこれまでの類をみないやり方(こちらではHLA方式と呼ばれています)だから。
もう少し詳しい話を書くと、この企業傘下には全4つのブランドがあり、中にはUNIQLOを真似た「百衣百順」というものもあります。中国全国に2015年6月末段階で3,784の店舗網を誇り、同上半期だけの営業収入が70,33億元(約1,200億円)、前年2014年比39,58%増と驚異的に伸長している上場企業。

これまでHLAは、他のアパレル企業同様に、相手資本の加盟店、代理商と合作することで、全国各地に店舗網を築いてきました。ところが2015年から新しいHLA方式を導入し、次々に加盟店を純直営化して、上述の数字を叩いているという事になります。
中国人男性が好きそうなアイテム、カラー、スタイリングを研究し尽くしています
夏になると「確かに、いるいる」というアイテム群のスタイリング
これもビジネスシーンで良く見る、スーツではなく、単品を組み合わせたスタイル



ではHLA方式とは何か?ですが、簡単に言うと在庫リスクをHLAが全て持ち、同時に在庫は2年後にHLAに返品OKというもの。1年目は商品はSALEせずにプロパー販売、2年目は全店統一で売価変更(要は一律30%OFFのSALE価格)、2年目終了時に残った在庫を返品できるというもの。その代わりに厳しく縛る条件があり、展示会発注、つまり品揃えはHLAが全て決めたものにする、内装デザイン、什器、マネキン、販促物など、店舗運営で必要なものもHLAから購入する。こうすることでのメリットは?加盟店、代理店側は多少の資金(保証金)が掛かっても、これまでの買取り方式から、在庫リスクを持つ必要がなくなること、HLA側は、これまでのような加盟店、代理店が好き勝手に発注し、全国の各エリア、各加盟店、代理店の品揃えがバラバラで、FKUが広がりすぎで、ロットもまとまらないためコストが下がらないという悪循環からの脱却、そして店舗内装もHLA側の意見を無視して勝手にOPEN、店舗で使う什器、マネキン、販促物もバラバラ、これらも防ぐつまりイメージコントロールできること、のようです。

では?皆さんの疑問は「その2年後に返品された在庫商品はどうなるのか?」だと思います。答えは、驚くなかれ、加盟店、代理店から生産工場に2年後に返品されます、HLAに返品されるのでは無く。その在庫は中国のECサイトで再販されたり、商品織りネームを変えて違うブランドとして再販されるのです。もちろん、当然ながらHLA側と工場側がきめ細かな契約をして、成立しているやり方、そうでないとそもそも工場は生産自体を請け負わないでしょうし、多少なりとも利益があるからやるのでしょう。
だけど、このHLA方式がさも新しいアパレルビジネスモデル成功事例、のような形で全国に報道をされ、多くのメンズアパレル企業が、まさに俺も俺もと雨後の筍のように追随しようとしている状況です。この状況を私自身は当たり前ですが、悪い傾向だと思えて仕方がありません。確かに厳しいマーケット環境下、自社が新しい独自のやり方で、他を圧倒したいという気持ちは十二分に理解できるも、誰も商品(在庫)リスクを負わない方式が流行して本当にいいのか?工場だけが泣きを見るやり方は本当に正しいのか? 恐らく誰もが「それは違う」と言うでしょう。私の見解は、商品一点一点に、こだわりや、情熱や、魂を入れない、商品を重要視せず、目先の利益だけを考えたやり方は、そう長くは続かないと思います。

今日伺った上海のメンズブランドが、HLAのようなやり方に翻弄されないことを祈るばかりです。


それでは!





 2016/03/11 13:10  この記事のURL  / 



プロフィール
内田 文雄(うちだ ふみお)
上海在住。2011年 上海にてVMDコンサルティング会社 碧詩商務咨詢(上海)有限公司 設立。現在の仕事は「売れるVMD」を基軸に @中国アパレルに対してのSPA構築セミナー、月/週次指導 A中国、アジア地域に展開する日系ブランドのVMD&インテリアデザインディレクション B中国/日系ブランドへの売場活性化クリニック C新店OPENディレクション D販売スタッフへのVMD教育育成指導。いつでもお気軽にお問い合わせ御待ちしております。 モットーは「VMD IS MY LIFE!」    1984年から(株)ワールドにて数々のブランドのVMD業務に携わり、1993年に上海交通大学に留学、その後上海駐在。2005年4月ファーストリテイリング (株)ユニクロに転職、VMD部門の日本、グローバル(欧米、アジア)全体の責任者として、ユニクロのグローバルVMDの仕組み構築、店舗スタッフ育成指導、国内の大型店、海外グローバルフラッグショップのディレクションを担う。2010年8月ユニクロを退職し起業。 IFIビジネススクールVMD講師。

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