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実用品ビジネスとファッション感度
ブランドのキーマンとは・・・シリーズ: その2
実はキーマン次第でブランドが、スタッフの意欲が、戦略の実践力が、そして実績が変わるのです




異業種交流会で知り合った輸入ナイフや鋏、包丁、家庭用品を販売している会社の社長さんの話。

欧州の伝統的なブランドの包丁 や食器等は、何年に一度のペースで新しいシリーズを出しますが、基本的には商品寿命が長いので、長期間同じものを継続して売ります。

「家庭用品は“実用品”のカテゴリーで、売る方も買う方も、同じものがある事が安心なのです。ファッションのように毎シーズン新しい企画デザインが出て、トレンドが故に毎シーズン在庫一掃処分を迫られる事もないのですよ」 
これが社長の一言でした。

私の好きなブランドのひとつにAlessiがあります。

20数年前にイタリア駐在していたときに購入した“鶏のとさかが付いているアレッシの薬缶は今でも大切に使っています。

実用品の薬缶なのですが、デザイン・・・これがいいのです。



そう考えると、ファッション商品であっても永遠の実用品として「何を批判批評されようと、自分が良いと感じたものがファッション!と頑なに継続する商品」が一つくらいあっても良いのではないでしょうか。

売れ筋、ファッション、流行、世間の評価・・・など一切無視して「これがファッションデザインだ!!」と言い切る商品の事です。

売れることが「ファッション」とは誰も云っていません。また、「ファッショントレンド」にフォローしていたら商品が必ず売れる!とも云っていません。

くだんの輸入刃物の会社社長、「早田さん、ファッションビジネスではトレンドに当たると売上が必ず上がるものなのですか?」

まったく、別の視点もあります。
毎年デザインがほとんど変わらないと思われているメンズコートブランド。
商品に付いている襟ネームなどに、シリアル番号で「2010年124/200(200着限定の124番目)」というこだわりを発信しているブランドがありました。

「私は父と同じトレンチコートを持っており、父は1988年23/100版ですが、私のコートは2010年 155/200です・・・」という会話を想像します。

長年同じトレンチコートであるという実用品ではあるけれど、購入する人の気持ちとしては愛着のある大切な一着になります。

そして、過去40年も同じ企画が継続したという、そのトレンチコートの展示会に行くと、時代別に「微妙なディテールの違い、生地の織や番手が、時代で若干異なっている・・・」などと解説されており、その背景と変遷を感じる事が出来るのです。まるでコカコーラのロゴのように、気付かれずに少しずつ変えているのです。

これってありですよね。

このような視点で企画するMD、一人位出てこないですかね〜(笑)。
 2012/05/29 02:10  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

MDという職種とは!?
ブランドのキーマンとは・・・シリーズ: その1
実はキーマン次第でブランドが、スタッフの意欲が、戦略の実践力が、そして実績が変わるのです



某アパレル企業の人事部長A氏とランチをした時、ため息まじりに人材研修の難しさを話してくれました。

通常の人事部が行う人材研修は管理職研修、営業職研修、デザイナー研修、店頭販売員研修など多くの社員を教育・研修するプログラムがありますが、ブランドのMDは会社の中でも担当する人数が少なく、あらためて研修をするプログラムがありません。

役員会議で「このような時期だからこそ人材の充実・開発・研修を行い、企業を担う人物の重要性を再認識せよ・・・」と云われても当惑するそうです。



まずはMDとは何をすべきか?何がMDの基本的な役割かが明確になっておらず、会社の風土や部署の歴史、さらに昔から先輩の仕事(背中)を見て学べといわれても、つまり業務のスタンダード(標準)が無いのが現実です。

しかし、実質的にはMDとなる人物の出来不出来やキャラクターでブランドの方向性や実績に影響することが多々あります。

従来のMDとは企画の担当者として、商品企画の構成、商品群の決定、デザイナーと商品デザインや素材原料、メーカー設定、発注仕入など商品の制作・生産に関わることやデザインなどソフトに関することに注力を注いでいました。



いわゆる売れ筋商品の開発やモノ作りといわれる業務のことです。

ところが、ブランドの差別化=商品の差別化だけでは実績が上がらなくなってきているのは周知の事実です。

MDが問われている資質とは「商品を企画する人」から「ビジネスを創造する人」へと大きく変わっているのです。

担当ブランドの新規流通への開拓、異業種とのコラボレーションン、ブランドのマーケティングでの仕掛け、販売方法の改革、ブランドの付加価値アップのためのコラボレーションンなど「新しい商品を作る」から「新しい販路、売り方、顧客作りへのマーケティング能力」を求められています。



商品知識は当然ですが、プレゼンテーション能力や企画立案力、交渉力、などビジネスマンとしての開発資質を求められています。



ブランドの知名度が上がらないのは雑誌などマスメディアへの予算がないから・・・という言い訳はとっくに通用しなくなってきています。

ブランドを売場と雑誌メディアではなく、ブランドサイトとFacebook、ブログ、ツイッターなどのソーシャルメディアとの仕掛け作りやブランドメッセージ作りが即効性と実践的な戦術となっています。

しかしそれってどのように具体化するとか成果の検証など参考や判断する基がありません。

予算がないではなく発想やアイデアの有無、そして実行力を問われています。

MDが商品にこだわりがあるのは当然ですが、「モノ作り」だけに閉じこもって売上げ日報に目を通している時間がますます無くなってきています。

ますます頭でっかちで混乱してきています。
頑張れ!MD殿
 2012/05/09 00:13  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

プロフィール
早田 敬三(そうだ けいぞう)
株式会社レナウン初代ミラノ駐在員として、ライセンス、現地生産企画のオペレーションを担当。帰国後、婦人企画、新規開発、紳士ブランド開発なども経験。
1998年Michael St John氏Venticinque Italia srl.社(本社ミラノ)をパートナーとして株式会社アドスインターナショナルを設立。
イタリア企業の日本市場進出のマーケティングコンサルタント、国内企業のブランド再構築プロデュースを手掛ける。

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