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異業種の開発依頼から生まれた“天女の羽衣”!
日本(工場)発信ブランドは!シリーズ:その3
《日本の良さを世界に発信させる・・・何度もトライされた永遠の課題、日本ブランドへの期待と魅力を海外視点で再認識する》



2005年に開発販売された、石川県に本社をおく天池合繊(株)の“天女の羽衣”がここ数年注目されています。
ポリエステル素材の開発で1平方メートルあたり10グラム,7デニールという超極薄の素材開発です。

現在の繊維業界の中でも合繊繊維のメッカである北陸地区はこの不況下で大打撃を受けており、倒産や廃業に追い込まれている同業者が決して少なくない。
そんな中での大躍進は発想転換による新技術の開発でした。

元来北陸産地は日本全国のポリエステル生産の46%、合繊繊維全体としてはの65%を占める一大産地です。製造品出荷額も織物業では福井552億円、石川県365億円と日本で愛知県に次ぐ2位,3位の製造額です。

しかしながら事業所数は93年を100とすると2008年は40、総出荷額は93年対比58%と15年でビジネスが約半分になっているのです。
そんな背景での新規開発に大きな賭けであったことは想像に難くありません。

きっかけは同社の技術力をみこんだ紡績がプラズマテレビに用いる電磁波防止極薄シートの開発依頼であり、その軽くて薄い生地を服地に活用出来るのではないか?との発想転換が大きなきっかけだったとのことです。

生地開発に際し、目的が従来の服地開発であれば、過去の服地開発の経験や発想にとらわれてしまいがちです。しかし、この企画の場合は“プラズマテレビの電磁波防止シート”というファッションとは異なる顧客の要望に対して技術開発の着眼点をおいた結果の商品企画ということが大きな注目点です。

過去の経験と技術の継承で新企画を開発する時に「洋服の生地とはこういうものじゃなければダメだ!」「生地の常識とは・・・」「合繊繊維は天然繊維より安いものだ!」など、職員や専門家であるが故に決めつけた発想や自分の経験値を絶対視することがよくあります。

海外の一流ブランドで取り上げられたり、オペラ座の舞台衣装に使われたりするなど、開発したニュースが広まると益々ブランドとして評価が上がります。

この企画の成功要因は服地開発としてアイデアをスタートしなかったことが、おおくの繊維関係のビジネスから評価されることの理由です。

我々も「日本ブランド」「made in Japan」のもの作りに際し、過去の経験や発想という殻を一度脱ぎ捨てて、常識を疑って考えるという大胆さが近道かもしれません。
資料データ:2010年日本銀行「北陸のさくらレポート」より
 2011/10/19 09:19  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

made in Japan! 何が特別か・・・を顧客はしりたい!
日本(工場)発信ブランドは!シリーズ:その2
《日本の良さを世界に発信させる・・・何度もトライされた永遠の課題、日本ブランドへの期待と魅力を海外視点で再認識する》


メキシコのサラーペ織りのマルチカラーブランケットは独特の手法、伝統的な技法をつかった「本物」です。旅行でのエキゾチックな雰囲気にカンクン空港でお土産代わりについ買ってしまうことがありますが、ビジネスとして仕入れて販売をする・・・という視点になった時には当然慎重になります。

それは、メキシコでの職人の工房では商品に感激したものの、日本の売場にその商品が並んだ時に「7000円が価値があるもの」「コットンのスラブ糸使いがデザイン的に優れたもの」「マルチカラーがカッコいいので思わず欲しくなるもの」、さらにビジネスとして日本の売場で価格が通用するか否かです。

我々のmade in Japanブランドは海外の人々にそのように映っているのではないのでしょうか。京都で見つけた西陣織の雑貨袋は、その場所では美しく価値感もありましたが、いざ自国の売場で展開して売れるでしょうか、しかもかなりの高額で。

得てして発信者としては、伝統的な技法や高級な素材との誇りや思い入れがありますが、要はそのメッセージが消費者にビジネスとして伝わるか? ビジネスとして購入や仕入と対象となるか? 店頭でしかるべき価格で販売出来るか?などが問われていることを忘れがちです。

空港で売られている民芸風お土産は、ともかく衝動買いが出来る手頃な値段であることが第一条件で、さらに雰囲気やイメージが商品に漂っていればいいのですが、made in Japanは決してそうではないはずです。

逆に銀座の展示会などで作家がこだわって創作した作品は、素材,技法など伝統的な価値やこだわりなどの本物感が伝わります。 作り手の意欲や意識が前面にだされており、1点ものの作品として、どうだ!!と云わんばかりに空間やイメージ演出の中で光っています。

しかし我々がこれから取組もうとする「made in Japanブランド」は消費者にどのように映っているのかではなく、どのように価値を提案するかを理解する必要があります。

イタリアや英国の友人による「made in Japan」商品に対するイメージは、第一に「デザインとして美しい!」「カッコいい!」「当然品質のレベルが高い!」があります。

つまり何が特別か? カッコいいか? を顧客はしりたい!という視点でビジネスや商品を考え戦略を組み立てる必要があります

また、香港や韓国の友人達は「ファッションだ!」「今風のトレンド!」という捉え方や期待をしている若者が多くいます。 もっともアジアでは日本のファッション雑誌が同時に情報として流れており、made in JapanというよりJapanデザインという捉え方が強いようです。

某メーカーさんに伺ったおりに、made in Japanの自社ブランドを立ち上げたとのことで、過去の自社ブランド立ち上げの経緯を説明していただきましたが、その自社ブランド商品とは過去のいろいろなアパレルのOEM受注商品で実績があった商品を多くあつめて、自社ネームを付けているだけだったのです。

何が特別か? カッコいいか? 価値があるか?をビジネスにすることがmade in Japanの課題の一つであることは間違いありません。


過去に日本メーカー(工場)のオーナーの方々は、産地ブランドや自社ブランドを何度も挑戦してきました。
しかし、モノ作りに対する発信者視点があまりにも強すぎて、受信者としての消費者がどのようなチャンネルでどのように購買をしたくなるか・・・までの仕組みと仕掛けにまでこだわってきませんでした。

Made in Japan ブランドの組み立てには自社で何を作るかではなく、どのようなビジネスモデルを考えるかからスタートすることが大切です。
 2011/10/17 02:51  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

GUCCI 職人イベント
横浜高島屋1FでGUCCIの職人によるイベントが開かれており、一流ブランドと云われるモノ作りを肌で感じることの出来る企画でした。



これはレザーグッズの職人(アルチザン)が歴史を背景としたグッチならではのクラフトマンシップをプレゼンテーションしているのです。この期間中にお買い上げのお客様へはこの職人による、イニシャルを無料でサービスするものです。

この素晴らしい企画は、メディアで神話的に伝えられているクラフトマンとしてのモノ作りを、身近に知る機会をファンのみならず一般の消費者により信頼を与える何よりのメッセージとするからです。



どのような美辞麗句より目の前で本物のアルチザンが自分の為の一つを作ってくれるという信頼のメッセージなのです。

雑誌やウエブのニュースもさることながら、自分がアルチザンに自分のイニシャルを彫ってもらった感激が口コミとなり、またそれが口コミになり、また・・・。

この一番の販促キャンペーンはどのようなお金がかかったファッションショーより原点回帰の感動を与えることが出来ると改めて敬意を表する気持ちになったのです。

モノ作りと顧客であるユーザーとの距離の大切さをあらためて知らされた素晴らしい時間でした。
 2011/10/07 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

なぜ日本(工場)ブランドの構築か!? 
日本(工場)発信ブランドは!シリーズ:その1
《日本の良さを世界に発信させる・・・何度もトライされた永遠の課題、日本ブランドへの期待と魅力を海外視点で再認識する》



現在の日本アパレル市場の海外生産比率は1995年の37%から、2011年の92%超となっており(2011年繊研新聞)、たった15-6年で日本のアパレル関連の生産背景が大きく空洞化していることは周知の事実です。

紡績、生地産地、縫製工場、染色や加工場、などは海外移転や廃業に追われ、さらに後継者難なども相まって、自力での生き残りが待った無しの状態です。 それがMade in Japanであるメーカーブランドの開発へと課題があるものの、その決定的な解決方法が見えてきません。

日本メーカーの高コスト体質、生産拠点やモノ作りの背景や競争力が次々と失われている現状、アパレルなどの仕入率の低下に歯止めが利かない、中国など海外での製品力、技術力などの急激なアップ、原料調達やロジスティックの対応力の増強など、日本でアパレル商品を作る理由が無くなってきているのも事実です。

また、発注者であるべきアパレルの企画MDや専門店のバイヤーなども、ゼロからモノを作るということを忘れ、提案されたものからのセレクトで時間と経費の効率を上げることが使命であると思っているようで、かつてあった商品企画魂?がすっかり様変わりしてしまいました。

糸を開発し、織りを研究し、素材や生地の風合いや感性にこだわり、シルエットや色に多くの時間を割く・・・という企画風土が無くなってきているのです。

そして経営層からの指示によりさらなる仕入原価率の交渉、製品や原料の在庫リスク回避、発注時期の遅れや企画期間の減少、など工場としてものつくりを受身で待っている企業は限界を超えているのです。

このシリーズではこれらの背景から、日本ブランドをメーカー(工場)としてどのように開発してゆくかの視点を明確に整理してゆきたいと思います。

テーマは
1) 商品は作れるがブランドが作れない
2) ビジネス発想で商品を作る
3) ブランドは何の為に作る
4) ブランドの立ち上げ方
5) ブランド開発の投資と実践ポイント

などです。
 2011/10/03 01:33  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

プロフィール
早田 敬三(そうだ けいぞう)
株式会社レナウン初代ミラノ駐在員として、ライセンス、現地生産企画のオペレーションを担当。帰国後、婦人企画、新規開発、紳士ブランド開発なども経験。
1998年Michael St John氏Venticinque Italia srl.社(本社ミラノ)をパートナーとして株式会社アドスインターナショナルを設立。
イタリア企業の日本市場進出のマーケティングコンサルタント、国内企業のブランド再構築プロデュースを手掛ける。

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