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言葉情報を視覚化する
ブランドを視覚化しよう その6

職人やモノ作りの匠の世界を表現することを大きな特徴とする、ハンドメイドの靴ブランドがあります。そのブランドの製作現場の親方(皆はそう呼びます)の仕事は、決してクリエイティブでかっこいいイメージではありません。

職人が代々口伝えで受け継いできた縫製の手法、なめしの部位ごとに微妙に厚さの違う皮生地を手触りで感じ取る技、裁断の際のマージンを直感で決める感覚・・・など、全て経験と勘に裏づけ された、地味でこだわったモノ作りのなのです。

このようなプロセスを踏む仕事を一般の人に説明するのは容易ではなく、弟子ですら、ただ何年もひたすら親方を真似ているだけです。写真やグラフィックで表現しようにも、特定のマニュアルがないので形にすることが出来ません。結果として、ブランドイメージの表現が難しくなります。

それでも、このブランドが発信するメッセージを文章以外で伝えようと、あるシーンが撮影されました。その写真は、仕事場で働く親方の後ろ姿と節くれだった手のひらでした。

本来、言葉の情報をイメージで視覚化するのです。

言葉で伝えられないブランドの 奥深さを、商品のディスプレーではなく、古い作業場で働く職人の手の写真で表現する。それがこのブランドにより奥深さを与え、「本物の凄さ」を伝えています。

形になりにくい情報でも視覚化はできる。
形になりにくい情報だからこそ、視覚化することにこだわるのです。

この一枚のシーンにどれだけの思い入れがあり、写真を撮影するのにどれだけの時間を費やしたのかは定かではありませんが、表現力にとても感動しました。
 2010/08/21 05:32  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

視覚化された売場は・・・
イメージを視覚化する その5

かなり以前より「B- Three」という婦人ストレッチパンツのブランドがあります。このブランドのパンツは伸縮性が良く、着用時のシルエットが美しいと評判の 2Wayストレッチ素材を使った実用的パンツです。

通常、パンツ単体のみの婦人服ビジネスは難しいものです。また、ストレッチ素材のパンツという商品は特段珍しくもなく、実際、過去に数多くのブランドが手掛けたアイテムです。通常、百貨店や量販店の婦人服売場の平場でも、 あまり目立つ商品ではありません。

しかし、「B-Three」ショップの売場は、サイズやシルエットを選び易く配置し、オリジナ ルの商品パッケージを使ったディスプレーで統一しているので、ひと目で「B-Three」の売場だ!と分ります。つまり、「ユニーク(特徴的)な 売場のイメージが商品を思い起こさせてくれる」のです。インターネットで「B-Three」のオフィシャルサイトを見たら、ナントこのブランドは 全国に140店舗もありました。



ブランドを視覚化するのに一番効果的なのは「売場」です。なぜなら「購買」
というアク ションに一番直近の場所だからです。

よく思い出して下さい。
せっかく雑誌で気に入った商品と思っても・・・
友人からそのブランドを聞いても・・・
テ レビで見たブランドでも・・・
駅のコンコースの看板を覚えていても・・・

肝心の購買時にブランドの売場のイメージが思い浮かばない、売場 の場所が分からない、売場の前を通っても気付かない・・・ということがあります。


消費者がせっかく商品を気に入って覚えてくれて いても、売場を知らなけれ
ば売れませんよね(笑)。

売場を視覚化する意味って、見なさんが想像している以上にありますよ。
 2010/08/17 13:35  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

視覚化されているRenova
ブランドを視覚化しよう! その4


数年前から、雑誌やラジオでRenovaというポルトガル製のトイレットペーパーが紹介されています。

Renovaは、黒(!)や、ポッ プなオレンジ、黄緑などの既成概念を破るカラー使いが特徴のトイレットペーパーです。値段は3ロールで2,625円。
つまり、1ロールが 875円もします!日用品としてはバカ高い!!


通常のメーカーであれば、主要アイテムのトイレットペーパーで常識を超えた チャレンジはしないでしょう。この場合の業界の常識とは、「白い衛生的なトイレットペーパー」であるということです。しかし、平凡な白いトイレットペーパーでは視覚的ニュースになりません。



もし、これがエジプトから輸入された極上品質の紙を使った、白のトイレットペーパー だったとしても、これほど注目を集めたでしょうか。

もし、これがリサイクル活動に貢献している、白のトイレットペーパーだったと しても、これほど注目を集めたでしょうか。

もし、素晴らしいアロマの香りが特徴の、白のトイレットペーパーだったとしても、これほど注目を集めたでしょうか・・・。

トイレットペーパーという物は元々、スーパーやドラッグストアの店頭に赤札で割安を表示する 生活用品です。わずか1円の店頭セール価格の差が、しのぎを削る商品のはずです。

ところがどうでしょう。消費者からすると、ギフトになる「話題性を含んだ面白トイレットペーパー」であれば、3ロールで2,625円は特段高価ではないのです。気に入ったギフトが、 “たまたまトイレットペーパー”なだけ、ということです。

業界の既成概念にどっぷり浸かっている人にとって、「遊び心でトイレッ トペーパーをギフトにする」という発想は、業界内ではありえない事だったと思いますが・・・。

商品説明には、「皮膚科 学、婦人科学テストも実施した、体にやさしく、また生分解可能な地球にもやさしい製品です。原料にはリサイクル可能なヴァージンパルプを使用」と優れた性能や特徴が書かれていますが、やはり視覚化されている所にこそ、Renovaブランドとしてのパワーを感じます。

新しい発想で、ブランドの1番のパワーアイテムを視覚化する・・・。

あなたにその発想と勇気がありますか。
 2010/08/10 08:02  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

宣伝イメージの一新を視覚化する
ブランドを視覚化しよう!編その3



「マ ルボロ・レジャーウェア」という米国ブランドがあります。

1970年代に米国の巨大タバコ産業を営むフィリップ&モーリス社は、タバコビジネスの社会的評価から、近い将来に宣伝やプロモーションなどに規制が起きることを予測しました。その規制への対抗策として「マルボロ・レジャー ウェア」という、同名のスポーツブランドが立ち上げられたのです。

タバコの宣伝に規制があったとしても、健全なスポーツブランドをプロモートすることには、なんらお咎めはないはずです。ただし、このスポーツブランドはタバコのマルボロと同じブランドロゴとカラーでなけれ ばなりません。





ブランド立ち上げ当初は、いまひとつパッとしませんでした。やはり、スポーツにしては不健全なタバコのイメージを どうしても引きずってしまう初期プロモーションを行っていたからです。

その後、試行錯誤を繰り返し、3年後にカウボーイのイメー ジで広告戦略を一新したニュー「マルボロ・レジャーウェア」ブランドを打ち出しました。

カウボーイは当時、米国人にとって強いアメリカを象徴する改革的イメージがありました。その為、テレビや雑誌広告、ポスター、ビルボードなどが町に氾濫すると一気にブランドイ メージが上がり、スポーツブランド「マルボロ・レジャーウェア」の売上げが飛躍的に伸びました。

当時の米国の消費者にとって、 「どういうデザインの商品」より「どういうイメージの商品」なのかが、購入プロセスの第一段階だったのです。


消費者は、ユニー ク、面白い、かっこいいなど、特定の良いイメージのあるブランドに興味を持つと、やがて、どの様な商品なのかしら?と購買へと近づいてゆくのです。反対に、イメージが悪いブランドの場合、消費者は売場に足を運ぶことはないでしょう。

ブランドの宣伝イメージの変革 も、それを視覚化することで初めてブランドメッセージとして伝わるのです。
 2010/08/08 16:00  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ブランドを視覚化しよう!(その2)
 ロゴの変更は気分転換? 


ブランドの革新的な刷新案の具体例のひとつに「ロゴの変更」があります。

何故、大袈裟に「革新的な刷新」と表現したかというと、ロゴを変更するという事は、ブランドにとって非常に大きな意味があるからです。

近年では明治製菓がMeijiロゴを変えましたね。

ロゴを変更する場合、その理由を明確にする必要があります。何故なら、まず経費がかかります。看板、広告、パッケージ、書類、名刺に至るまで、新しく制作するのは勿論、ロゴ入り企画、販促物、ショッ プの看板、パッケージ、紙袋などの変更も必要となるからです。

現在ある下げ札やネームタグを使い切ってから・・・や、袋とポップ は来年から・・・等、変更を先延ばしにし、新ロゴと旧ロゴが中途半端に混在する期間が長いと、却ってマイナスイメージを増幅させます。

また、たとえロゴを変えても、大抵は売上げが上がるどころか、ただ経費がかかるだけです。そのため、「ロゴの変更」は売上げを上げる手段として安易に行うことではなく、経営者や事業担当者の、将来のブランドビジネスに対する熱い情熱と堅い決意の表れでなくてはならないのです。決して「デザインに飽きたから」など中途半端な気分転換で行うものではありません。

明治の場合は明治製菓と明治乳業の企業統合を形であら割る必要があったのです。



以前、松下電器産業がNationalというブランド表記をこれから全て 「パナソニック:Panasonic」に変更することに決めました。勿論、世界的大企業といえども、ネームやロゴを変えて利益や売上げが 増えることはありません。それどころか、この変更に伴う経費は300億円の支出となるそうです。

この松下電気産業の決断は、創業者の故松下幸之助氏や松下一族と企業決別を意味した大きな決断と同時に、未来への大きな戦略的決意を内外に表明していると考えられます。

一方、米国のコカ・コーラは、創業から現在まで8回ほどロゴマークを変えたと言われています。しかし、都度のデザインは、いつの間にか8回も変わっていたという程、微妙であまり目立たなかったようです。

また「ロゴの変更」に伴い、ファンや信者と言われる消費者の気持ちの変動が 起こる可能性があります。デメリットとしては、ロゴの変更によって「やはり、私が思っていたブランドとは違うんだ・・・!」と、ファンであった消費者が離れてゆく場合です。反対に、「新しいブランドになるのかしら…?」と新たに興味を持ってくれる人が増えるメリットもあります。

作業用ユニフォームを作っている某日本企業が、米国の化学会社の研究者向けに特殊素材を使用したユニフォームを受注しました。その際、「米国の異分野向けのビジネスユニフォームの開発!」というニュースと共に従来のブランドロゴを変更し、企業ブランドのイメージを刷新したのです。

その日本企業の社長は「ブランドのロゴが変わりましたね?」と聞かれる度に「実は米国の・・・」と、新ビジネスを対外的にアピールするきっかけになると言っていました。未だに国内需要が95%ではありますが、米国進出の為にブランドロゴを変更したという新しいニュースが、その企業の未来を変えるだろう!と期待をしたのでしょう。

アパレルブランドの中には、自分のブランドロゴのフォントやデザインを様々に変えてTシャ ツなどにレイアウトしているのを見かけますが、ブランドロゴはデザインの題材ではないのです。

まさか、デザイナーの遊び心や現場 の担当者の気分転換で行われているので
はないですよね・・・(笑)。
 2010/08/03 11:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

プロフィール
早田 敬三(そうだ けいぞう)
株式会社レナウン初代ミラノ駐在員として、ライセンス、現地生産企画のオペレーションを担当。帰国後、婦人企画、新規開発、紳士ブランド開発なども経験。
1998年Michael St John氏Venticinque Italia srl.社(本社ミラノ)をパートナーとして株式会社アドスインターナショナルを設立。
イタリア企業の日本市場進出のマーケティングコンサルタント、国内企業のブランド再構築プロデュースを手掛ける。

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