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魅せる商品は儲けへのインパクト
次世代のブランドMDへ
センス(感性)とロジック(数字)を強みにする



【魅せる商品は儲けへのインパクト】


10年以上前のことですが、某メンズブランドの
クリエイティブディレクターT氏がオリジナルで
"ぶっ飛んだ企画"アイデア
を探しに、紡績会社の開発部へ足を運んだのです。


そこで見つけたのが、多配色のツイード生地でその紡績会社の中でも
遊び心が過ぎた素材?といわれ、とてもオーダーが入らないであろうと
諦められていた奇抜な生地です。


20数色のカラーネップをリング状に絡めたファンシー素材。
あまりの色数のヤーンの紡績なので、コストもさることながら
生産効率が低く、配色が組めない難物企画?です。

ともかく20mを試織りをしたのですが、
サンプル生地企画でも2万円/m以上もするのです。

T氏はその生地でミリタリータイプの尖ったロングコートを
デザインし、上代を25万円の設定で展示会にかけたのです。

当時「○●紡績との独自コラボ企画」と銘打って、
世界で初めてのマルチリングヤーンを使ったツイード生地!と
大々的に展示会で発表したのです。
限定生産で5着しか生産しないということで、その希少価値を訴えかけます。

たまたま展示会を訪れたイタリアのジャーナリスト
Tommasi氏が気に入ったこともあり、その彼が羽織っている写真に
イタリア人ジャーナリスト推薦!のキャッチコピーを
つけてしまったのです。

元々20mの生地をロングコートを取り切りで5着制作。

このインパクトがある商品が後に繊研新聞でニュースとして取り上げられ、
売場ではその話題で接客のコミュニケーションが出来上がり、
コートをブランドの3周年記念で2名様にプレゼントをするという企画に発展しました。

このプレゼント企画が百貨店やファッションビルのバイヤーや担当者にも知れ渡り、
そのバイヤーの口コミで取材もありました。


たった20mの生地のおかげで・・・
たった5着の商品のおかげで・・・
たった1シーズンのロングコートの企画のおかげで・・・



魅せる商品として企画したこのロングコートが、商品の売上以上に
ブランドの価値を高めてくれる効果があったのです。

商品が売上を作り、その利益を企業に還元することがビジネスですが、
同時に商品がブランドを作り、その価値を企業に還元することも大きなビジネスです。


自分に取って「魅せる商品」が何であるかを改めて考えることは、
売れ筋商品を考えること以上に重要な気がしませんか?


 2015/03/12 14:52  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ミラノ老舗ブランドは来店客急減の危機
次世代のブランドMDへ
センス(感性)とロジック(数字)を強みにする



【ミラノ老舗ブランドは来店客急減の危機】


ミラノのマーケティング会社に勤めるアレッサンドラ女史。
デザイン芸術大学で油絵を専攻し、
今はファッション雑誌のイラストを手がける才女です。

その彼女がモンテナポレオーネ通りやスピガ通りの
老舗ブランドを取材した時の話です。



某専門店のオーナーは顔見知りの顧客の来店頻度が
年々下がっていると嘆いています。

その兆候は2005〜2007年ごろにZARAやH&Mが
エマニュアル二世通りに出店しだした時期からあったと回想しています。

老舗ブランドの馴染みの顧客の来店頻度は平均で年に4.7回/人です。
今までは店舗が閉まった後でも夜の散歩がてら、
ウインドーショッピングをするミラネーゼ達
をよく見かけます。

一方、ZARAの顧客は年で17回/人の来店です。(2009年、コリエレデラ・セーラ紙)
気がむいた時にウインドーディスプレーを変える
老舗ブランドと異なり、システム的にウインドーを対応する
SPA型ファッションショップに集客の軍配が上がります。

年間訪問数4.7回と17回という4倍の集客の差はビジネスに直接影響しています。






ミラノの老舗ブランドの若い経営者たちは
昔の老舗ブランドに胡座(あぐら)をかいていた反省に
固定客以外の新規顧客の集客に知恵を絞っているのです。


一人当たりの購買単価が増えない現状では、新たな顧客の集客が
ブランディングのテーマとなっているのは永遠の課題です。

 2014/12/22 10:46  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ABC分析: 商品の数字と役割
次世代のブランドMDへ
センス(感性)とロジック(数字)を強みにする

【ABC分析: 商品の数字と役割】




商品企画で古くから言われている分析に「ABC商品構成分析法」があります。

この分析法は「総売上の70%を構成する商品数は何か? またそれらの商品は何か?」など俯瞰的にブランドの商品企画を考える時の基本情報となる手法です。

パレートの法則(パレートのほうそく)といわれているものがあり、それは経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという説です。

例えば、
・商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。(ロングテール理論)
・売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
・所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
などです。

アパレル業界ではブランド次第ですが一般的には経験値から70%の売上を構成するのは、35%〜45%の品番数といわれています。
MonclerやNorthfaceのダウンジャケット、BurberryやAquascutumのトレンチコート、Barbourのオイルコートなどブランドを代表するパワーアイテムがあるブランドは展開する30%の品番数で全体の70%の売上を作ることも珍しくありません。




これらを知るには商品企画をする時に、A群、B群、C群に大別し期待値の役割を設定しながら一品番毎に数字を理解して予測して進めることがポイントです。

A群はどのブランドにもある、継続的な基本アイテムの商品群で、コットンブラウス、チノパン、デニムパンツ、ウールジャケット、カシミアコートなどシーズンやトレンド毎次第で売上に上下の波はあるものの、依然としてブランドの「読める商品企画」です。

このA群の商品は、競合ブランドにも同類の商品があるので、一点つづの商品デザインでの差別化は難しく、消費者はブランド名と価格設定で購入することになります。

つまりデザイン力よりブランドの信頼感、安心感が購入を誘発するのです。




C群は商品のアイデアが企画としての話題性のある「開発」「作品」「新発想」視点で組み立てます。

例えば、日本にはほとんどの無い最高級ビキューナ原料のニット、12色の先染め糸で織られたツイードジャケット、NASAの宇宙服のために開発されたと極薄鉄鋼ファイバー素材コートなど、圧倒的な話題性のある商品企画群です。
ブランド紹介の雑誌やプレス広報でニュースとして圧倒的にインパクトがある商品企画です。

ビキューナニットは上代が40万円、12色先染めジャケットは限定15着など希少価値も必要な情報です。原価率や上代はこの際重要ではなく役割としては圧倒的なニュース性です。

当然のことながら売上げ期待は一切ありません。売れなくて良いのです。
ですから、商品生産数は限定でほとんどサンプル程度でも十分な役割を果たします。

ビジネスの上ではA群は商品企画もさることながら生産企画が重要となってきます。 C群が品番当たり20〜30枚の発注規模であるのに対し、このA群は品番当たり千枚単位以上の生産企画となり、この商品に対する上代、原価、品質グレード、原料政策、工場選択、納品オペレーションなどは総合的にブランドの損益に影響する商品群であるということです。

ブランドには「少数だが売上を狙わない発信力のあるメッセージ商品」と「目立たないが大きなロットでブランド力で儲ける基本商品」が必要です。

売上実積の高い「儲ける商品」とその周辺企画商品でA群企画ばかりの代わり映えしない構成では、ブランドの面白さのみならず、存在価値も薄れてきます。

A群とC群の研究や葛藤の繰り返しから、本当のブランドのパワーアイテムが生まれてきます。

地味な作業ですが、毎シーズンの商品デザインと売上実積から本来の商品の「役割」を「数字」と検証することが「儲かるパワーアイテム」開発への第一歩です。

センス(感性)とロジック(数字)を強みにすることをもう一度考えませんか?




 2014/10/14 10:24  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

魅せる商品 儲ける商品
次世代のブランドMDへ

【魅せる商品 儲ける商品】


企画MDとデザイナーの間で一番盛り上がるのが「自社商品では◯◯が売れている!?」と店頭での商品別売上げデータ報告に無駄な一喜一憂をしてます。

なぜ無駄な一喜一憂なのか?

前売り売上げ速報の品番別実績一覧を見て
定番のチノパンが3週間で190本の売上げ実績・・・だから凄い!
トレンドのエメラルドグリーンの幾何柄プリントシャツがもう完売・・・だから凄い!
などと得てしてMDとデザイナーの会話は数字と説得力が無い場合がありますよね。

一方、某優秀MDはデザイナーに「魅せる商品と儲ける商品」を熱っぽく語ります。
「チノパンの190本は健闘しているようだが2000本発注の9.5%の消化率は期待以下だね、一方エメラルドグリーンのプリントはたった40枚しか企画していないが魅せる商品にしては、思いの外スピードがあるのが嬉しい誤算だったね」と解説します。

企画のセンス(感性)とロジック(数字) はビジネスでは整理して理解しておく必要があります。

何でもかんでもトレンドの商品を他より安く提供するのではなく、
商品別に役割と目的の仮説を立て、実績と比較検証できているか?を自問自答します。

前述のチノパンは儲けるアイテムでブランドの仕組みとして継続的に展開する商品。平均ブランド原価率が30%と仮定し、29%と1%でも益率UPを改善することで2000本ロットでNet利益が上がる意識を持っているでしょうか?。

一方、幾何柄プリントシャツはブランド露出でイメージを残し、売場で魅せる商品。
原価率が41%としてもたった40枚企画であれば、役割としては雑誌広告や売場で印象付けて集客する経費と割り切って考えれば効果的です。




MDは加重平均の原価意識を元に、品番別に役割と目的を付けてABC群に分析検証することが本来のABC分析です。売上げを永遠に上げるために展開品番数を際限無く広げることは出来ません。

儲ける役割の商品はより利益が上がる仕組みと仕掛けが求められます。
魅せる商品はより露出し、集客に貢献する為には発信力のあるアイコン(タレントやアスリート) などに無償提供すらも厭いません。

改めて「魅せる商品と儲ける商品」を意識してみませんか?











 2014/10/09 11:24  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

企画MDとデザイナーのパワーバランス
次世代のブランドMDへ
【企画MDとデザイナーのパワーバランス】



右脳でクリエイトや感性中心に置くデザイナー(クリエイティブ・ディレクター)と左脳で数字やオペレーションの論理中心に置くMD(マーチャンダイザー)とは対極にあるようですが、役割において相互補完関係にあります。


特に実積がある長寿ブランドの場合、経験と実績が圧倒するブランド主(ぬし)のようなデザイナーとフレッシュな若いMDとの組合せ。

数字と企画実績で経営層からの信頼があるMDと新たな感性で臨もうとする若いデザイナーとの組合せ。
・・・がどうなるか?などは実務に携わっている方々には思い当たることがあると思います。

ほとんどの場合、このパワーバランスは如何ともし難いのです。





デザイナーは常に新しいアイデアを商品化することに、感性を研ぎすまし、チャレンジをしようと試みますが、売上数字がチラつくMDや営業担当者の声高な意見に押し切られる場面に遭遇します。

ブランドの刷新、原点回帰、新しいターゲットへの挑戦など商品企画でブランドを変えようとつい意気込んでしまいがちです。競合や市場の企画の動きを少しでも反映させようというクリエーターとしての使命感です。

MDもそんなデザイナーの悶々とした気持ちを十二分に感じつつ、実積と検証にもとづく商品企画構成に頭を悩ませます。

問題の共通点は「実績」が「決めつけ」になってしまうことから障壁となるのです。

特に実積のある人ほど「それは過去に失敗した」「これは無理、出来ない」「そんなことは意味が無い」などと否定から入る"ネガティブ分析官"が少なくありません。

会社や組織では結果から物事を判断するためにどうしても逆算の論理に
なります。


そのような近視眼で捉えない為には、俯瞰してお互を共有することです。

右脳のデザイナーはクリエイトのポイントを絞り込んでMDに説明し、
左脳のMDは数字の組み立てをデザイナーに説明できるかです。
それ以上は勇気を持って立ち入らないことがコツです。

その為に仕事の役割分担を「ブランドを視覚化する」が理解する上で重要になってくるのです。

私が提唱している「ブランドバイブル」は視覚でイメージを伝え、視覚で戦略を理解し、視覚でビジネスを運営することです。

人は視覚と脳で納得するとスッキリするものです。

人間関係で煩わしい思いは誰しもしたくないのですが、真の補完関係はお互いをプロフェッショナルとして尊重出来る・・・ではないでしょうか。
 2014/09/24 09:35  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
早田 敬三(そうだ けいぞう)
株式会社レナウン初代ミラノ駐在員として、ライセンス、現地生産企画のオペレーションを担当。帰国後、婦人企画、新規開発、紳士ブランド開発なども経験。
1998年Michael St John氏Venticinque Italia srl.社(本社ミラノ)をパートナーとして株式会社アドスインターナショナルを設立。
イタリア企業の日本市場進出のマーケティングコンサルタント、国内企業のブランド再構築プロデュースを手掛ける。

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