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「誰が電気自動車を殺したか?」



ドキュメンタリー映画「誰が電気自動車を殺したか?」を観ました。
車を愛するユーザーとしては見逃せません

従来のガソリン車に代わる地球環境にも優しいエコ・カーとして期待されながら、いつしか姿を消した電気自動車。
その舞台裏に鋭く迫る衝撃のドキュメンタリー。

ということで、確かに衝撃でした。

まず私が知らなかったこと。

・電気自動車は100年前にすでに作られていて一度葬られている
・1996年にGMが電気自動車「EV1」を販売していたこと
・2005年までにはGM含め他にも電気自動車を作っていた自動車メーカーが自社の電気自動車の新品を廃車にし、電気自動車はこれで2度葬られていたこと。

これだけでも、「えー?そうなの?」という感じなのだけれど、
このドキュメンタリーが公開されたその2年後に起きた経済不況により、
そのGMを始めとするアメリカの3大自動車メーカーが、
皮肉にもEVカーの再開発を迫られているという現在があって、
更に複雑な気分になることだ。

なぜそんなことが起きたのか?
誰が電気自動車を殺したのか?

ことはそれほど単純ではありませんでした。
それでも映画では容疑者を下記のようにあげました。

容疑者:自動車メーカー
容疑者:政府
容疑者:石油会社
容疑者:州大気資源局
容疑者:消費者
容疑者:水素燃料電池


今ほどエコへの感心が高まっていなかった10〜5年前。
*ZEV規制への自動車メーカーの反発と、
*ZEV規制に殉じている”フリ”で作った電気自動車をあなどっていたこと、
消費者はハマーのような大きな車を好むと決めつけたこと、
石油会社からの猛バッシングを受けたこと、
政府のエネルギー政策が新しい大統領になるたびにコロコロ変わったこと、
それの産物として、水素燃料電池が登場したこと、
(水素燃料電池は水素を作るのに、電気を電気自動車の3〜4倍使う)
水素燃料電池自動車を石油会社と組んでGMが大々的に推進したこと、
電気自動車には内燃機器が無いので、そちらの商売が成り立たなくなる、
そして、州が*ZEV規制を後退させたこと、


などなど時代の流れの中で理由はさまざま。
でも、GMの決断は「EV1は売らない」でした。

実際にEV1を使用していた消費者から無理矢理奪い取ってまで、
電気自動車を抹殺しました。
(もともとGM得意の”リース”で出していたので回収可能だった)

ちなみに、GMだけではなく、
TOYOTAのRAV4EVも抹殺された車の1つ。

でもTOYOTAには現在プリウスがあり注目を集めています。
これはこれで素晴らしいと思います。

5〜6年前、GMがプリウスのようなエコカーは商売にならないとあなどり、
ハマー社を傘下に入れた翌年、EV1は全て廃棄処分となりました。
その間日本の企業は逆にエコカーに力を入れ始めていたのです。
それが現在の勝敗の分かれ道でした。

今年、2009年は、
昨年の経済不況を受けて、
より再生可能なエネルギーを利用することに注目が集まっていて、
抹殺された電気自動車は一躍スターの座に躍り出ようとしています。
まったく皮肉です。

デザインを理由にエコカーにシフトしない私は、
「容疑者:消費者」の1人です

でもなんだかこれを見ていると、
ガソリン車が悪者みたいで可哀想になってきます
車に対する愛情はどちらも一緒。

以前、映画「HOME」に関してのブログ内で、
「現在のエコブームは次の犠牲者をすでに決めている」
と書いたけれど、
ガソリン車はまさしく最たるターゲットでしょう。

・ガソリン車
・タバコ
・遺伝子組み換え製品
・有害な農薬、合成肥料、殺虫剤を使用した農作物

もちろん、これらの抹殺も実際に体と地球に優しいなら受け入れられます。

ちなみに、写真の車EV1は、
動かないけれど、90年代に生産された現存する最後の一台。

航続距離は160kmで、
馬力も早さもガソリン車と同じかそれ以上だったそうです。
EV1用電池の開発者、
オブシンスキー夫妻の電池はかなり画期的だったようです。
(彼らは今シート状の太陽電池を開発しています)

リースしていた有名人にはメル・ギブソンやトム・ハンクスもいます。

かつてのEV1ユーザーたちは、
EV1廃車にはかなりの反対運動をしたそう。

政府の政策、広告宣伝、に惑わされやすく、
何が本当にいいのか判断がつきにくい環境にある今、
こうしたドキュメンタリーは必要かも。
ただ、特定の誰かを責めるだけの映画はちょっと重いけれど。

私個人としては、
エンジンの音にしびれる感性は持ち合わせていないので、
静かに早く走るEVカーには興味大です。
ガソリンと違って手が汚れる頻度も少なそう
問題はデザインとそれに見合った値段!
ただそれだけです。

我が愛車VOLVOからも、
デザインそのままに、もしくは更にかっこいいデザインの車が出たら、
買い換えは検討範囲内かも



*ZEV規制
ある一定比率をZEV(zero emission vehicle,無公害車)としなければならないカリフォルニア州の規制



「誰が電気自動車を殺したか?」
原題「WHO KILLED THE ELECTRIC CAR?」
2006年アメリカ映画
93分
クリス・ベイン監督
 2009/06/28 21:29  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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