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「onceダブリンの街角で」



良かった〜。

途中途中何故か泣きたくなる。

素朴な映画なんだろうなーとは思っていたけれど、
普通の人々の普通の生活の中の小さな、
でも、やがてキラキラと輝く星が生まれている感じで、
すごく良かった。

私が一番心を動かされたのは、
やはり、曲が出来上がっていく過程。

主演の2人は、それぞれ本物のミュージシャン。
男性は、グレン・ハンサードで、THE FLAMESのフロントマン。
彼の声と唄い方、メロディラインには特徴があり、
映画の中で聴くなら「合っているな〜」と思えるけれど、
実際ライヴだと飽きるかなー、と思いながら鑑賞していると、
女性、マルケタ・イルグロヴァが1人でピアノを弾き語りするシーンが出てきて、
それをグレンが静かに感銘を受けているように聞き入る。
グレンの曲にはまったくない空気感。

1つのアルバムの中で、
いろいろな幅がある楽曲が詰まったタイプを私は好むので、
このシーンを見ながら、
ああ、この彼は彼女を得て初めて違うテイストを自分の音楽に入れられるのだなーと、
リアルに感じられ、音楽を作るにあたって、
バンドの構成が絶妙な奇跡のようなバランスで成り立っているのを感じさせられる。

人と人との出会いで生まれる音楽。
彼らが保ち続けた距離感もそのまま音楽となる。
「まちがい」が起きないように空けた距離。

2つの星が衝突して出来上がった宝石のような楽曲を持って、
彼はロンドンを目指す。

息子を送り出す父親の静かな応援がまた泣ける。
そして実際の挑戦はこれからで、
素晴らしい音楽を作って、はい終わり!ではなく、
それを世界の人々に届ける、売っていく、という現実的な部分を私は感じて、
なんだか励まされた。
音楽を作るというのは、ただの夢物語ではないのだから。

優しく束の間寄り添った2人は、
それぞれ別の生活を始める。

ラスト、約束をしたけれど、彼女に会えないまま彼はロンドンに行く。

通常の映画では会えたりするけれど、
実際は日常のやるべきことに約束も埋もれていく、
これのほうが現実だよね。
それが良い感じに切なくて、素敵な演出だった。

劇中、
2人には役名が無く、
エンドロールにも、「guy」「girl」になっている。

日常を切り取った感があるし、
名前なんて大して気にならない。

主題歌は、聴けばみんな知っていると思う。
今年度のアカデミー賞で歌曲賞を受賞した。
「Falling Slowly」

来年1月には、主演の2人がアルバム「THE SWELL SEASON」のタイトル名で来日公演をするので、行こうと思います

サンダンス映画祭、ダブリン映画祭で、
観客賞を受賞している本作、おすすめです。



「onceダブリンの街角で」
原題:ONCE
2006年アイルランド
87分
ジョン・カーニー監督
グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ主演
 2008/12/26 13:29  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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