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国民年金てきなもの



「KiwiSaver(キウィセーバー)」、
これはニュージーランドの国民年金てきなものである。

日本の国民年金のイメージは、
自分の老後の為の貯蓄というよりは、
国民全員で高齢化社会を支えていこうというのが前面に出ていて、
どちらかというと現在の高齢者の受給年金の為にに支払っているイメージがある。

実際は違うかもしれないけれど、
だいたいの国民が持つイメージってそんな感じじゃないだろうか?

ニュージーランドのキウィセーバーが日本の国民年金と大きく違うところは、

・貯蓄ではないので元本保証がない、と明確にアナウンスされている
・投資リスクの説明がある
・参加は任意
・給料から差し引かれる金額は自分で選ぶ
(支払額の3%、4%、8%)
・働いていない時は払わない
・給料制じゃない人は自分で払う月額(週額)を決められる
・給料からの天引き+任意で好きな額を毎月払うことが出来る
・参加はプロバイダーを通す

現在、国民(国籍問わず。居住権のある者全員)の7割が参加しているという。

キウィセーバーは、官民一体の取り組みで、
国民からのお金、政府からのお金、雇用主からのお金を、
1つのお財布にしてあらゆる投資先に投資するシステム。
政府も一投資家のような存在。
この取り組みは政府主導であるけれど、
銀行や郵便局、保険会社、証券会社などがプロバイダー(窓口)となっている。

プロバイダーごとに投資方法が微妙に異なっており、
後になってプロバイダーを変えたくなったら、
最初に選んだプロバイダーから別のプロバイダーに簡単に移行できる。


お金は放っておいてもまったく増えない。
銀行預金の利金も投資からのリターンである。
元本保証がある貯蓄の場合、低リスクの投資先を選ぶこととなり、
低リターンとなるので、日本の場合ほぼゼロ金利となってしまっている。

投資にはリスクを伴う、これ常識。
国民から集めたお金といえど、投資して増やすからにはリスクがあり、
だからこそ参加は任意だし、政府は元本保証をしない。

そしてそもそも、
自分の老後のお金を増やす、というのが最大の目的で、
とっても個人的なものであり、
政府が税金のように義務で徴収するようなものではないのだ。
だから参加は任意である。

これって、透明性のあるまともな考えだと思う。
まずは自分の老後の為。
1人でやると小さな投資しか出来ないけれど、
みんなで参加して大きく賭けて大きく儲け、
儲けも損も分散しよう、というものなのだ。
決して見知らぬ高齢者の為ではない。

あくまでも私の個人的な意見であるが、
この極めて現実的な考えを、
日本の国民年金はオブラートに包んで曖昧にしていると思う。

自分の老後の安心、この基本的な欲求が満たされないのであれば、
自己犠牲的なことに参加することを強制するのは難しい。
いくら言葉で「老後社会をみんなで支えないと、いずれ自分も支えてもらうのだから」と言われても、このちょっと曖昧でともすると偽善的な考えにギモンを持つ国民もいるだろう。

国民年金は、元本保証がされている貯蓄型なのか?
それとも元本保証されていない投資型なのか?
受けとれる年齢が引き上げられてしまうのはなぜなのか?
なぜ義務なのか?
いったい今まで総額いくら払ってきたのかさえも分からない。
支払った年金がどこに行ってしまったのかさえ分からない。
目的や使途、結果が曖昧なくせに義務だから疑念だけが残る。
自分で計算しないと自分が支払ってきた年金の総額もわからないようなシステムじゃぁ信頼が集まらないのも当たり前。

私がキウィセーバーに参加しようと思ったのは、
例えば、ただ月々1万円ずつ積み立てするのでは、
65歳になった時の金額はせいぜいプラス3%増し程度。
(日本の場合ゼロ金利なのでほぼ増えない)

けれどキゥイセーバーの場合、
政府のサイトにある計算機を使うと、
投資した額の約1.5倍ほどの金額が満期額になっている。
(開始年齢とどの投資プランを選ぶかによって倍率が少し変わる)

これを信じて賭けたい人は参加、
あくまで元本保証にこだわりたい人は不参加、
とっても明快だ。

そして現在、賭けたい人、信じている人が人口の7割を超えている。
投資元本がふくらみ続けているということだ。

そしてこのシステムに必要不可欠なのが、
税務局が発行するIRDナンバー。

IRDナンバーは、日本ではマイナンバーに相当する。

日本ではマイナンバー制度反対運動などがあったらしいけれど、
この国ではIRDナンバーに疑いを持っている人間は1人もいない。

国を運営するのには税金が必要。
これがまず国民にとっても大前提なので、
徴収が不均等にならないように、徴収漏れがないように、
すべてのお金の動きにヒモづけられているIRDナンバー制度に、
国民は特にギモンを感じていない。

働くのも、貯蓄するのも、投資するのも、
とにかくこのIRDナンバーが必要で、
言ってみればIRD(税務局)が国民すべての資産を把握している。
個人情報もへったくれもない。
けれど誰もそれに対しては気にしていない。

働いていない主婦だってIRDナンバーを持っている。
IRDナンバーを持っていないと、
所得はもちろん、銀行の利金など、金額の大小に関わらずすべての収入に最高税率が適用されてしまうので、損をしたくない国民はみな自らの意志でナンバーを取得している。

キウィセーバーにもこのIRDナンバーが重要になってくる。

雇用主に出す給料からの天引き申し込みは、
IRD(税務局)が発行するフォームから行われる。
これで、雇用主が不当にキウィセーバーの為のお金を横取りしたり、
脱税の道具に使われたりすることはない。

ニュージーランドは資本主義であるけれど、
お金の動きに関しては、ちょっと社会主義が目指すところの平等性がある。
IRD(税務局)の存在と、IRDナンバーの存在が、
お金の動きに透明性を持たせているのだ。

IRDナンバーを持っている人は、
IRDのウェブサイトでマイページを閲覧することができる。
過去に自分が支払ってきた税金すべてを見ることが出来る。
いくら稼いでいくら税金を払ったのか、
年度ごとにきちんとまとめられていて、とっても見やすい。
そしてそれが年収証明として使えるように簡単にプリントアウトできる。

キウィセーバーの投資結果の動きも、
このIRD(税務局)のマイページから、逐一見ることが出来る。
いくら払って、いまどれぐらいの利益が出ているのかがすぐにわかる。
投資にはリスクが伴うので、増えたり減ったりする。
減ったときも隠さずちゃんとグラフ化されている。
だから「おいおい頼むよ」という国民の監視も行き届く。

この投資は、国民と雇用主と政府全体の命運がかかっているので、
リスク回避の為に真剣に投資されている。
だからリーマンショックのような経済危機が無いかぎり、
大きく目減りするということは滅多にないようだ。

それに、大きな経済危機があったとしても、
65歳まで解約できないこのキウィセーバーは、
後から後から入ってくる若い国民や多くの企業、
そして政府の予算に支えられているし、
経済活動というのはアップダウンが必ずあるので、
長い目で見れば、すべてが水の泡になることはあり得ない。


私が65歳を迎えるまであとたったの19年。
満期まで気が遠くなる様な年月でもないし、
普通の貯蓄で3%のプラスを待つよりも、
満期額1.5倍の安心目指して、
この大きな大きな巨大投資団体に今から参加しようと思う。
みんなでやれば怖くない、の心理

日本のマイナンバーも、
ニュージーランドのIRDナンバーのように、
税務署にとってのメリットだけでなく、
国全体、国民全体の為に機能していると実感できるようなものになるといいですね。

あ、書き忘れた重要なことがもう一点。
ニュージーランドでは、65歳を迎えるとキウィセーバーとは別に国から退職年金が貰えます。今まで納めた税金とは関係無く1人あたり月々$1200~$1560。
このお金を貰う為だけの税金は特に支払っていない。

この全員がもれなくもらえる退職年金と、
任意参加型の国民年金・キウィセーバーの2つが、国がサポートしている年金となる。

若い国なので至らないところも多々あるけれど、
気に入っているシステムもたくさんあるニュージーランドなのです
 2017/06/22 03:55  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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