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作り手のこだわりとビジネスの両立


ちょっとした合間に、
スタッフ全員で白ワインのブラインド・テイスティングをおこなった。

ワイヘキ産のピノ・グリという情報だけで、
どこのワイナリーの何年のものかというのは隠されている。

こういうテスト?というのは実に重要である。

人は目からの情報でものごとを判断することが多く、
それは、舌から得た情報さえも脳で修正をかけるぐらい、
実はとっても曖昧なものだ。

だから、ラベルを隠すブラインド・テイスティングは、
純粋に自分の舌のみで味を感じとる力を養うのにとっても役立つ。

今回は、品種がわかっているわけだからまぁ安心して飲むことができた。

私の中には、ピノ・グリとはこういう味だろう、
というある種の思い込みがあったので、
その記憶の中の味を軸に比較しながら飲んでいく方法を取った。

4本あるうちの2番目に飲んだワイン以外は、
あまり差を感じられなかった。
3番目に飲んだワインが少々水っぽいというぐらい。

そして、いざ新聞紙を剥がしてみると、
私が美味しいと思ったピノ・グリは、
なんと、100%ピノ・グリではなかった!

おそらく、ソーヴィニヨン・ブランかリースリングが混ぜられているとのこと。
(個人的にはゲヴェルツ・トラミネールの味を少し感じたが)

ちなみに、ワインをセレクトし、新聞紙を包んだ2名以外は、
私を含め全員2番目のワインが一番美味しいと意見が一致した。
メンバーのうち、フランス人カップルはボルドー地方で働いた経験もあり、
それなりに舌も確かだ。
(最下位に選ばれたワインも全員一致)


この国は、15%以下であれば他品種を混ぜても、
単一品種のワインとして売ることが出来る。

これをズルと呼ぶか、ビジネス上手と呼ぶか、意見が分かれるところ。

例えば、
「ピノ・グリ」単一品種と銘打たれているけれど、
多くの人が実はブレンドされたワインのほうが美味しいと判断するのであれば、
それはビジネスとして利用するべきであるという考えもある。

私の個人的な意見としては、
単一品種100%でないのなら、
ブドウの品種をラベルに記すのではなく、
ワイナリー名と、例えばワインの名前を記載するというほうがいいのでは?
とも思う。
日本のワインバーで、イタリア産で、ラベルのどこにもブドウ品種が書いていない白ワインを飲んだことがある。仕入れてきた店主もなんのブドウでそのワインが作られているか知らなかったくらいだ。

「ブドウはなんでもいい、美味しい白ワイン、ただそれだけ」
というほうがなんだかスッキリする。

ニュージーランドではブドウの品種を銘打ってワインを販売しているワイナリーがほとんどなので、単一品種ではなくブレンドされているとなると、100%なのかそうでないのか、いちいち聞きたくなってくる。

逆に、ブレンドを嫌い、
純粋にピノ・グリ100%でうちは造ってますよ、
ということにこだわるのであれば、
それはまた別のマーケティングをする必要がある。

「実は15%以下であれば他品種を混ぜられる」
という一般的に知られていない情報をお客様にご案内し、
単一品種のみでつくる白ワインは本当はこんな味ですよ、
と付け加えていく、とか。

他方、そうはいっても美味しいものは美味しい、
というのもまた抗えない魅力である。

ちなみに、4本中2本はうちのヴィンヤードのワインであった。
2位3位を占め、最下位にはならなかったものの、
やはりブラインド・テイスティングでブレンドされた白ワインに負けたのは確かである。

ここから先は、作り手のこだわりとビジネをどう両立させていくか、
そういう経営テクニックの問題になってくる。


そんな奥深いテーマに思いをめぐらせることの出来るのが、
ブラインド・テイスティングの醍醐味。

またやってもらおう。

 2017/04/26 19:29  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

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