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しつけに迷うとき



まだ4ヶ月を迎えていないけれど、
ヒメにはリーダー・ウォーク・トレーニングを始めている。

散歩道などは、最初の歩き出しに軽い主従関係を行っておけば、
ほとんど前を歩くことはなくなった。
目標は、後ろからついてこさせること。
つまり横もダメということ。
自分の足より先に鼻先が出ない様に訓練する。

これは常に犬の視界に飼い主を入れさせ、
飼い主の行動を常に確かめさせて、自分勝手な行動をさせないため。
それと同時に、人の後ろからついてくる犬には、
反対方向から来る人に恐怖を与えにくいというのもある。

それとは別に、
「走りたい!!」という行動ニーズを満たすために、
ビーチや広い草原に連れて行きロングリードを付けて走らせている。

以前は、道路から離れていたり他の人や犬が居ない時はリードから放していたが、
リードを放したり付けたりすると、
しつけに一貫性を欠き犬が混乱するので、
基本に返って、主従関係がきっちり入るまではリードを外さないことにした。

そして最近、しつけに迷いが出てしまうのもここ。

なぜって、こちらのビーチや草原にいる犬は、
ほとんどみ〜んなリードを外されている。

そして飼い主から何百メートルも離れた場所まで突進していき、
時には他の犬に、時には他の人に向かって走り出している。

飼い主が呼ぶか、更に離れて歩き出せば走って戻っていくという感じ。
犬は本質のままで居られるので当然楽しいし、
見た目はそれのほうが犬が幸せに見える。

数日前に草原でロングリードで遊ばせていたときには、
生後半年のトイ・プードルを放し飼いにしていた飼い主に、
「呼んでも来ないからリードを付けているの?」と聞かれた。

私はただ一言「違う」と答えただけだけれど、
その人は「仔犬はまだ歯が鋭くないから放しても大丈夫よ」
「他の犬と遊ぶのはいいことよ」「遊びたがっているじゃない」
と私に言ってきた。

ロングリードをつけている私は、
ニュージーランドという環境では、間違ったしつけをしているように見えるのかも、と少し迷いが生じてしまった。
けれど、森田誠氏の「諦めないでください」という言葉を思い出し、
もう一度なぜこのしつけ法を採用しているのかを胸に刻み直した。

放し飼いにする=のびのび自由に野生化する心理を育む。

そういう心理を常日頃育んでおきながら、
人や犬への飛びつき、甘噛み、マウント行動、
家の中で家具やコードを噛むなどの破壊行動、要求吠え、ムダ吠え、
などの、野生の本質から来る問題行動だけを矯正しようとしてもダメなのだ。
家の外では野生がオッケーで、家の中では野生はダメという思考の仕方を犬はすることができない。そういう思考が出来るのは前頭葉が発達した人間だけであって、それ故、言葉でのしつけも効かない。

例えば、何か問題行動に対して「コラ!」と怒ったとする。
犬はその言葉に驚いて一瞬止めるが、
条件反射で行動しているだけで、ダメだと理解して止めているわけではない。
その行動そのものがダメだということを理解していないのでまた同じことをする。そしてまた「コラ!」と言われてやめる。
これを延々と繰り返していくだけで、最終的に止めることはない。

つまり、問題行動に対してずっと「コラ!」と言い続けなければならなくなる。
犬に自主的に問題行動を止めさせるには、
リードでの不意打ちのショックのみが有効なのである。

ショックの怖さから犬は逃げようとする。
その逃げ込む場所が人間の愛情の場所であるようにする。
愛情で受けとめることによって信頼関係を築いていく。
この人間の側にいれば安心なんだ、
何かを威嚇したり、怯えたり、防衛する必要が無いんだと犬が感じ、
自ら人の下に入ってくるまでひたすら愛情の嵐で包み込む。

それが森田誠式のしつけ法。
この方法だと、90%以上問題行動の再発を防げる。

そして、犬が自由に走り回っているニュージーランドのビーチや草原、
ここは日本で言うところのドッグランで、
私が好むしつけが出来ていない犬が走り回っている場所。
もちろんしつけが出来ている犬もいる。
そういう犬は、決して飼い主から離れて他の犬や人に近づいたりしない。
そういう子は、道路でも飼い主をぐいぐい引っ張って歩いたりしない。

前出の女性は、
「犬が犬と遊びたがっている」という表現を使ったが、
人間が介入しない犬同士だけの遊びはすべて、
狩猟本能と支配性行動のみで構成されている。
犬は本質のままで居られるので確かに楽しい。

けれど一見、楽しく犬同士ジャレあっているように見えるが、
前足を使ってプロレスチックになり始めたら、
それは相手を支配してやろう、という心理の表れであって、
これを放置したまま遊ばせ続けると、
犬はどんどん興奮してきて野生化する。

そうやって遊ばせておきながら、
家に帰ってきてから、飛びつき禁止など指導しても犬が混乱するだけだし、
そういう家では犬が一番上に君臨していてリーダー不在であるので、
到底言う事を聞くはずがない。

なので「犬は犬同士遊ばせておけばいい」という考えは、
私のやろうとしているしつけとは真逆になってしまう。

こちらではいろいろな飼い主に遭遇するけれど、
私の使っているロング・リードは割と目を引くらしく、
「ナイス・アイデア」と言ってくれる人もいれば、
「なぜ繋いでいるの?」と聞いてくる人もいる。

森田誠さんのしつけ法を実践している人間は、
おそらくニュージーランドではほとんど皆無だろう。
みなフードを使ったオペラント方式というしつけをしているはずだ。
もしくは何もしつけていないか。

いずれにしても、
どんな飼い方にせよ飼い主の好みであるので、
お互いに意見をする権利は無い。

私は、家の中でも外でもしつけに一貫性を持たせたいので、
気にせず自信を持ってこのしつけ法を続けようと思う。

今日は、
ビーチを見ると興奮してリードを引っ張る、
他の犬や人を見つけるとそちらに向かって走り出す、
という本質行動を矯正した第一日目。

ヒメのこの本質はとても強かったので、
リードでのショックにはチョークチェーンを使用。
強めのショックは最初の一度だけで、
あとは軽くリードを引っ張るだけで矯正していく。

自由に出来なくてクンクン鳴いていたけれど、
散歩の終わりには、人や犬を見ても勝手に走り出すのを抑えていた。
ガマンをさせるのはいけないので、
必ず体を撫でて、他の人や犬のほうではなく愛情のほうについておいで〜と教える。


数日かけて、他の犬や人に遭遇したらどうすればいいかをまず教え、
最終的にはよそ見も矯正。

ビーチや草原は、飼い主と一緒に思う存分遊ぶ場所であって、
他の犬や人には興味を示さない、というところまで持って行く。

そうすることで、いきなり他の人や犬に駆け寄っていくこともない。
それは車が走る道路で、何かに向かっていきなり走り出し事故に遭う、
という行動を防ぐことにも繋がる。

いつでもどこでも飼い主のそばを離れないようにしつける。
走らせたいときは、一緒に走るか(この場合よーいどんをしてはいけない)、
フリスビーやボールを使って犬を走らせ行動ニーズを満たしてあげる。
飼い主が遊びを止めて歩き出した時は、
もっともっととジャンプしたり、要求吠えなどせず、
後ろからテクテク歩いてついてくるようにしつける、
これがこのしつけ法の最終形だ。

いろいろな飼い主がいて、いろいろな事を喋っていくので迷うが、
この基本を忘れず、しつけがしっかり入った時のヒメの姿を頭に描き、
楽しみながら愛情たっぷり接していこうと思う。

これから10年の豊かなヒメとの生活の為に。

 2016/09/27 10:21  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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