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ブドウの強制収容と大人の芽かき



1万7000本のブドウの木がすくすく伸びている。
私にはすべてが目新しいので、
仕事の内容にいちいち感心している。

「タッキング」と呼ばれている作業。
ワイナリーに行ったことがある人はなんとなく知っていると思うけれど、
ブドウの木は平べったくまとまっている。
その幅だいたい18cmくらい。

あれ、どうやるのかなぁ?と思っていたら、
この「タッキング」という作業でその謎が解けた。

ポストの左右についているワイヤーを使って、
新枝の成長に合わせ”タッキング”していくのだ。

ワイヤーを力の限り手前に引っ張り、
あちらこちらに向かって伸びている枝をすくい取るように、
大きく円を描いて下からシュタっとまとめる。

これを左右やると、
幅18cmのスペースに長い枝の子はほとんど収まる。
まさに強制収容!



枝の生えている位置によっては、
このワイヤーをかけたことによって折れてしまう子もいる。

私はその度に胸が痛んでいたけれど、
この幅に収まらない子は、いずれにしてもカットされるそう。
このタッキング作業をやって、
なぜポストとポストの間、ど真ん中にブドウの木を植えるのか、
やっと納得した。

はみ出た枝はみなチョップされるのだから、
幹がはみ出たら話にならない。

ブドウの習性に合わせてよく考えられた栽培法だ。
今後の作業を重ねることにより、「あー、だからこうするんだぁ」と、
今よりもっともっと納得していくのだろう。

このタッキングと同時進行で、
4年以上の大人のブドウの芽かきを行っている。

ベビーの芽かきと違って、
大人の芽かきはいろいろと判断基準が複雑になってくる。

まずは高さ。
左右に枝を広げている部分、
私は勝手に生産ラインと呼んでいるのだけれど、
このラインは常に同じ高さにしておきたいのだけれど、
幹全体が伸びてしまってラインを超えてしまっている木がある。



そういう幹は「切り戻し」を行って背を低くする。
その替わりに、下のほうから生えてくる新芽を使い、
新しい幹を作る。
その新しい幹になる芽を選んで、いらない芽をかく。

その選び方が、素人の私には今ひとつ複雑で、
この作業にとっても時間がかかる。

地上から40cmよりも上にあればその芽たちを残し、
それより下の芽はぜんぶかき取る。
けれど、40cmからトップまでの間に新芽が無く、
トップだけに新芽が集中してしまっている場合、
40cm以下のところに新芽を探す。
どんなに小さな芽でもいいのでとにかく見つける。

もしも新芽があれば、放っておけば伸びてくるわけで、
今そんなに探さなくても、と思うかもしれないが、
これにもきちんと理由がある。

年に2度ほど雑草駆除のスプレーをするのだけれど、
スプレーマシンは、40cmの高さから下に向かって噴射する。
なので、40cm以下に生えている新芽は、
ぜ〜んぶ枯れてしまうのだ。

だから、どんなに小さくても新芽のようなものを見つけたら、
それをスプレーから守る為にビニールをかぶせていく。

そう。
大人の芽かきは、スプレーの事前準備を兼ねている。

来年にでも切り戻したい高さの木に遭遇したら、

1.新芽を探す。
2.強くていい位置にある新芽を選んで、残りは芽かきする。
3.40cm以下にある新芽はプロテクトする。
4.ビニールかけの際に新芽を折らないようにする。

という作業を繰り返す。
プロテクト・カバーを止めるのにホチキスを使うのだけれど、
右手がホチキスの使いすぎで腱鞘炎ぎみ(笑)



生産ラインよりも幹が低いものは、
よっぽどトップに新芽が少ないという以外は、
40cm以下のところに生えてきている新芽をぜんぶかきとる。

なので、最初に、
幹が高すぎないかどうかを見極める必要があるのだけれど、
中には判断不能な微妙な高さな子がいる。
数cmくらい低いだけとか、これって高いの?
それとも来年もまだいけるの?とちょっと分からなくなってくる。

夕方にもなるとだんだん疲れ果て、ジャッジのスピードが落ちてくる。

というわけで、頭と神経と体力を使う、
しかも割と大事よね??
と思える作業をなぜか私1人でやっている・・・。
(なぜだ??)

そんな日々だけれど、
ブドウ含め、木々の生長が楽しい季節。
ビールの木もすくすく伸びているし、
マカダミアナッツも満開
うちには生えていない木がいろいろあって面白い!

 2015/10/23 16:17  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

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