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海洋保護区(マリン・リザーブ)


私がひんぱんに行くフィッシング・スポット。
この桟橋がある湾のすぐ右隣には、
「海洋保護区」に指定されている湾がある。
こちらでは、「マリン・リザーブ」と呼ばれている。
テ・マトゥク・ベイという、オイスターがたくさん住む湾と、
その目の前に広がるかなり広範囲の海を保護区に指定している。

「海洋保護区」という考え方、日本とはこの国の厳しさが違う。
この保護区ではフィッシングはもちろんのこと、
生きていても死んでいても、何かをそこから持ち去ったりしては一切いけない。
つまり、人間の意志による現状変更を許していない。

日本では、「大切にしましょう」というレベルでも、
この国ではかなり厳罰な処罰が待っている。
このエリア内でフィッシングをし、しかもその魚がアンダーサイズ(こちらでは魚や貝などに大きさや個数の制限を設けている)であろうものなら、
ボートの差し押さえや罰金など、かなり厳しい刑罰を処している。

海に囲まれ、海との関わり合いの深い国。
それは日本も同じ。
けれど、海への考え方や関わり方がだいぶ違うように感じる。

その違いは、日本の捕鯨への断固たる抗議にも出ている。
日本人の私としては、捕鯨が文化・伝統であるというならば継承していくべきかな、と思う反面、もう時代が変わったのだし、
人間が生きていくのにさして支障のない捕鯨などは、
できるかぎりやめていく方法を取ってもいいのでは?とも思う。

資料館などにその歴史を残し、
「現在では、代替品もあり海洋生物を守る意味でも捕鯨をやめました」
という解説付きで、のちの人々に展示するとか、
いろいろ文化の残し方もあるかと思う。

捕鯨をやめるとクジラが増えすぎて生態系が崩れるという意見もたまに聞くけれど、
例えば里山に降りてきて畑を食い荒らすシカやイノシシなどと違って、
クジラは人間の生活にほとんど支障をきたさない。
ニシンやイワシをたくさん食べちゃうとか、そういう問題はあるだろうけれど、
それはそれで時間をかければ、海の中だけでバランスが自然に取れていくものだ。
現に、人間が捕鯨を始める前から彼らは存在し、
自然淘汰もあり、彼らだけで個体調整を行ってきた。

ニュージーランドに住んで、このような海洋保護区という環境に接すると、
その豊かさや愛情深さを肌身で知るので、
日本の捕鯨に関してのさまざまな言い分が、だんだん通用しない時代になってきているのを感じる。
そして、海を共有するパートナーとして、
そこに理解を示してほしいとも感じるようになる。

経済的にも、人工的にも、すべてが日本よりも小規模なニュージーランド。
日本も今後どんどん少子化していくので、経済規模も縮小していくだろう。
そうなれば、もしかしたら、
もっともっと保護区への取り組みがしやすくなるのではないだろうか。

4000万人程度の人口でも国としては十分やっていけるし国力も落ちない。
むしろ自然環境を豊かにできると思う。

地政学的に日本はニュージーランドと違ってとっても微妙な位置に存在する。
人口を減らし、経済活動が縮小したら、
軍事力では逆に強化し、人手を必要としないハイテク戦闘機なども必要となってくるだろう。
ニュージーランドは英連邦に入っているので、
いざというとき(たぶん地政学的に有事はない)には、英国軍とオーストラリア軍が守ってくれる。
日本には、そういう「系列関係」にある軍事力のある盟友がいない。
基本的には自分自身で守らなければならない。

人口が減れば、使用電力も減り原発もいらなくなる、
そして、自然保護区を増やすことに専念できる夢のような国に日本がなってくれたらどんなに嬉しいか。そんな光景を日本にいるときはずっと妄想していた。
けれどそれと同時に、人口が少ないなりの国土の守り方、安全保障もきちんと考えなければいけない、そんな場所に日本はある。
のほほ〜〜〜ん、とできない立地の日本。
それが、南半球のニュージーランドから見ると手に取るようにわかる。
地理的条件、これは、その国の在り方に大きな影響を及ぼすんだなぁとますます実感するようになった。

大きなサイズで俯瞰して日本を眺めることができるようになったなぁとこの頃感じる。

日本にも海洋保護区がたくさんできて、
その近くで釣りをすると、驚くほど多様な魚に出会えて、
保護区に寄り添う人々が必要な分の魚を捕って食べて生きていく。
そんな日本にいつかなれることを夢見て。

 2014/07/29 07:31  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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