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持続可能な生き方


ここ4〜5年くらい、
日本でも注目を浴び始めた、「持続可能な生き方」。

”サステナブル”という言葉を使い、
LOHAS(ロハス)なんていう言葉も日本でも流行りましたね。

日本から見ると、ニュージーランドには、
原子力発電所が無いような国なので、
このような生き方に意識が高い国民が多い、というイメージがあります。

実際に、日本で当たり前でないことが、
自然環境に配慮した生活習慣として浸透している部分が多分にあります

タイトルにある、「持続可能な生き方」というのは、
パーマカルチャーとも呼ばれ、
日本でもそれを実践している方々が私も身近にいますし、
徐々に増えてきていると思います。

そのパーマカルチャーとは何か、
ということは詳しくはネットで調べて頂くとして、
ニュージーランドでも、
1998年から「持続可能な生き方」を実践して生活していらっしゃる日本人の方がいらっしゃるということで、
昨日訪問させていただきました。

櫻井美政氏の「ecohouse」です。

上記ホームページを見て頂ければ分かるのですが、
ご経歴に関西大学建築学科専任講師などとあるように、
非常に理論的で、理想だけではく、
きちんと数字にて「持続可能な生き方」を論理的に実践されていることがわかります。

私の中で、この「持続可能な生き方」に対して、
いろいろな考えの変遷があり、
実際のところ、早くから意識しすぎて、
いろいろ調べて実践して、一周して戻ってきてしまった感じがします(笑)

このようなライフスタイルの素晴らしい部分と、
人類が今のような自然と切り離されたライフスタイルを確立していった経緯、
それら両方をよく知り、バランスを取った生き方を模索することが大事だと、
今回の訪問でまた新たに気づかされました。

つまり、ポイントは「エネルギー」なのです。

どの国でもまず1番大切な政策である「エネルギー問題」、
それが当たり前ですが、個人の生活にも密接していることが、
自然エネルギーに寄り添った生活をすればするほどわかってくるのです。

そういう意味でもその大変さと素晴らしさを知ることはとても重要です。

・3度の食事を作るための火力
・排泄物の処理
・温水というものの確保
・冷蔵のための電力
・外部との連絡手段ともなるパソコンなどを動かす電力

これらを動かすためには、すべてエネルギーが必要です。
そして、当然のことですが、
自分が必要なエネルギーを自然から得るために使う資材は、
どこかの工場で、また別のエネルギーを消費しながら、
何かを自然環境に排出しながら作られていることを忘れてはなりません。

まず、私自身が見た、ecohouseでのエネルギーの蓄え方をご紹介します。


食事を作るための調理器具のガスは、
私たちが出す排泄物から発生するメタンガスを使用しています。
トイレのパイプが地中のタンクに繋がれていて、
そこで発生するガスを集めてガスコンロに繋がれています。
詳しい図面設計等は、こちらをご覧ください。



写真は、ガスの充填状況を知るためのメーターです。

温水を作り出すソーラーバネル。



風で電力を作り出すプロペラ。



他にも、太陽で温められた空気と地中で冷やされた空気によって発生する気流を、
自然に室内に作り出し、天然のエアコンとして取り入れていること、
現代の人間が、ある程度快適に生きていくのに必要としているシステムを、
ほぼ太陽と風力で作りだしています。

太陽光を集めたオーブンなどは、
パンを焼く時に使うそうで、こちらはかなり興味深かったです。
電力も火力も使わず、Co2をほぼ出さずにパンを焼く。
こんな実践は初めて見ました。

それでも、19wのファンを動かすのに必要な電力を、
電力会社から送電される電気を使わざるを得ない、
とおっしゃっていました。
とはいえ、ひと月の電気代は、私の使っている電気代の5分の1でした。
ほぼ、上のソーラールームに溜まった暖気を下の部屋に循環させるためのファンの電気代のようです(冬期のみ)。

私は一度、電気が通っていない場所にあるコテージに滞在しましたが、
太陽パネルだけでは、当然ドライヤーは使えませんし、
ワット数の大きな家電は動かせません。

ここで学んだことは、
いかに私たちがエネルギーを贅沢に使っているか、ということもそうだけれど、
ただ田舎に住んで自然に親しんだとしても、
お金で買ったエネルギーに大部分を依存している事実です。

ecohouseでは、これらエネルギー政策だけでなく、
いわゆる、一般的なeco生活として取り入れやすい、
自給自足に近い環境が十分整っています

水田と灌漑施設



家族が食べていけるだけの野菜畑

雑草の中に生える枝豆。いわゆる自然農です。


もともと櫻井氏は、音響学がご専門ということもあって、
マイクなどを使わずとも、音が遠くまで響く理想的な角度を持つ野外音楽堂もありました。



演奏者の前方にある座席やお客様が遮蔽物となって音が戻ってしまわない、
理想的な角度というものがあるらしいです。

わたしたち、櫻井氏のアリアを聴かせて頂きました。



櫻井氏がこのようなライフスタイルを実験的に始めた背景には、
「個人生活が開放され自由の時間と空間が得られる。個人が自由になれる空間を求める」
という究極の計画があったからだそうです。

私も考えたことですが、
お金を中心とした貨幣経済に依存している生活は、
実際のところ人間に多くの束縛を生みます。

そんな貨幣経済から離れるには、
「自分で太陽エネルギーを集め、周りを汚さず、自給自足をして生きていけば、
環境も汚染しないで、個人生活が開放され自由の時間と空間が得られる。」
これを実践すればいいのでは?というお考えなのです。

私は、自分の家の周囲の整備をしながらいつも感じていることは、
人間が生きていくために日照量を確保しようとすると、
実に多くの木を切り倒して、周囲を切り開いていく必要があるということ。
日陰の部分と、日なたの部分を人工的にコントロールするわけです。

私は考えました。
もしも、今の地球上の人類が持続可能な生き方をしたらどうでしょう?
もしかしたら、今よりもっと凄まじい環境破壊が起こる可能性もあるかもしれません。
今は、日照量などなくても、電気が使えて、スーパーに行けば食べ物が買えて、
その分自然を破壊せずに生きている人々が都会に沢山います。

必要最低限以上の食料が、そういった人々のために作られていることは確かで、
そのために多くの自然が無駄に切り開かれているのも事実ですが、
人が自給自足をするために地球上に散らばっていくのと、
都会という場所に凝縮して集まって暮らすのと、
いったいどちらが自然環境にマシなのでしょう?

そういう視点でまたこの「持続可能な生き方」を見つめなおすと、
人類の人口がここまで増えたのは、
一カ所に集まって暮らし効率よく自然界と人間界を切り離したからではないだろうか?
と思えてくる。

櫻井氏の計算では、このライフスタイルを維持するのには、
だいたい2500平方メートルの敷地が必要とのこと。

6畳のワンルームマンションに収まっている日本の人口が、
この面積を一人頭割り当てられ自然を切り開いていったらどうなるか?
私は計算できませんが、なんだかそれでいいのかどうか疑問がわいてきます。

地球の上での人類の進化、
それは、自然の中に散らばっていくのではなくて、
大都市を作ってそこに人口を集中させることで遂げられ、
それがもしかしたら自然と1番折り合いがついているのかもしれない、
と最近思い始めています。

櫻井氏のお話では、
ニュージーランドは酪農大国で、自給率も素晴らしく高く、
一見、サステナブルな国に見えるけれど、
放牧による糞尿が引き起こす海洋汚染は年々深刻になっているとのこと。
家畜から出るメタンガスがオゾンホールを作りだしていることも、
私は初めて知りました。

私は、原発事故が原因で、このニュージーランドという国にやってきたけれど、
人間が生きていく場所は、どこでも別の形でさまざまな問題を抱えていることを知ることが出来た気がします。

とはいえ、私は櫻井氏が実践しているライフスタイルには興味津々です。
私自身、実践することは難しい部分が沢山あるのだけれど、
自然の中で暮らす素晴らしさは今1番私の欲しているところ。

都会で暮らす人も、自然の中で暮らす人も、
同じように環境に配慮した生き方に少し意識するだけで、
ほんの少しずつ私たちの暮らす星の疲弊を減らせるのかもしれない。

その生き方はそれぞれで、かつ自由であるべきなので、
いっぽうを否定しないようにしたい、と思いました。
実際には、どちらの生き方が地球にとってよいかなんておこごましい判断、
そもそも人間には出来ないはず。

極端なことをせず、
ほんのちょっとだけ「緑と環境」を意識する、
それをみんなが少しずつ頭の隅においておくだけでも良い気がします

これが私の一周してしまった考えです。


来年からは、ニュージーランドでの「気持ちいい」を、
もっともっとブログにご紹介できればと思います


講義の間、ずっと私たちの後をついてきた鴨たち


キウィのお化け森


フルーツの木がいっぱいで、本当に素晴らしい環境
 2013/12/20 20:44  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
芹澤 絵美のスタイリングはこちら
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