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舞台「猟銃」


久しぶりに、テレビWOWOWにて舞台作品を見た。

中谷美紀さん初舞台の「猟銃」

なんとなく見始めたこの舞台、
最後には涙が止まらない感動を味わった!

初舞台でありながら、
なんの幕間もなく、
一人で3人の違った女性を演じわけていく、
中谷美紀さんの演技力に目を見張った。

もともとテレビドラマ「仁」から好きな女優さんであったけれど、
この舞台の難しい設定と演出に、
見事に応え、演じきった中谷さんに、
思わずテレビの前だけれど拍手喝采してしまった。

演出は、映画監督のフランソワ・ジラール氏。
この舞台は、昨年の初上演の5年前から温められていたもので、
フランソワ・ジラール氏が、文豪井上靖の小説「猟銃」を、
主演は中谷美紀さんに、と5年かけて声をかけ続けやっと実現したものである。

この舞台を見て、
フランソワ・ジラール氏が中谷さんにオファーをし続けた理由が分かる。

今後、誰かが演出するにしても演じるにしても、
いつも本作と比べられてしまうことが容易に想像できる。

男の愛人の娘、薔子(しょうこ)
男の妻の、みどり
男の愛人の、彩子(さいこ)

この3人の女性の役を、
独演しながら、衣装もヘアーも自らチェンジしていくのだ。

初々しく生真面目な薔子。
白い襟のブラウスにカーディガン、プリーツスカートという衣装。
母の愛人であった男への手紙を蓮の咲き乱れる池の畔で読み上げる。



めがねを外し、薔子の衣装をさらっと脱ぎ、
髪をほどくと、真っ赤なドレスを着た、
気性が強くプライドが高いみどりが現れる。
この間も演技と台詞はよどみなく続いていく。
足元の舞台も石の河原にすーっと転換。
あの水はどこに行ったのか?



そして、私がもっとも驚愕した、彩子のシーン。
足元の石河原が静かに板間に変わり、
その間、赤いドレスを脱ぎ捨てスリップ1枚になり、
板間に正座すると、
天井から降りてきた木箱に、つげ櫛とカンザシが1本。
それらを使って髪を結い上げた。
その間も、彩子から男への手紙が演じられている。
そして、木箱を開くと、中には着物が。
え?!もしかして演じながら着物を着るの???と思っていたら、
スリップドレスも脱ぎ、箱から白い長襦袢を取り出し、
演技しながらの着付けが始まった。

合わせは、右前になっていたので、
最後それが真っ白い死に装束になることが想像できる。

私は着付けをしながら演技などとても無理!
などと思いながら、そのしとやかな日本人女性らしい優雅な手つきで、
ヒモや伊達締め、帯、帯締めなどをしめていく姿に釘付けになった。
まなざしや発声も安定している。
素晴らしい!

白い着物には照明で柄が浮かび上がっていた。
まだ生前の彩子を表現しているのだろう。



そして、名古屋帯でお太鼓結びが完成し、
彩子の本当の思いが男へと告げられる。

そして、舞台には真っ白い着物を着た彩子。

照明が落ち暗転。

演じきった中谷さんに照明が当たると会場から拍手が。
挨拶の仕草などを見ていると、
一番最後の「彩子」が一番演じやすかったのでは?と感じた。



衣装というのは演技と一心同体である、
と強く実感した舞台であった。

最後の着付けをしながらの演技は、
何百回となく着付けをし、身につけたのだなと感じた。
毎朝着物を着ていると、
その作業も日常のこと。考えないで手が動く、
と私の着付けの先生はおっしゃっていた。

そこまでいってないととてもあの長いセリフには集中出来ない。
なにせ台詞に関しては独演なのだから。

実際にこの舞台を見に行きたかった。
もちろん中谷美紀さん主演で!

また再演するといいな。

写真は演劇ライフさんより。
 2012/09/25 17:13  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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