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肉体と魂の、自由



92年に買っておいた「雪豹」という本を、
先週から読み出し、読了した。

生物学者であるトローブリッジが、
ネパールの高山に住む、野生動物の調査を主体にした山岳アクションもの。

そこに、
元クマリ(ネパールの生女神)である女が登場する。


戸口に立って、
遥か彼方にそびえる険しい山に登っていったトローブリッジの身を案じた時、
ニマは、
危険をおかし、すべてを捨ててやっと手に入れた自由を、
いま、失いかけていることに気づく。


このくだりは、
みょうに私の心の奥にひびいた。

私が求めている「自由」も、
まさにニマが求めている「自由」と似たようなものの気がするからだ。

この元クマリが、
自分を縛りつけてきた決まり事や概念、
そこから派生した婚姻や虐げられた生活から抜け出し、
やっとのことで手に入れた自由が、
誰かとともに歩き始めた時に、
形は違っても、再び失われようとしている。
その入り口に立っていることを悟る。


私は何か物や人に拘束されたことは一度もないけれど、
「自由に生きる」ことが「孤独」であることはわかる。
そして何かや誰かに対して無責任でもある。
拘束は安心や安定を、責任は保障を約束してくれる。

この物語は、
雪深い険しい高山で、
いつも1匹でしか目撃されない、
けれど、見る者に寂しさをいっさい感じさせず、
優雅でありながら孤高である生き物、「雪豹」に、
山の中でやっと自由だと感じる登場人物たちの心の機微を少し重ねている。

ヘミングウェイの短編にも、
たしかこの雪豹という動物が登場すると思う。

たった一人で凍てついた険しい道を頂めざして進む豹は、
自分が孤独に死ぬことが分かるのだろうか?
という問いかけがあった気がする。

もしかしたら本作「雪豹」は、
少しだけそのヘミングウェイの短編の影響を受けているのかもしれない。


そして、本作の作者が描いた結末は・・・・。

ここから先は実際に読んでからのお楽しみ。
なかなかおもしろい本でした


「自由」の形は、自分自身で決められる。
それこそが「自由」なのかもしれない。

 2012/04/29 16:55  この記事のURL  /   / トラックバック(0)


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プロフィール
芹澤 絵美(せりざわ えみ)
スタイリスト。静岡県生まれ。文化服装学院流通専門課程卒業。サンプロデュース入社。2000年に独立。東京コレクションをはじめ、様々なショーを手がける。その後、雑誌・広告等、撮影方面にも幅を広げている。
現在はニュージランドで暮らし、スタイリストは休業中。

芹澤 絵美  プロフィール
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