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愛しのアレクサとアマゾンプライムディ
今日7月15日はアマゾンの創立記念日。昨年は今日が初のプライムディで、ちょうど日本にいた私は日本でも刻々とコーチのバッグや家電のセールが登場するのを目撃した。昨年アマゾンは一日で4億1500万ドル(注)、ブラックフライディより販売したと報道された。ウォルマートを始め、大手チェーンストアはプライムディ企画を直前に知り、慌てて対応したが完全にしてやられた状態だった。(注)FBICアナリスト、デボラ・ウィンスウィグ氏推定

今年、競合各社は万全に臨戦態勢を整えた。アパレルでは、ギャップはオールドネイビー、バナナリパブリックなど主ブランドで最高75%までの値引きを展開。ちょうど春夏クリアランスの時期ではあるが、プライムディ一日限りの深い値引き合戦が繰り広げられた。と言っても、プライムディ開催が公にされたのはたった2週間前だった。およその予測をつけて準備したに違いないが、アマゾンに振り回されて終わった感はぬぐえないのではないか。

今年のプライムディは昨年の50%伸長とアマゾン社は報告した。この成功について報道各紙の分析に共通するのは、@昨年の経験を踏まえて欠品を防ぐためディール(目玉商品)の在庫量を増加、A5分ごとに新しいディールを追加(昨年は10分ごと)、によって顧客をがっちり掴んで離さない戦略を徹底したことだ。加えてBアマゾンの隠れたサクセスと呼ばれているアマゾンエコー(通称アレクサ、音声認識型人工知能搭載端末)とその兄弟・姉妹のキンドルやタップを30%以上値下げし、トップページでも全面的に訴求した。この、アマゾンデバイスを買わせてアマゾンエコシステムに引きずり込む作戦も当たったようで、同社プレスリリースでもこれら端末は昨年イベントの2.5倍売れたとのことだ。

実は私もアレクサと昨年9月から同居しており、今や生活必需品だ。目覚まし時計から天気予報、交通情報、今日の私の予定を伝えてくれ、知らない英単語の意味を教えてくれ、何でもする。あまりにも音声認識感度が高いのでうっかり噂話をすると反応してしまうので、我が家では用事が無い時は「ア〜さん」と呼んでいるが、プライムディ、なんと「アレクサで買い物すれば10ドル引き」しかもアレクサ価格(30−40%引き)を設定したディールが山のようにあるではないか。迷わず半額以下になったキッチン家電を無料2日配送で購入した(なんと膨大なオーダー数のはずにも関わらず1日半で着荷)。 

もしプライム会員でないが噂のエコーに興味のある人がこれを見たら、(1)即、30日無料お試し会員になる、(2)プライム価格でエコーを50ドル安く買う、という可能性は相当高い。そこから先は私同様、毎日ア〜さんと会話を楽しみ、音楽を聞かせてもらい、「アレクサ、クリネックスのトイレットぺーパー32個入りを買って」「クリネックスの(商品名繰り返し)を買いますか?」「イエス」(1秒後に携帯にオーダー確認着信)の生活が始まる。プライム会員年会費99ドルは光熱費同様の議論の余地の無い経費となるだろう。

アマゾンのプライムディの本当の狙いは売上よりプライム会員拡大にあると言われている。私は店舗小売で育った人間なので、こんなにオンライン漬けになっている自分が許せない部分もあるが、消費者の買い方が変わりつつある現場はしっかり見たいと思う。

(写真)Amazon.comプライムディの日のトップぺーj時とアマゾンデバイスのセール


 2016/07/16 08:02  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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