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そしてアバクロも…
NY時間の昨夜投稿した記事の追加情報です。

今朝アバクロの第一四半期業績発表があった。今期は▲23.7百万ドルの損失を出しているが、通年では当初見込み通りの利益を出す予定だ。添付の通り、海外事業とEコマースに助けられている。

もっとも同社は海外店舗開発の方に、より期待をかけているようだ。NY旗艦店には相変わらずの長蛇の列だが、ほとんどが観光客。アメカジの価値は今や、外国人の方によりアピールするのだろう。 (添付資料出所:アバククロンビー&フィッチ社)

 2014/05/29 21:52  この記事のURL  / 

Eコマースに救われたギャップ
アメリカ小売業界では第一四半期の業績が次々と発表されている。今年は全米多くの地域で例年に無くいつまでも寒い気候が続き、厳しい春物商戦となった。多くの企業が売上高が前年同期比を割っている。とは言え、常に勝ち組はいるものだ。

スケートボード他スポーツファッション・チェーンのズミーズ(Zumiez)は売上高前年同期比9.7%と好調に終った。好調要因の1つに、既存比に含まれているEコマース売上の伸長を挙げている。同社のEコマース売上高シェアは現在12.3%、前年同期から14.3%伸びている。

アパレル最大手のギャップもEコマースに救われた。既存比は▲1.0%だったが売上高前年同期比は1.2%にこぎつけた。同社の総売上高は3,774百万ドル、前年同期は3,729百万ドルだったのでは45百万ドルの伸長だ。Eコマースは今期575百万ドル、前年同期509百万ドルから13%、66百万ドル伸びたので、もしこれがなければ前年比も落としていたかもしれない。

一方で売上高前年同期▲5.0%、既存比▲10.0%のアメリカン・イーグルは、向こう3年間で150の不採算店舗の閉鎖を発表した。エアロポスタルは売上高前年同期比・既存比のみならず、Eコマースも▲18%と後退している。

下の表の通り、アメリカではEコマースが今後小売業の業績に大きな影響を与えることは明らかだ。天候が悪くても、外出先からでも、24時間いつでも買える強みは大きい。特にアメリカの消費者は便利が大好きだ。よく指摘される「アメリカの接客はレベルが低い」という悲しい事実も、Eコマース拡大を後押ししているかもしれない。オムニチャネル化はもはや必須である。
 2014/05/29 06:40  この記事のURL  / 

ジェネレーションZはソーシャルでモノを売る
ジェネレーションZとは13歳から17歳のティーンエイジャーを指す。生まれた時からデジタルに囲まれ、「10歳で年齢を偽ってフェイスブックを始め、13歳で飽きてやめる」世代だ。親がITバブル崩壊やリーマンショックを通過しているため、子ども達もお買い物を「がまんさせられ」た経験を持つ。1980年代から2000年初期生まれの世代をジェネレーションYと呼ぶが、これの一番若いグループだ。アバクロやアメリカン・イーグルを買ってもらえなくなった世代でもある。

本日付けのWWD紙は、若い世代にフォーカスした市場調査会社、ジ・インテリジェンス・グループ (TIG)のレポートを紹介し、「このZ世代がソーシャル・メディアやスマートフォン上で自分が不要なものや、時には自分が制作したものを販売し、リテーラーの潜在的な脅威となりつつある」と報告している。

TIGの調査では、過去6ヶ月間にZ世代のうち18%がeベイやグレイグズリストのような再販サイトで、17%がオンラインや委託ストア(consignment store)で自分の持ち物を売った経験を持つ。また8%のZ世代は、自分自身で制作したものをオンラインで販売している。

12歳から17歳の50%以上は、「ウェブサイトにアクセスするのにモバイルしか使わない」そうだ。インターネットに関する研究で有名な「ピュー・インターネット&アメリカン・ライフ」プロジェクトでも、Z世代が携帯電話を使用する際、95%はインターネットを、81%はソーシャル・メディアを利用する、と報告している。

Z世代に絶大な人気を誇る、写真掲載をベースとするソーシャル・メディア、インスタグラムでは、自分が販売したいものを撮影・掲載し#forsaleとハッシュタグをつけると、個人の商品を専門に販売するマーケットプレース上で商品検索され、販売可能だ。集金はオンライン決済サービス、ペイパルを使用する。

自分でモノを売る経験を積んだ世代が一人前の消費者になった時、アメリカン・リテーラーはどんな戦略を用意するのだろうか。
 2014/05/16 07:27  この記事のURL  / 

Jクルーの「マーカンタイル」:その後
Jクルーが昨年11月トレードマーク登録した「マーカンタイル」、5月2日付け本ブログでは、ウォール・ストリート・ジャーナル他の米系有力メディアはこぞってJクルーが低価格帯の新ブランドを開発しているのではないか、という報道を紹介した。7日付けのウィメンズ・ウエア・デイリー紙の取材にCEOのミラード・ドレクスラー氏は「全く、何も決まっていない」と明言した。

同氏は「我々は、何かクリエイティブなものを感じた時には、取り合えずそれを入手しておく。その段階でアイディアが曖昧であっても、後に何かできるかもしれないから」という内容のコメントをし、マーカンタイルについての加熱した報道を収束する発言をした。

これは、メディアの憶測を否定するものでも肯定するものでもない。事実はドレクスラー氏の言う通り、「未定」なのだろう。しかし、少なくとも「何か次の新しいコンセプトのブランドを作りたい」という意思があることは確実だ。他にも名称を商標登録しているそうだが、具体的な名称は明かされていない。

ところで現在プライベート・カンパニーのJクルーは新規株式公開準備中と言われている。一方で次の投資家(グループ)を探してもいるようだ。さらなる成長の資金調達のために「売り」モードのJクルーが、「新ブランド」をちらつかせるのも自然なこと。どんな魚が釣れるのだろうか?
 2014/05/08 11:02  この記事のURL  / 

Jクルーが新ブランド「マーカンタイル」を準備中
Jクルーが昨年11月トレードマーク登録した「マーカンタイル」、同社に詳しい情報筋によると、現在2箇所の出店候補地と交渉中で、いよいよ新ブランド・デビューが近づいた様子だ。(注:Jクルー社広報部はまだ公式発表していない)

同ブランドはバジェット系コンセプトとウォルマート・ジャーナル紙他、有力メディアが報道している。

CEOのミラード・ドレクスラー氏は、ギャップ社CEO時代に同様に低価格帯の「オールド・ネイビー」を立ち上げ、現在では店舗数・店舗面積共にギャップ社内最大となっている。当時、ドレクスラー氏は敢えてギャップとは異なるブランド名を採用してギャップとのカニバリズム(とも食い)を避けた。彼が今回Jクルーでどのように低価格ブランドのカジを取るのか、まだ詳細は不明だ。

Jクルーは、2008年に始まった不況後も大手アパレル・チェーンとしてはいち早く業績を回復した。素材やディテールへのこだわりと独特のカラーパレット、そしてレディス向けデニム・コレクション「メイドウェル」やメンズ・スーツ・コレクション「ザ・ルドロウ」等ブランド開発によって、財布の紐が固くなった高額所得者たちからも支持を得ている。よくウィメンズ・ウェア・デイリー紙他が引用する「プラダのジャケットにJクルーのTシャツ」がまさにそれだ。

しかしJクルーの2013年度直近の業績は売上24億2,830万ドル、伸び率9%、既存比3%と競合他社に比べれてまあまあ、の結果だ。ちなみにギャップ・ブランド(海外売上も含む)も3%だ。数年前の勢いは落ちた様子で、粗利率も昨年度44.3%から41.4%に、当期利益は昨年度9,610万ドルから8,810万ドルに下がっている。当然、ドレクスラー氏も株主からのプレッシャーを受けているはずだ。その上、Jクルーは新規株式公開を含めた次の成長戦略を模索中だ。

本ブログでも既報の通り、アバクロを始め、アメリカン・カジュアル系は苦戦している。アメカジだけでなく、アパレル・チェーンはどこも熾烈な競争を勝ち抜くのに必死だ。そのため、各社は新コンセプトや価格帯の低いディフュージョンラインを開発してきたが、不況時に撤退に追い込まれたケースも多く意外とその成功率は低い。その点からも、マーカンタイルの今後の動きを注目したい。

(写真:Jクルー・メンズストア)


 2014/05/04 00:36  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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