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低空飛行のエアロポスタル
私達は、ある企業、特にチェーンストアのように規模の大きいリテーラーの業績が悪くなると「時代についていけなくなった」とか「顧客に飽きられた」とか言う。
今月、ティーンエイジャー衣料品チェーン、エアロポスタル(ARO)は、投資会社シカモア・パートナーズから1億5,000万ドルの資金援助の取りつけにこぎつけた。また、同投資会社はその後AROの持ち株比率を上げた。

AROはティーンエイジャーをターゲットとするアメリカン・カジュアル御三家だ。アバクロ、アメリカン・イーグル、エアロポスタルは、乱暴に言うなら似たようなデザインではある。価格帯で言うと、松竹梅。筆者の家では「梅」のAROで十分事足りている。シーズンにもよるが、結構可愛いデザインもある。アバクロのように、下手に凝った刺繍等を使っていない分だけ洗濯がラク、というメリットもある。

リーマンショック、経済破綻以降、まず高価格帯のアバクロが打撃を受けた。その恩恵をアメリカン・イーグルとAROが受けてきたはずだったのに、いつの間にか、AROも苦戦している。これはやはり「時代についていけなくなった」から?でも、AROのようなアメリカン・カジュアルは、ごくベーシックなデザインで売れていたはずでは?

資金提供のニュースで、トーマス・ジョンソンCEOは「我々は懸命に商品を進化させるべく努力しているが、顧客の行動がここまで突然大きく変わってしまうとは予測できなかった。現在の顧客は当社上場後の過去12年間に見なかったほどのスピードで変化している。」とコメントした。

ちなみに、同じように業績不振に悩む「竹」のアメリカン・イーグルCEOジェイ・ショッテンスタイン氏も、業績発表の際、「マクロ経済環境が厳しい上に、我々の商品や顧客経験は、顧客の期待に十分沿っていなかった」と似たような発言をしている。

改めて店舗を散策した。トレンドをアメカジ風にこなそうとしているらしきティーンズ専門店内には、子どもの服を探す親らしき姿の方が目についた。


 2014/03/30 01:26  この記事のURL  / 

よみがえったのでしょうか?JCペニー殿
ニューヨークに住んでまのなく21年目を迎える。アメリカのリテール・ビジネスを自分の目で見たくてラゲージ1つで渡米したが、気がついたら、うっかりアメリカ小売業の歴史を語ってしまうほど長居をしてしまった。

2月26日、JCペニー(JCP)は第4四半期業績を発表。売上既存比はようやくプラス2.0%に転じ、危惧され続けてきたキャッシュフローもアクセス可能な資金20億ドル以上と大幅改善した。各紙報道の見出しには待ちに待った「turnaround(業績回復)」の言葉が飛び交い、当然ながら株価も上昇した。なぜこれが素晴らしいニュースなのか?

JCPは1902年創業のアメリカを代表する百貨店だ。日本人の感覚からすると、むしろイオンやイトーヨーカドーと言った量販店に近いイメージではあるが。中所得層の支持を集めながら、浮き沈みの激しいアメリカ小売業を生き延びてきた。が長年業績不振にも陥っていた。ファスト・ファッションの台頭や、アウトレット、ディスカウンターとの競争など様々な環境変化が原因だ。それでも、トレンディなファッションが簡単に低価格で手に入るようになった中で、JCPならではの、ちょっとオバサンくさいマーチャンダイジング、そして日常的なクーポンやマークダウン戦略で、そこそこあの巨体を持ちこたえていた。

ところが、経営革新に向けて2011年にアップル社小売部門のトップだったロン・ジョンソン氏をCEOに迎え入れ、「変化しなければ死に体」として、売場を100のコンテンポラリーなブティックに変えると宣言、「エブリディ・ロープライス」路線に変更し、クーポンやマークダウンを一切やめてしまった。改革着手後、売上は伸びるどころかみるみる下がり、負のピーク時には売上既存比は▲31.7%も減少した。2013年4月にジョンソン氏は追い出され、その前のCEO、マイロン・ウルマン氏が出戻り、沈没寸前の巨船の水をかき出し、今回の業績発表にこぎつけた。

今後については、ジョンソン計画にあった最先端のクールなファッションまではいかないもの、軽くそのエッセンスを利用しながら、同社の主要顧客が求めているような以前のような売場づくりに戻すという。いわゆる「原点回帰」だ。100ブティックの目玉の1つ、「ジョー・フレッシュ」は今でも残っているがキッズを削除し、レディスの展開規模を適正化(縮小)する。一方、JCPオバサン顧客に愛されてきたPBの1つ、ウォーシングトンは以前よりモダンになった。でもそれで本当に大丈夫なのだろうか?それに2013年度のボトムラインはまだ赤字。その額は前年度より拡大している。今後は管理部門経費削減で利益化を目指すが、まだ改革はスタート地点にあるかのようだ。


 2014/03/19 07:22  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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