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涙の1月、米国アパレルチェーン沈没ニュースに学ぶ
2017年1月、アパレル専門店チェーンでは、これでもか、というほど店舗閉鎖・倒産ニュースに明け暮れた。

◆ The Limited
1月4日にThe Limitedが250店舗全店閉鎖と4,000人解雇を発表、17日に会社更生法チャプター11を申請し、オンラインストアも閉鎖した。唯一の光はシカモアパートナーズがThe Limitedのブランドとオンラインストア資産を購入したので、ブランド名とオンラインビジネスは生き残る可能性があることか。

◆ West Seal
同日、ティーンエイジャーブランド、Wet Sealも全店の3分の2にあたる338店舗の閉鎖と3,700人の解雇を発表。その後20日に全社員の解雇と残りの店舗全店の閉鎖を発表した。同社は2015年1月にチャプター11を申請し、建て直しを図ったものの、試合終了の様子だ。

◆ American Apparel
昨年11月、2度目のチャプター11申請をした同社は今月、2,400人の従業員を解雇した。申請後、カナダのアパレルメーカー、ギルダン社が8,800万ドルでブランド名を買収したが、110の店舗には関心を示していない。同社の存在理由でもあったアメリカ国内生産工場はガーデングローヴ社が購入仮契約を結び、これが最終化すればここの社員300名は命拾いし、工場は編み及び染色工場として蘇る。が、店舗はこのままバイヤーが現れなければ閉鎖となる。

◆ BCBG
18日、BCBGマックス・アズリアは店舗撤退を発表した。ヴィクトリア・ベッカム、ミリー・サイラス、ジェシカ・シンプソンなどセレブご用達のブランドとして人気上昇し、女性高校生のプロム(卒業式謝恩会)用ドレスの定番ブランドでもあった同ブランドだが、近年業績が思わしくなく、昨年末には123人を解雇。今回の店舗閉鎖ではまだ具体的な数字は出ていないが、全米で175店、全世界570店舗の一部から撤退し、オンラインストアに経営努力を集中するという。

今月、メーシーズは1万人の解雇を発表し、シアーズ、コールズも昨年発表した閉店を開始している。何とも寂しい新年のスタートではあるが、彼らから学び、生き残りを目指せ、という天の声でもある。以下は今月私が聞いた天の声だ。

*オンライン、オンライン、オンライン
店舗事業では立地が一番重要、という意味で「ロケーション、ロケーション、ロケーション」という英語がある。しかし消費者は今や検索もショッピングもオンライン(モバイルを含む)にシフトしている。店舗が不要な訳ではないが、店舗をやるなら発想を変える必要がある。

*危険な中価格帯
ことファッションの世界でこの数年間にチャプター11、倒産したブランドは皆、デザイナーブランドとファストファッションの中間的な価格帯だ。昔で言えば「お手頃」「アフォ―ダブル」と言う価値を提供していたが、価格のヒエラルキーが崩壊しつつある中、お手頃であるより、商品の本当の価値で売上を作る時代に入ったのではないか。

*ブランドの適正な規模
店舗をチェーン化する時の理由の1つは、店舗の大量生産による出店コスト低減だった。そういう時代も、ファッションの世界では終焉しつつある。

本日で多くのアメリカ小売業者は2016年度を締める。店舗撤退話も今日までにして、明日からは前向きなニュースが聞けますように。

 2017/01/29 07:05  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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