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注目のオンライン下着ブランド、ミーアンディーズ(MeUndies)
2011年に創業したオンライン下着(パンツ)販売のミーアンディーズ。とにかく履き心地が良い下着が欲しい、という目的のために開業したオンラインストアがセレブの間でも評判になり、アメリカのファッション・小売業界で注目され始めている。

同ブランドは@快適な下着(パンツ)、A生産過程や販売方法がトランスペアレント(よくわかる)り、ダイレクトに消費者に商品を届ける、Bショッピングの中でももっとつまらない買い物である下着購入を、わくわく楽しくする、ことを目的にジョナサン・ショクリアンが立ち上げた。同社は素材にこだわり、ブナ材を原料とした「マイクロモダル」(登録商標)を使用している。この糸加工からこだわり、生産プロセスも環境に配慮し、身体にも良い方法を採用している。
開業以来300万点以上の下着を販売、そのうち3分の1は過去1年間の販売実績だ。今年1,040万ドルの投資を受け、現在従業員60人、今年度中に黒字転換化を目指し、来年度は400-500万点の下着を販売する計画だ。

商品は単品販売(1点14-16ドル)、まとめ買い(10個入り120-160ドル、1年分365個入り4,000ドル)、もしくは定期購読(毎月14ドルで1点ずつ自動的に送られてくる)の3つの購入方法があり、現在定期購読者数は5万人だが、2017年度中に100万人を目指している。

同社の成功の秘訣は、冒頭の通り「極めてソフトで履き心地のよい、環境にも身体にも良い商品」であることは間違いないが、それ以上に大きな要因はマーケティングだ。特にスナップチャット上での写真キャンペーンが顧客拡大に効果を上げている。スナップチャットは、アメリカでは若い層を中心に急成長しているソーシャルメディアで、フラッシュニュースのように友人の掲載写真が次々と送られてくる。フェイスブックと違って受け取る側のページ上では24時間しか写真を保存しないので、送る側も受け取る側も気楽にどんどん見られるのが特長だ。

同社の製品ラインアップは、ベーシックな色のものと限定販売のプリント柄のものとに分かれるが、後者の商品をスナップチャット上に週に3回ほど、ストーリー性のある写真にして流している。例えば最近発売したラウンジウェア(パジャマのパンツ)を履いた男性が、急いで横断歩道を渡っている姿など、少しユーモアのあるストーリーの中で商品を紹介し、最後にそのエピソードで使用した商品専用のサイトアドレスを出す。見た人の多くはそれをスクリーンショットで保存するそうだ。過去最も成功したのはタイダイ柄のパンツを紹介した時で、そのクリック率は16%、スナップチャット平均の5倍以上だったと言う。マーケティングランド.comの今年3月取材時点では、スナップチャットから同社サイトにリンクして購入した率は10-12%という。

また本当の口コミにも強いブランドで、若い人々のパーティなどで「俺、これ派」みたいな会話でズボンをおろして同社ブランドだと一目でわかるパープルカラーのゴムバンド部分を見せると、同じブランドを履いている人が皆同様にズボンを下げて見せる、その風景がパーティ会場にいる全員に受ける、という、もはやオバサンにはついていけない世界があるのだそうだ(注1)。もちろん、過去のブランド戦略同様、セレブからも愛用されている。

同社は購入方法の1つとして定期購読を採用していることからも業界では注目されている。最近、オンライン定期購読モデルが危ぶまれる例が出てきた(注2)ので、このモデルが本当に成功するのだろうか、ということだが、同社CEOは「我々は定期購読モデルだけではない点が強みだと思う。」という発言をしている。

ずば抜けた商品の機能性、顧客を創出するソーシャルメディア。アパレル業界が停滞する中でも、次のブランドは生まれてくる。

(注1)ミーアンディーズ社マーケティング部トップのダン・キング氏の発言による。筆者が実際に現場を目撃した訳ではないので、真偽のほどはさだかではない。
(注2)化粧品サンプル定期購読モデルで一躍有名になったバーチボックス社では、昨年共同経営者の一人が辞任し、今年1月にレイオフや事業計画の見直しがあった。現在経営テコ入れ中だが、倒産等の噂は出ていない。

(写真)スナップチャット上で公開されたタイダイ下着への購入リンク

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 2016/10/09 09:00  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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