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メーシーズがビューティオンデマンドと提携
メーシーズがヘア&メークアップのオンデマンドサービス、beGlammedと提携した。beGlammedはロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、マイアミ、シカゴ、ダラス、アトランタ、ボストン等、全米22都市に1200人のスタイリストのネットワークを有しており、モバイルアプリで予約、自宅でヘアスタイリングやメークアップを行う。サービス料金は25ドルから185ドル程度だ。

提携により、メーシーズのウェブサイト上からもこのサービスにアクセスすることができる。またメーシーズ店内サインやソーシャルメディア上で訴求していく。

まだ2014年に起業したばかりのbeGlammedが800店近いチェーンストアおよび顧客を持つメーシーズと提携するメリットは容易に理解できるが、メーシーズにとってのメリットは何か?
メーシーズに限らず、アメリカでも百貨店はサイフの紐が固くなった消費者、衣料品にあまり興味の無い若年層(こちらではミレニアル世代)、ファストファッションの普及と飽和市場、という理由で主力の衣料品売上で苦戦している。これを補うために各社それぞれ工夫をしているが、メーシーズは化粧品売場の拡充という選択肢を選んだ。ニューヨークの旗艦店では売場を拡大しただけでなく、LEDパネルをふんだんに使い、イベントや新商品をドラマチックにヴィジュアルコミュニケーションしている。また昨年3月には約210億円を投資して60店舗を展開する高級化粧品チェーン、ブルーマーキュリーを買収。現在同ブランド店はメーシーズ4店舗でインショップ展開しているが、今年度中に18店舗追加の予定だ。

物販面の強化がブルーマーキュリー買収とすると、beGlammedとの提携により、百貨店を超えたサービスの提供が可能となる。現在百貨店のみならず、アメリカ小売業界全般でオンデマンドサービスとの提携が盛んになっており、小売業者は自社ではできないサービスを顧客に提供しようと試みている。

さて、消費者の立場から見てみよう。来店頻度は減ったがたまたまメーシーズに買い物に行ったら、beGlammedのサービスを知った。興味を持ち、早速試してみるかもしれない。しかし、beGlammedのサービスを気に入ったからと言って、必ずしもメーシーズで前より頻繁に化粧品を買うだろうか?もちろんメーシーズはbeGlammed客に割引やギフトなどで販促をかけるだろう。だが、メーシーズが提供している化粧品ブランドのほとんどは他社でも買えるものだ。よほどの動機づけがないと、beGlammedのサービスに満足して終わってしまうような気がする。

一方、ブルーマーキュリーならブランド揃えだけでなく、専門店としての接客や情報提供力があるので、ブルーマーキュリー側が主体的に編集した化粧品群をbeGlammedで使ってもらう、などの発展も可能だ。もしかしたら、せっかく買収した、顔の見える顧客データを持つブルーマーキュリーとオンデマンドを絡めた方がより戦略性の高い事業提携だったかもしれない。ところでブルーマーキュリーが買収後1年以上たつのに、メーシーズ内の店舗展開数が少ないのが気になる。それとも何か、まだ発表しない秘策があるのか?昨年の買収も含めて今回のビューティ部門拡充第二段、その後のストーリー展開が楽しみだ。

(写真)メーシーズ社ウェブサイトより




 2016/09/26 05:56  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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