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オフプライス業態、再度ブームに
昨年、メーシーズがオフプライス業態への参入を発表して以来、アメリカの百貨店業界ではオフプライス業態が再度注目されている。メーシーズの「バックステージ」は現在ニューヨーク、ニュージャージ地区に6店舗営業しており、今後全国規模での出店に備えている。

同社傘下にあるブルーミングデールズも今年春にオフプライスへの参入を発表し、1号店はマンハッタンのアッパーウェストサイド。B社によると11月感謝祭前に開業の予定が、工事の遅れにより12月になるそうだが年内の開業を目指しているとのこと。

そして昨日、ロード&テイラーが「ファインド@ロード&テイラー」の名称で来年オフプライス業態を展開すると発表した。

百貨店のオフプライス業態と言えば、ニーマン・マーカスの「ラストコール」、サックス・フィフス・アベニューの「オフ・フィフス」、ノードストロームの「ノードストローム・ラック」が先発組で、もともとの百貨店店舗数を上回る程の店舗展開をしている。オフプライス業界全体を見渡すと、リーダーのTJマックス社(年商4兆円以上)が全米および世界7カ国で7業態、計3,461店舗網を敷いている。

後発組にとって幸いなことに、オフプライス市場では市場競争の結果、脱落組が出てきている。全米でも高所得者の人口密度の高いニューヨーク、ニュージャージー地区では、2012年、2013年にリージョナル・チェーン大手だったダフィーズ(倒産当時19店舗)、ローマンズ(ピーク時には100店舗)が相次いで倒産した。両社共に大手との競争で魅力あるブランドの獲得が難しくなったことが原因だ。その跡地が後発組にとっては絶好の出店用地となり、スピーディな出店、過去の顧客の獲得が可能だ。

百貨店系オフプライスはいずれも3万スクエアフィート前後、大雑把にオリジナルの百貨店の3から5分の1のサイズだ。価格ポジショニングは、ロード&テイラーもメーシーズも「TJマックス(低価格)とノードストローム・ラックの中間」というあたりを狙う。前者がブランドTシャツ10ドル台に対して後者が30-40ドル台、その中間というあたりか。

下図のように、もともとは高級百貨店が在庫処分チャネルとして早くからオフプライス業態を開発・拡大してきたが、メーシーズやロード&テイラーのような中価格帯百貨店は後手に回っていた。もともとデザイナー・ブランドをより手の届く価格で販売してきた百貨店にとってオフプライスをいかに舵とりするのか、興味深い。

この点でロード&テイラーのオフプライス業態には1つ見所がある。同社の系列会社、サックス・フィフス・アベニューはすでに89店舗オフ・フィフスを営業しているが、「このマーチャンダイジングチームがファインド@L&Tのマーチャンダイジングも行う」というものだ。ウィメンズ・ウエア・デイリーの取材によると「これによって経費効率よく経営できる」とのことだが、価格帯の違う2つの業態を管理することでマーチャンダイジング面でも攻めのシナジー効果が出るのではないだろうか。
 2015/10/29 07:10  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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