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クィックシルバー倒産、パシフィックサンウェア上場廃止の危機、次はどうなる?
今月9日、サーファー・ブランドの老舗、クィックシルバーがチャプター11を申請した。同社は長らく売上不振で、2013年以降スノーボード部門他の売却などリストラを継続してきたが、結局売上が好転しなかった。

同日、パシフィック・サンウェアがナスダックから上場廃止の警告を受けたことを開示した。株価が1ドルを下回ったからだ。同社は来年2月29日までに株価を回復させないと上場廃止となる。同社は8 期連続で赤字、過去20期のうち19期は赤字だった。しかも同じ報告書によると、CFO(最高財務責任者)が退任したとのこと。こちらも崖っぷちだ。

しかし、ティーンズ・ブランド危機のリストはまだ続く。ズーミーズも減収減益が続いており、既存比は第2四半期▲4.5%、第3四半期見込み▲7-9%で、株価は30%以上下落した。サーファー・ブランド、ホリスターを持つアバクロも第2四半期は既存比▲4%、当期利益も80万ドルの赤字(前年同期は1,290万ドルの黒字)で、過去のトレンドから見ると既存比マイナスの数字は小さくなっているが、比較対象の前年が悪かったのだから多少の改善は出血が収まりつつある、に過ぎない。

このカテゴリーの地すべりはもう何年も続いている。共通の原因と言われているは、
*今のティーンエイジャーの心をつかんでいない=「クールではない」
そもそも、クィックシルバー倒産ニュースでショックを受けたのは、40代、50代の元サーファーとのこと。アメリカの若いティーンエイジャーにとっては、モールに行けばどこにでもある、そこらのブランドとなってしまったことが大きな敗因のようだ。

*サーフィンは時代遅れ
今のティーンエイジャーには、一世代前のサーフィンへの憧れは無い。人気があるのはアイスホッケー、ラクロス、フェンシング、ゴルフ、ヨガなど。また全般的にティーンエイジャーがスポーツをしなくなったという統計もあり、運動評議会(SFIA/Physical Activity Council)が13−17歳を対象に行った「1年間に運動をしなかった」調査では、2007年の17%から2012年19%に増加しており、その傾向は今も続いているとのこと。

*ファッションよりスマートフォン、音楽、グルメフード
日本と同様、説明も不要だろう。

*オーバーストア
ティーンエイジャーのみならず、経営危機のブランドは全て「店舗が多過ぎる」。ある店舗数を過ぎたところから、「誰もが着ている」ためと突然地割れを起こすのだろう。

*オンライン・ビジネスに弱い
逆の言い方をすると、店舗過多になる前に店舗数を制限し、オンラインビジネスにスィッチしているブランドは、足元を固めている。なぜかというと、ティーンエイジャーそして大人もが携帯と共に毎日の多くの時間を過ごしているからだ。彼らが携帯を見ている時間とモールに行く時間の長さは到底比較にならない。今回崖っぷちに立たされているブランドはどこも、情報提供としてのウェブサイトとしてはよくできていたかもしれないが、それ以上ではなかった部分でティーンエイジャーの生活に入り込めなかったのだろう。

しかし、サーファー・ブランドのビラボングのように、起死回生を果たしたティーンエイジャーブランドもある。それについては次回触れたい。

(写真)クィックシルバータイムズスクエア店。閉店セールで全品20−40%オフとなっている。この「閉店セール」のポスターはチャプター11の象徴のような赤に黄色の品のないもので、これを見ると胸が締め付けられるものだ。


 2015/09/22 05:29  この記事のURL  / 

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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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