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ギャップがアマゾンでも販売?!
今月19日に発表されたギャップ社の第1四半期決算内容は競合他社同様不振で、全社既存比は▲5%。様々な業績改善策の1つとして、日本ではオールドネイビー全53店舗撤退する。アメリカ本国ではオールドネイビーに加えてバナナリパブリックの店舗削減も検討する。ブルームバーグの報道によると、アート・ペックCEOは株主総会で、今後の経営立て直しについて「新たな販売チャネルの1つとして、アマゾンでの販売も考慮する」と述べた。

アマゾンは皆さんご承知の通り、業種を超えてチェーンストア勢の大敵だ。今月発表された電化製品専門誌TWICEマガジンの調査によると家電市場では昨年上位3位だったアマゾンは、今年ウォルマートを抜かして2位に躍り出た。1位はベストバイだが同社の売上高309億ドル、成長率3.8%に対してアマゾンは231億ドル、28.1%。仮にベストバイが毎年3%、アマゾンが20%成長する場合、2年後の2018年にはベストバイを抜いて1位になる計算だ。

アパレル市場でも状況は同じだ。モーガンスタンリー社のレポートによるとアマゾンはやはり現在ウォルマートに次いで第2位。2020年までには1位になると予測されている。

「敵を知り、己を知る」という戦略かもしれないが、ペックCEOの発言について、アメリカでは懸念の声があがっている。フォレスター・リサーチ社のアナリスト、マルプル氏は「馬鹿げた選択だ。ウォルマート、ターゲット、コストコで売る方がまだまし」とコメント。その理由として、ギャップの営業データがたやすくアマゾンの手中に入り、彼らはそれを分析して自分たちのアパレル販売戦略に活用できるから、としている。

他にも専門家による懸念の声は大きい。もっともペックCEOは可能性の1つとして検討すると述べているに過ぎない。が、ギャップ社が相当シリアスにアマゾンの脅威を感じている、ということだろう。一方で、ギャップ・ブランドはオールドネイビーほど業績は悪くはない(既存比▲3%)し、アスレジャーのアスリータは伸長、といった好材料もある。

ファッションの世界は家電とは異なり、顧客の反応やトレンドにフォーカスして行けば短期間に業績改善も可能だ。そしてギャップには、アマゾンにないファッションビジネスのノウハウと経験がある(はずだ)。長いものには巻かれろ的に販売力のあるアマゾンで売るより、店舗を含めた自社のチャネルを洗練していく方が結局は効果が出るのではないだろうか。

(写真)メモリアルディ休暇中の店内。海開きもあり、夏が始まり、皆で屋外でバーベキューを食べる週末なので、他社の店舗はセールにも関わらずあまり店内が混んでいなかったが、視察したメーシーズ本店はす向かいの店舗ではレジに10人程度の行列ができていた。(筆者撮影)


 2016/05/30 06:28  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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