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ブルックリン、インダストリーシティに集まるファッション業界
ニューヨーク市ブルックリン区に人気が出てきていることはご存知な方も多いだろう。ダンボに始まり、ウィリアムズバーグ、プロスペクトパークはおしゃれなブティックや高級レストランが並び、今やマンハッタンより不動産価格が高いとも言われている。

歴史的にブルックリンは、マンハッタンに近いイーストリバー沿い、大西洋沿いに港町が開け、海運の要所だった。その中の1つ、サンセットパーク地区にあるインダストリーシティが今注目されている。19世紀末から20世紀初頭にアーヴィング・ブッシュによって建設されたブッシュターミナルがインダストリーシティの前身だ。同ターミナルは船で運ばれてきた物資を仕分し、全米都市に鉄道運送する拠点だった。2つの世界大戦中政府に戦地への物資輸送拠点として召し上げられたこともあったが、一時期は2万5000人以上が働く全米最大の産業パークとして栄えた。その後1960年代には国内輸送はトラック便が優勢となり、地域は廃れていったが、1980年代からアーティストやギャラリーが移り住むようになり、1996年には中〜高所得者を顧客とするコストコが同地に出店。その後地区再開発が進んだ。

2014年にはマンハッタン、チェルシー地区の元ナビスコ工場をグルメフードのメッカに変え、さらに近隣地区をハイテクと新たなライフスタイルの町へと開発を進めるジェームズタウン社がインダストリーシティ121,400平方メートルに1億ドルの投資を行った。この物件に一昨日ギャップが10年契約を結び、デザインスタジオを開設する。

同ビルには既にウィリアムズソノマ社のコンテンポラリー家具チェーン、ウェストエルムや、ラグ&ボーン、マリア・ミルズ(水着)、ボール&バック(メンズのアウトドアウェア)、3Dプリンター、ボットメーカー社等が入居している。近隣ビルではアマゾンがニューヨーク地区の配送拠点として昨年11月にディストリビューションセンター用地としてリース契約を結んでいる。

ブルックリンにはこのように新たな産業センターとしての顔もある。マンハッタンという世界の一大経済拠点を川越しに見ながら、同業異業の企業と人が同じビル空間で働く、というのは、何か創造力が高揚しそうな気がする。そしてそこに素早く拠点を置く、ギャップ、ウィリアムズソノマ、コストコ、アマゾン。サンフランシスコ、シアトル西海岸勢はやはり常に先を見ているということか?

(写真上)2014年1月17日ニューヨークタイムズより、Victor J. Blue氏撮影
(写真下)Industry Cityウェブサイトのリースページより現在のイメージ写真


 2016/04/30 06:56  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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