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閉店が拡大する米国百貨店
前回に続いて、今度は百貨店の閉店の話だ。今週月曜日にフォーチュン誌による「アメリカの百貨店は今後数百店舗を閉店しなければならないかもしれない」という見出しの記事を掲載したことが、目新しいニュースではないものの話題になった。「ああ、やっぱり」という反応をする人が大勢いたからだろう。

今年は1月にメーシーズが40店舗閉店(プラス人員削減)が話題となったが、既に競合他社は2014年から閉店トレンドにあった。アップルの元幹部をCEOに登用して大失敗したJCペニーは2014年33店、2015年40店閉鎖し、今年は少なくとも7店舗の閉店が決まっている。一体いつから業績が悪化したか思い出せないくらいのシアーズはシアーズ店舗は2011年868店だったのが、2016年708店に、Kマート店舗は同じく1,309店から950店に減り、今年上半期中にさらに50店舗閉店すると言う。かつては百貨店業界の優等生だったコールズも、今年18店閉店の予定だ。

こうして見ると気が付くように、閉店ラッシュは明らかに中〜低価格帯の百貨店業態、いわゆる日本のGMS的な百貨店だ。共通の理由は@ショッピングモールへの来店客数が減ったこと、A専門店にパイを奪われていること、そしてBアマゾンの影響とのことだ。アマゾンの影響というのは、少々腑に落ちない点もあるかもしれないが、アマゾンはこの数年来ファッションに力を入れていること、衣料品の中でもアクティブスポーツウェア、靴やハンドバッグ等アクセサリーはオンラインで購入する人が多いことが影響しているのではないか。

もっとも、アメリカの小売業界では閉店=悪、この世の終わり、ではなく、むしろ企業の収益改善に向けた前向きな戦略とみられる傾向がある。例えばコールズは代わりに小型店、アウトレット「Off-Aisle By Kohl’s」を増やし、同社の米国エクスクルーシヴブランド、フィラの路面店を10-15店出店を予定している。シアーズも地道に不動産業に力を入れ、不採算店舗の跡地活用による収益確保に力を入れている。

ただ、今現在をしのいだとしても、5年後、10年後に企業がどうなっているのか。量販系の百貨店業態は無くなるのか。オムニチャネル戦略にすら行きつけないのだろうか。まだ先が見えない状況ではある。

 2016/04/29 07:15  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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