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倒産ラッシュの米国スポーツ専門店
チャプター11申請したシティスポーツ(昨年10月)、スポーツオーソリティ(今年3月)に続き、今月6日、EMS(イースタンマウンテンスポーツ)他144のスポーツ専門店を経営するヴェスティスリテールグループが倒産準備に入っていると報道された。

かつては全米最大、現在でも450店舗のスポーツ専門店チェーンだったスポーツオーソリティは現時点で140店舗を閉店する予定だ。ヴェスティスは傘下ブランドのうちスポート・シャレ47店舗及びそのオンライン事業、EMS8店舗、ボブズ1店舗を閉店する。

スニーカーやアスレジャーウェアがこれだけ人気なのに、なぜスポーツ専門店が次々倒産するのか?

以下のグラフをみていただきたい。データは2014年だが傾向は見える。第一の原因として、非スポーツ用品専門店にシェアを奪われていることが大きい。ウォルマート、ターゲット等ディスカウンター、グラフには載っていないがアマゾンも大きいに違いない。よほど専門的な用具ならともかく、一般的なスポーツ器具・衣料品ならワンストップでこれらのチャネルで購入する方が圧倒的に便利だ。

次に、専門店間の競合だ。21日のCBSニュースでは「負け組はプライベートエクィティによる非上場企業」との指摘があった。投資会社はどんどん先行投資を行う結果、激しい市場競争の中で売上が予定通り伸びないと一挙に赤字に転落する。スポーツオーソリティは少なくとも4億6300万ドル、ヴェスティスは2億4600万ドルの負債を抱えているとのこと。

一方、業界アナリストによると、業界最大手のディックス・スポーティング・グッズは上場企業、モデルズ・スポーティング・グッズは家族経営だ。アカデミースポーツ&アウトドアはプライベートエクィティが保有しているが投資会社と経営陣の関係が強いと言われている。その他グラフに登場するバスプロ、REI等は、日本人でも店舗の特徴がぱっと思い浮かべられるほど独自性のあるマーチャンダイジングとサービスを誇っている。

ナイキ、ルルレモン等はアスレジャーで成長していることは皆さんもご存知の通り。このカテゴリーは、もはやスポーツ用品専門店のカテゴリーから切り離して分析した方が良いくらいに独自の市場を作っている。

専門店業態の強みは専門性。市場の大きなトレンドだけで戦略を練っても、購入意思決定の瞬間に消費者の心を掴めないのではないか。今求められている専門性とは何か。ここを見極めないとウォルマートやアマゾンには勝てないという構図が改めて実感できる。

(グラフ出所)www.statista.com, sporting goods retailers in the us by revenue, 2014
単位:10億ドル

 2016/04/24 02:15  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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