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アマゾンブックストアが今朝マンハッタンにオープン
7軒目のアマゾンブックストアが今朝オープンした。場所はマンハッタン、コロンバスサークルのタイムワーナーセンターSC内3階。地下にホールフーヅマーケットをアンカーに持ち、マイケルコース、コールハーン、Jクルー、H&M、ウィリアムズソノマ、ロクシタン、ジョーマローネ島物販50店と、ペルセ、マサ等高級レストラン8軒が入店するショッピングセンターだ。同ビルにはマンダリンオリエンタルホテル、ジャズシアター、そして高級フィットネスクラブ、エクイノックスも入居している。セントラルパークが目の前に広がるコロンバスサークルちうは、2019年にノードストロームが出店を予定していることもあり、商業地区として注目されているエリアだ。

アマゾンが最初に書店を開いたのは2015年11月。その後シアトル近郊やボストンなどに出店し、ニューヨーク市内は初めての出店だ。夏には34丁目にも開業するとのこと。

アメリカでアマゾンと言えば、読書家の間では、零細規模からタイ規模の書店まで根こそぎ倒産させた悪玉、というイメージを持つ人も多い。実際、同SC2階にはディーンデルーカのカフェ付ボーダーズ書店があり、タイムワーナービルに勤務するサラリーマンや近隣の住人のオアシスだった。児童書売場は、親やベビーシッターさんに連れられた子供たちの図書館のようになっていた。しかしボーダーズは2011年に倒産、タイムワーナーセンターから徒歩5分の場所にあったバーンズ&ノーブル書店も撤退し、アメリカの他の地区同様、マンハッタンの西側は「書店砂漠」のまま長い年月が経過していた。

今日の開店は特別なイベントも無く、一般客よりプレスの数の方が多かった。しかし集まってきた一般客は、午前中ということもあり、読書家かつ引退組らしきオジサン、オバサンが多く、「ボーダーズをつぶしておいて自分達が書店を開くのね」「ちゃんと児童書売場はあるのかしら?」などという会話が耳に入った。

10時に無事開店、店舗面積112坪(前の店舗はアルマーニエクスチェンジ)は中央に支払いカウンターがあり、入口右はキンドル、エコー等のデバイスおよび関連アクセサリーの売場(全体の約20%)、他は書籍販売だ。他のアマゾンブックストアとほぼ同様で、全書籍はフェイスアウトの陳列で、什器上部に照明が入っているのできれいに見える。それぞれの大き目のバーコード付きの説明書きがついており、レーティングが書かれているが価格は表示されていない。価格はバーコードを携帯でスキャンすれば見られる。ちなみに同店も他店舗同様高速な無料wifi環境となっている。

書籍ジャンルはフィクション、歴史、ビジネス、アート&クラフト、クッキング、トラベル、児童書など、ふらりと本屋に入った時に手に取りそうなジャンルに限られていて、それぞれアマゾンドットコムでのベストセラーが陳列されている。什器のエンドには「アマゾンドットコムで一番売れている本」「ニューヨークで一番読まれている本」「3時間以内に読み終えた率が一番高い本」など、アマゾン得意のデータ解析に基づいた切り口での本が並んでいて、個人的にはこのエンドの本が非常に興味深い。

同店には約3,000タイトルが並んでいるそうだが、毎週火曜日にタイトルを部分的に入れ替えるとのこと。

店内には価格チェッカーがあちこちにあり、本のバーコードをスキャンするとアマゾン価格が表示される。また、雑貨などは商品パッケージをアマゾンのアプリについたカメラでスキャンするとパッケージを認識し、商品情報がアプリ上に表示される。

プライム会員であれば、店内のあちこちにあるQRコードをスキャンするとアマゾンアプリで決済でき、クレジットカードが不要だ。なお、キャッシャーには通常のPOSではなくタブレットが設置されている。アマゾンプライム会員は書籍もキンドル等デバイスも全てアマゾン価格で購入できるが、非会員はデバイスのみアマゾン価格で、書籍や雑貨類は定価だそうだ。

なお、筆者が頼りにする同居人、ボイスアシスタントのアマゾンエコー、アレクサの兄弟版で数か月前にパイロット販売が始まった、エコーショー(画像付き)、エコールック(カメラ付きスタイリスト)は販売されておらず、「多分来月あたり店頭にくるのでは?」とのこと。「でも、予約販売しているから、今すぐ買えるよ」とのことだったが、「お店で見てから買いたいと思ったのよ」と言ったら、「そうだね、じゃあ来月また来てね」とのこと。せめて動画や、近未来的なプレゼンでもあるかと期待していたのに、販売の最前線は案外とアナログだ。
しかし、書籍販売の部分だけを見ると、長いこと本屋に飢えていたせいもあり、つき並みなタイトルしか並んでいないものの、本屋ができたことは嬉しく感じた。これでこのSCで待ち合わせの時も時間つぶしができる。ハードコアな読書家は満足させられないだろうが、空港の本屋のように、ちょっと時間ができた時に立ち寄って目新しい本でも眺めるにはちょうど良いサイズかもしれない。まさか、アマゾンはオフラインでも王者になってしまうのだろうか?

(写真)筆者撮影
 2017/05/26 06:48  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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