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アマゾン、店舗事業に本格的参入
3月はアマゾンの店舗絡みのニュースが多かった。アマゾンCEOベゾス氏の資本が入っているビジネスインサイダー紙では内部情報としてポップアップストアが年内に100店舗に広がるのではないか、としている。これを受けて、各業界メディアでは「アマゾンがいよいよ店舗事業に本格進出」と報道し始めている。

アマゾンは特に店舗事業に関しては静かに市場に出して温度を確かめる、というアプローチをとっており、チェーンストアで一般的な華々しい開店イベントなどは行わない。また、テストの結果うまくいかないとわかると潔くプロジェクトを簡単に凍結する。
この数日間に報道された出店絡みのニュースは以下の通りだ。

*「アマゾンフレッシュ」(食品宅配)のピックアップ専用店舗をシアトル市内に2店舗開業。両店舗とも社員専用のテスト店舗で、ウォルマート他のクリック&コレクト業態と同じく、オンラインでオーダーした食品を予約した時間にピックアップに行くと駐車場まで届けてくれる。店舗と言っても現段階ではピックアップのみだ。

*一方で、昨年末に大きな話題となった「アマゾンゴー」テスト店舗は3月に一般公開の予定だったが、しばらく凍結と発表された。理由は店内が混雑すると(わずか20名を超えると)ハイテク装備が機能しなくなることが確認されたから。同店舗はセンサーとRFIDタグで顧客が什器から商品を出し入れする状況を追跡し、最終的に顧客がバッグに入れた商品だけ店舗を出る時に支払決済するシステムだが、小売店舗に不可欠、そしてなくてはならない「混雑」がボトルネックとなると、そもそもの発想から見直さなければならないのだろうか?

*同社が最初に本格的に店舗事業としてオープンした書店は今月シカゴに5店舗目が開業した。マンハッタンを含む5店舗が現在工事中なので、少なくとも今年中に10店舗開業することは間違いない。店舗の内容は一号店と大きく変わらず、絞り込まれた書籍販売+キンドルなどアマゾンPBデバイス販売だ。業態を変えずに多店舗展開するという点では、こちらは本気の勝負だろう。

*前述のビジネスインサイダーの情報だが、家具、家電店舗開発も進行中とのこと。すなわち、アマゾンの配送が不得意な大型商品、ということだが、これは具体的な情報は何もないので、「まだ検討中」ということではないか。

*2014年から本格的に(かつ静かに)拠点拡大を進めているショッピングモール内のポップアップストアは現時点で29か所に広がっており、年内に100拠点という噂もある。空き店舗対策に悩むショッピングモール側はもちろんウェウカム!な話だろう。

という訳で、本ブログでもお伝えしているようにチェーンストアがどんどん店舗数を減らす中、じわじわと駒を進めている様子だ。小売業界全体はオンライン販売に移行しているので、実は価格と利便性だけでは将来が危うい!という危機感もあるのではないだろうか。特にファッションの世界ではボノボスやワービーパーカー等オンライン専業から店舗展開を行っているグループは、既存のチェーンストア専門店のシェアを奪うだけでなく、新たな市場も形成している。彼らこそがアマゾンファッションの将来の最大の敵かもしれない、と見た場合、対チェーンストア対策ではない店舗開発の理由があるのかもしれない。

 2017/03/31 08:23  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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