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アマゾン・ゴーについて
5日に発表された「アマゾン・ゴー」。2014年末には1時間配送のプライムナウ、2015年末には実店舗オープンが発表されたので、今年は何かと内心楽しみにしていたが、期待以上のニュースだ。

アマゾン・ゴーはアマゾンによると「Just Walk Out Shopping(ただ歩くだけの買い物)」なPOSレジ清算不要な食品コンビニストアだ。顧客が店内に入り、アマゾン・ゴー・アプリをキオスクにかざすと自動的にヴァーチャルな買い物かごが出てくる。その後、店内を買い物し、欲しい商品は自分が持ち込んだバッグなりに入れ、店内を出る段階では自動的にアプリ上に課金されて買い物は終了。レジは無く、レジ待ちの列に並ぶ必要もない。

面積は1,800スクエアフィート(約50坪)、展開商品は@すぐ食べられる新鮮なデリ食品、Aミルク、卵、チーズ、パンなどの基本食材、B同社シェフによる30分で2人前を料理できる「アマゾン・ミール・パック」(必要な食材が全て料理するだけの状態で入っている)だそうだ。
現在、シアトルにある一号店ではアマゾン社員のみが利用でき、まだテスト段階だが、来年早々には一般公開する予定だ。

この店舗には同社によると「自動運転自動車に似たテクノロジーが搭載されている」とのこと。同社は詳細は明らかにしていないが、ウォールストリートジャーナル、フォーブス等のメジャー紙や業界紙によると、店内には多数のビデオカメラ、マイクロフォンが搭載されており、センサーが細かく顧客の動きや陳列棚の状況をとらえる。センサーは肌の色を認識するため、近くにいる人物を誤って認識することはない。マイクロフォンは顧客の動きを音から観察し、これらの情報から総合的に顧客の買い物行動をトラックし続ける。顧客がある商品を手に取ればアプリ上のヴァーチャル買い物かごに商品が入り、気が変って棚に戻せばかごから消える。

複数のテクノロジー専門家によるコメント記事を読むと、人工知能、高度なセンサー技術その他様々なテクノロジーが複雑に組み合わされているとのこと。同社が登録したパテントにはRFID使用を示唆する内容が書かれてあるらしいが、実際に使用しているかどうかまだ誰も断定できてない(12月11日時点)。

さて、このニュースが発表された時の業界の反応は以下の通りだ。

*クロ―ガ―では既に迅速なレジ通過にテクノロジーを用いたスキャン・バッグ・ゴーにより過去より3分30秒以上スピードアップしている
*ウォルマートのサムズクラブでもグラブ&ゴーという清算時間の短縮を図っている
*こんな高度なテクノロジー投資(特にRFIDを使う場合、納品業者側のコストの問題も発生する)に見合うのか?
*レジ待ちのスピードアップならセルフチェックアウトが既に導入されているが、顧客側の誤作動による重複課金や万引きが多く、撤退しているチェーンストアもある。また、結局従業員がヘルプしなければいけないケースが多い。
*このアイディアは10年前にIBMがCM広告に出していたのと一緒だ(この時はRFID技術に焦点をあてていた)
*レジ要員は重要な仕事で大勢の人や家族が失業するという深刻な事態を招くのではないか。
*とは言え、店内の他の仕事は必要なので、アマゾンがもしこのフォーマットを全米に広げてくれたら、雇用拡大にはなるのではないか?

しかし、大統領選挙と一緒で報道から数日たつと、信じられない現実を受け入れ、好意的・楽観的なコメントも出てきている。そう、これは信じられないような新型小売フォーマットが実現した、というニュースだ。もちろん実用化できるかどうかはアマゾン自身がテスト中だ。もしかしたら技術的な課題、コストの問題、そして個人的に気になるのは肌の色まで個人を特定するような店舗とアマゾン口座がリンクしているという個人情報の問題、などなど、検証すべき課題が数多く見つかり、多店舗化は見送られるかもしれない。

しかし、せっかく徒歩5分先にホールフーヅマーケットがあるのにインスタカートでオンライン購入し、アレクサの声を聴きたいがゆえに天気予報から買い物までアマゾンエコーを使う私としては、ぜひぜひ経験してみたい店舗だ。もしこれで、現在拡大の一方のオンラインショッピングから実店舗への回帰を果たせれば、それはそれで楽しいではないか?

(追記)筆者はアマゾン社の株式を保有したり、執筆することで同社より益を受けている、ということは一切ございません。
(写真)アマゾン社より
 2016/12/12 04:07  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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