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アディダス vs アンダーアーマー
アンダーアーマーの第3四半期業績が発表された。第2四半期時点で2年間守った2位の座をアディダス奪い返された。まだアディダスの業績が発表されていないが、成長率が落ちているのが気になる。

アディダスは全社売上規模の割にはアメリカ市場が弱く、同社がヨーロッパやアジアに目が向いている間に、新興勢力のアンダーアーマーが売上規模を拡大し、市場シェアを拡大してきた。しかし2014年6月に北米事業部トップに任命されたマーク・キング氏は、北米市場特性によりフォーカスした戦略を採用。スポーツ選手だけでなく、ミュージシャンのカニエ・ウェスト、音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムスとコラボ・スニーカーを販売し、アメリカ人の好みのド派手で話題性のある商品開発を行う一方で、クラシックなルックのスタン・スミスのバリエーションを増やしたり、NMDモデルを8月に3回、9月に6回アップデートする等、商品鮮度を向上した。一方でモデルごとの在庫量を減らすことで限定性を高め、定価販売を増やしたことが成功の理由と報道されている。

おもしろいのは、中古市場でもアディダスが力を発揮していることだ。10月27日付のHighsnobiety.comによると、アディダスの頻繁なデザインアップデートと小在庫政策の影響で中古市場に出回る数量も減っており、プレミアム価格がどんどん上昇しているという。StockX社の調べでは同社の今年第3四半期中の売上で、「最も高い価格で販売された10点の靴」ランキングを見ると、トップ10にアディダス社から7点ランク入りし、平均で希望小売販売価格の280%で販売されたそうだが、ナイキ社からはエアジョーダンIVオブシディアンしかランク入りせず、価格は小売価格の39%だったという。

アンダーアーマーだが、規模が大きくなったことで自然と厳しい価格競争にもさらされ、また最近、最高商品責任者(CMO)と最高デジタル責任者(CDO)が同社を去る等経営の曲がり角に来ている。今回の業績を見て、ジェフリーズ社やコーウェン社の証券アナリストたちはアンダーアーマーは今後売上減少のリスクにさらされている、と懸念を示している。一方で、同社は直営のオンラインストア販売に力を入れており、卸売販売構成比の高い上位2社とは異なる、チェーンストアに頼らないチャネル戦略で力を見せていくかもしれない。

さて、1位のナイキと2位のアディダスの間には5倍もの売上高の差が存在する。NPD社アナリストのマット・パウェル氏によると、ナイキは6−8月の3か月間に、1秒間に25足販売ししたそうだ。当期利益もアディダスの2倍。アディダス社のキング氏は順位逆転に関する取材に対して「今は順位は問題ではない」とコメントしている。

(出所)図表:各社業績報告書より、グラフ:highsnobiety.com, StockXより

 2016/10/29 07:12  この記事のURL  / 


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プロフィール

平山幸江(ひらやま・さちえ)

アメリカ小売業コンサルタント

1993年よりニューヨークを拠点に活動。Jクルー・ジャパン(伊藤忠プロミネントUSA)、フェリシモ・ニューヨーク、イオンUSA調査ディレクターを経て2010年に独立。

アメリカ市場でのファッション、小売事業展開の実務経験に基づいた市場調査分析、戦略企画が専門。「販売革新」「ファッション販売」他執筆。米国小売最新情報に関する講演。慶応大学及びファッション工科大学卒業。


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