繊研新聞10月4日掲載
     中国進出 
日本アパレルは成功できるか


日本アパレル企業の中国を中心としたアジア市場開拓への意欲は一段と加速しつつある。
市場の変化は、日本企業に待ったなしでグローバル化を迫る。 
新たな収益源の柱を打ち立てるチャンスでもある。激化する競合の欧米ブランドや韓国・香港・台湾、現地ブランドの強みは何か?日本中心の分析ではなく、世界の視点からのマーケット分析が重要な位置を占めるようになってきた。



世界視点での市場分析が重要

■即断即決の視点
 今年六月、日本のファッション系の大学院でセミナーを行った。留学生達に、「五年後に、中国でNO1になる中国アパレル企業はどこか」を予測してもらったところ、『METERS BONWE(メタスバンウェイ)社』が挙がってきた。
 1995年に温州で創業。今は約2千店舗を展開し、豊富な資金を背景に生産力増強と多店舗展開を一気に進め、市場シェアを獲得するスケール感がある。H&Mより低価格でトレンド性があり、ヤング向け量販ブランドとして売上げも認知度も中国では非常に高い。人気タレント等を起用し、ブランド知名度を挙げるスピードのあるマーケティング戦略で成功を収めている。
 中でも注目ブランドの『ME&CITY』は、海外デザイナーとスーパーモデルを起用しグローバルブランドに育成中である。


中国で元気なアパレル企業
Metersbonwe社



同社のファッショントレンドブランド「ME&CITY」



 この他にも中国全土を網羅した販売網を持ち、成長著しい中国ブランドが数多くあることに驚かされる。
 
 上海市内の有力大型百貨店・商業施設(十一施設)を対象にまとめた2010年各月の人気婦人服ブランド売上高ベストファイブ調査(上海服装行業協会)では、『ONLY』『VEROMODA』が常に売上高の上位1・2位を占めている。このブランドは、デンマークの『BESTSELLER社』のもの。1996年に中国に進出し非常に早い速度で拡大。現在、約三千店舗を展開。地方都市のショッピングモールや百貨店でも圧倒的な存在感を誇っている。特に『ONLY』は、ガーリッシュカジュアル感で中国の10代・20代の女の子たちへの受けが絶大。
その他、海外勢では『ESPRIT』『E・LAND』が5位以内に顔を見せている。 
 ところが同時期に中国進出した日本のアパレル企業で上述の上海での売上高ベストファイブ調査で上位5位以内に入るブランドはまだ無い。
この違いは何か?
 中国に20年間駐在し日本のアパレル企業中国進出の試みを数多く見てきた大手流通企業の日本人幹部社員は『BESTSELLER社』の「即断即決」のビジネススタンスの鮮やかさを肌で感じたという。
 
 日本のアパレル企業の多くは、即決即断が求められる中国ビジネスの中に「日本の組織と意思決定システム」をそのまま中国に持ち込み、スピード感に欠ける。また、多くの日本企業は日本市場で貯めた資金を中国での事業資金としており、当然、思い切った投資もできずスピーディーな事業拡大もできずにいる。


■販路拡大の鍵
 外資アパレル企業は、ブランドイメージを重視して、大都市からの出店を展開する。その影響で大都市の競合は、さらに厳しさを増している。これまで大都市で販売していた中国内販メーカーは内陸都市への進出を余儀なくされ、中国内の縫製工場の輸出も同様で、製品を作れば売れて利益が確保できた時代は終わり、大きな転換期を迎えている。
内陸都市にどのように販売網を築くかが成功の鍵である。が、これまでのように多額のプロモーション投資をして一気に市場シェアをとることも難しくなっている。

 上海のセレクトショップから見た日本ブランドイメージ調査(JETRO・2011年)では、欧米ブランドと比較して、「ブランドのステータス・認知力が不足している割には価格が高い」と評価されている。
欧米のキャッチアップと中国生産に依存した日本アパレルのビジネスモデルでは中国での戦を勝ち抜くことは難しい。

 中国の若者がアジアのお洒落先進国である日本の若者と同じ洋服を着たいという憧れを持っている。
 日本料理・ゲーム・映画などの分野では、日本オリジナルなものが評価されている。アパレル業界でも日本オリジナルのブランド力向上が急がれる。
 「クールジャパン」には、アキバ系、カワイイ系ばかりでなく.日本独自の優れたデザインや品質に裏打ちされたファッションの登場が望まれる。更に、現地の嗜好性・サイズ等に対応したビジネスプランが求められる。
 大胆なリスクの張りかたや「即、決断ができる」企業体制作りは、トップの中国進出に賭ける『本気度』にかかっていると言える。



釜Z本木事務所
 


 2011/10/06 13:34  この記事のURL  / 

プロフィール
六本木 眞弓
(ろっぽんぎ まゆみ)
(株)六本木事務所 代表取締役社長。

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