繊研新聞4月8日掲載
タブレットはシニアのマストツール!?

シニア消費の存在感が高まっている。ネットを駆使して情報収集を行い積極的に社会参加する従来より「バージョンアップ」した新しいシニアたちに注目が集まっている。
総務省の平成二四年度版『情報通信白書』は高齢者がICT(情報通信技術)機器・サービスを利用して生活の質の改善することでの市場拡大の効果を期待している。


シニアが主役に

シニア(60歳以上)のICT利用率は、自宅パソコン31.1%、携帯電話33.2%、スマートフォン1.5%、タブレット0.6%。(総務省「平成23年通信利用動向調査」)と利用率はまだまだという現状である。
今のスマホ・タブレットのメインユーザーは10代後半から30代なので多くのアプリ、サービスはこの年代をターゲットに企画されている。
シニアユーザーが現在良く使っている機能のトップはeメールだがネットショッピングも人気が高い。シニアの中ではタブレットのほうがパソコンやスマホよりも簡単に操作できるという人が結構多いようだ。

ICT総研のタブレット端末のシニア向け出荷台数の予測では2016年度には2013年度比で83%増の152万台という。今後シニアの生活習慣やニーズにマッチした使い勝手の良いアプリ、サービスが出てくるとタブレット利用率が伸びライフスタイルにも大きな変化がもたらされると思われる。 
その一つに、とりわけシニア層に人気の高い医療福祉や健康にかかわる分野がある。
「簡単な操作で血圧や脈、体温などが介護センターに送られ健康管理をしてくれる」「医師とのコミュニケーションや近所の病院が簡単に探せる」などニーズが高い。
シニアの医療費が膨張する中、自分で健康管理をする「セルフメディケーション」の取り組みには国も後押ししているので利用はさらに加速するだろう。
また、タブレットがあると買い物をする時には場所を選ばない。ソファーや公園のベンチに腰掛けながら、ランチをしながらの「ながら買い物」、同時に商品の受け取り方にもオプション度が広がっている。簡単操作タブレットは生活や買い物の自由度を高めている。タブレットの普及でシニアユーザーが主役に躍り出る日が近いかもしれない。


■米小売業では戦略化

「オムニ」とは、「さまざまな」「あらゆる」という意味だ。
「オムニチャネル」というのはテレビや新聞、雑誌などの既存のメディアやSNS,メール、ネットショップそしてリアル店舗を通し、お客様が自宅や外出先でも常に多くのメディアで商品情報を得ながら買い物ができる環境を指している。
特にアメリカの小売業ではオムニチャネル化を早い段階から戦略的に進めており確実に成果を出している。


ドラッグストア Walgreen(ウォルグリーン)の
ポイントカード「バランス・リワード」会員は1億人突破


全米で約8000店舗を展開しているドラッグストア・チェーンのWalgreen(ウォルグリーン)では、「いつでも」「どこでも」「なんでも」という戦略のもとに2010年からオムニチャネル化を進めている。
「パソコンから注文した商品が1時間後には8000どの店舗のレジでも受け取ることができる」「駐車場でフェイスブックのチェックインを行えば駐車場まで商品を持ってきてくれる」など、お客様が何処からアクセスしてきてもシームレスな対応ができている。
また、2013年に新たにスタートしたポイントカード「バランス・リワード」の、ソーシャルネットワークを活用した健康づくりのサービスプログラムが人気だ。


「バランス・リワード」はランニングや
ウオーキングでポイントが獲得できる


フィット・ビットなどの携帯式運動量計測機を使い自動で運動記録を登録し、ソーシャルネットワークを介して応援メッセージをもらいモチベーションを維持して健康づくりに励む手助けしている。
ランニングやウォーキングなどの運動の記録を登録することで1マイル毎に20ポイントを獲得でき、たまったポイントは、どのチャネルでも使うことができる。ドラッグストアとして究極のヘルスケアの「おもてなし」を実行している。

オムニチャネル化にあたり最新のテクノロジーを駆使した機器の導入やデータベースのシステムを構築すれば実現するわけではない。お客様との接点をいかに築くか、それぞれの企業の戦略に合わせた対応が必要だ。


釜Z本木事務所
 2014/04/10 13:25  この記事のURL  / 

繊研新聞10月1日掲載
「熱烈ファン」と市場の可能性

万人向けより対象絞る戦略を


NHKの「あまちゃん」で話題を呼んでいる地元アイドルグループ「GMT47」。熱烈なファン達に支えられている「AKB48」や「ももいろクローバーZ]。そしてポップカルチャー。それらを熱く支持しているファンの実体から市場の可能性を読み解く。


世界に裾野広げる

03年に小泉首相(当時)がアニメ映画「千と千尋の神隠し」の国際的評価を取り上げて日本のポップカルチャーに言及して以来、外務省では「かわいい大使」の任命など、ポップカルチャーを使った文化外交が行われるようになった。
今年で第11回となる名古屋での「世界コスプレサミット2013」やフランスで開催されている「ジャパン・エキスポ」などのイベントも世界に広がりを見せている。
きゃりーぱみゅぱみゅは、昨年のジャパン・エキスポに出演し「クールジャパン」ブームを高めている。
ポップカルチャーの担い手は、基本的にオタクすなわちマニアックなクリエーターでもある。オンラインゲームや電子コミックの活用で気軽にキャラクターにアクセスして触れられるようになった今、海外にも熱狂的ファンが増えている。

熱烈ファン育てる

熱心に応援してくれる顧客を育てることで業績を伸ばそうとする企業が増えつつある。
9月に2回目の開催となった「神戸ぽっぷカルチャーフェスティバル」は、神戸の地域活性化プロジェクトとして官民あげての開催である。
街中丸ごと「ぽぷかる天国」のキャッチコピーで関西を中心に活躍する地元アイドルグループが多数参加し、アイドル達の熱心なファンがイベントを盛り上げた。
デジタル化で手軽に何でも手に入る時代だからこそ地元アイドルグループとファンが同じ空間を共有できるライブなイベントは感動体験となり熱狂的なファンが育つといえる。

月刊誌『ケラ』は、国内をはじめ海外でも注目度が高い「ゴシック&ロリータ」ファッションを世に広めた。また、世界でも話題の「原宿カワイイ」といわれるファッション分野において絶対的な地位を確立している注目の雑誌である。


街のリアルなファッションを映し出し、ファッションのみならず音楽やカルチャーまでもカバーしている。
今年、ワールドツアーを成功させたきゃりーぱみゅぱみゅは、彼女が高校生の頃から『ケラ』の読者モデルとして登場していて見いだされたのだ。彼女に続く『ケラ』の読者モデルたちが、「ジャパンサブカルチャー」を世界に発信し熱心なファンを増やしている。

その中でも「男の子ファッション」の分野で10代女子に絶対的な人気を誇るモデルAKIRAは、「かっこいい」という世界を目指し、センシビリティーなこびない独自のファッションスタイルを創造している。


九条ライチは、ロリータからパンクまで幅広いジャンルのコーディネイトが得意で彼女独特の世界観がファンを惹き付ける。
彼らに共通するのはファッション分野だけでなくライブ活動、イラスト制作など10代のエッジの利いたクリエーションを自分のブログで発信し、多くのファンの支持を得ていることだ。

三宮で6月に開催された撮影イベントには独自のゴスロリスタイルのケラファン約300人が参加した。スナップ撮影後のケラモデルとの写メ撮影サービスも熱いファンでにぎわった。
全国14店あるケラ・ショップには最新のゴスロリファッションアイテムが充実している。ケラ読者の平均年齢は18.7歳だが、来店する顧客の客単価は高い。
2万5千円以上が25%も占めている。ファンは自分の好きなモノにはアクティブな行動力と、出費も惜しまない実態が見える。

ちまたでは、いつも気軽にキャラクターに囲まれていたいというファンも増えており「美少女キャラクター」を刻印した印鑑、アリスやスカル、黒猫のモチーフをイラストに落とし込んだスマートフォンケースやパソコン、マンガのキャラクターのせりふをプリントしたクッキーなども売れているという。
ファッションアイテムから雑貨、食品まで当初はニッチと思われていたポップカルチャー市場でも、そこから多くの潜在需要を掘り起こせる。
万人に向けず、あえてターゲットを絞り「これは、私のためにある」と思えるような商品を作ることが、熱烈なファンを作る戦略となる。

そこには大好きなキャラクター、アイドルメンバーのために、SNS(交流サイト)を活用して勝手に商品の「宣伝役」となって応援してくれる多くのファンがいる。


釜Z本木事務所
 2013/10/03 13:10  この記事のURL  / 

繊研新聞10月16日掲載
どう動くか!新世代型シニア市場


団塊世代が65歳を迎え始めた2012年。65歳以上の高齢者は全国で約3000万人を数える。
この高齢化を何とかビジネスチャンスにしたいという機運が更に高まってきた。

今どきのシニア像を掴むための生活実態調査が頻繁に行われている。しかし、綿密な市場調査をしても顧客ニーズが、なかなか把握できない。
実は、それほど単純なマーケットではなさそうだ。


◆明るい希望が持てない
シニア市場というと「金持ち・時間持ち・人口が多い」と捉えられる。実際「正味金融資産」(ストック)は圧倒的に多く持っているので「シニアは金持ちだ」と見られている。
しかし、所得(フロー)は、殆んどのシニアは退職すると年金が収入源となる。総務省統計局の『ライフスタイルと家計』によると、60歳以上で2人以上の無職世帯(一世帯当たり)の一ヶ月平均の可処分所得(実収入から税金や社会保険料などを差し引いた額)は、消費支出を5万3千円下回り家計は赤字になっている。この不足分は貯蓄等を切り崩して賄っていると考えられるという。所得の面では、60歳以上は決して豊かとはいえない。
近年の消費税増税や年金支給年齢の引き上げ等を含め、先行き不透明な要因が山積みで将来に明るい展望が持てない。

三大不安(健康不安・経済不安・孤独不安)がストックを使わなくしている要因である。
予想以上に消費は抑えられている。限られた所得から、どうやって消費行動を促すのか。


「不安」をビジネスチャンスへ


◆シニアビジネスの流れ
米国でも、7000万人いるベビーブーマーが60代になり、高齢化社会に突入。
アプローチの一つとして、この世代のヘルスやダウンエイジング(年齢より若く見せる)ニーズに沿った品揃えを「フォーエバーヤング」マーケティングのもとで展開し成功しているドラッグストアがある。又、シニアに人気の米国のネットショップは、カタログのインデックスを身体のニーズに合わせた分類にしており視力・聴力・記憶力低下・情緒不安・動く・リハビリなど13項目で身体機能の衰えによる不便さをスマートに解決する「スタイル」ある商品を提案している。
例えば、視力の衰えでメイクを上手にしずらくなってきたシニアがメガネを掛けたままアイメイクが出来るメガネ。目元の細かいラインも引きやすく、毎日のメイクが楽しくなる。


日本では、「加齢による身体の変化」を「アンチエイジング」として捉えて市場展開を始めている。美魔女ブームのきっかけとなった月刊誌「美スト」は、40代女性の「アンチエイジング・ビューティ」を訴求。今月のテーマは、まさに「10年後もキレイな私でいる方法」がテーマである。化粧品業界に異業種が続々と参入している。
女性の場合、40代は「アンチエイジング化粧品」でヒットを狙う。50代になると「お肌の衰え」「更年期障害」等が気になり、化粧品だけでなく、「コラーゲン等のサプリメント」を摂取することで美容や体型を維持する割合が高くなる。60代では更に腰痛・膝痛予防を兼ねて「ウオーキング」「フィットネスジム」など運動をする割合が増えている。

高齢になり一人暮らしとなったり、力仕事や細かい作業が難しくなる、外出頻度も少なくなる。年代による身体の衰えやライフスタイルの変化がこれまでと異なる需要を誘発している。

◆「老い」への不安
ヘルスマーケットでは、医療コストの抑制のため、「自分の身体は自分で管理する」という健康維持・予防の為のセルフメディケーション志向が進んでおり、衣食住全般にわたって、質の高い生活(Quality of  Life)に大きな関心が集まっている。
「安心マーケット」としては、老いへの不安や孤立化を解消する事を目的とした見守り・緊急通報サービス、映像コミュニケーションシステムサービス、在宅医療ソリューションなどの取り組みが始まった。
デジタル家電、電機メーカーが参戦し競い合っている。高齢者が抱える「不安」をビジネスチャンスに変えることが大きなポイントとなる。

巣鴨商店街や新宿の某百貨店はシニア向け商品が揃っており人気が高いが、今では、70歳以上の「旧世代型シニア」が中心である。
団塊の世代は、この世代のシニアとは異なり、パソコンや携帯電話・スマートフォンなどのIT機器を使いこなせるシニアであり、生活形態も変化してきた。
デザイン性の高いスタイリッシュなセンスを求める目の肥えた『新世代型シニア』がこれからの市場を創っていくといえる。

シニアの財布の紐を何処まで緩められるか。
日本経済全体の行方にも影響を与えるだけに、目が離せない。


釜Z本木事務所
 2012/10/16 13:35  この記事のURL  / 

繊研新聞4月3日掲載
キッズダンスで市場は踊る!?

動き始めた必修スポーツ商戦


今、子供達の間で人気急上昇中の習い事がストリートダンス。
女の子を中心に習いたい子が増え、子供ダンス教室は元気いっぱい、かっこよく踊る子で大盛況だ。小学生のファッションリーダーの大半がダンスを習っているという。
12年度から中学校での「ダンス」が必修科目になり、関連市場が追い風となっている。


■キッズダンス元年

いよいよ、今年の4月から公立中学校の体育でダンスが必修科目となる。新学習指導要領では、中学1・2年生は「創作ダンス」「フォークダンス」「現代的なリズムのダンス」のどれかを必ず習う事になる。
「現代的なリズムのダンス」がヒップホップやロックにあわせて踊るストリートダンスにあたる。ダンスの授業を通して「コミュニケーション」「リズム」「感性」「積極性」「尊敬」できるように指導する事をうたっている。音楽に乗せて体を動かす楽しさはもちろん、チームで踊るので、皆で力を合わせて目標に向かう経験ができるのだ。新指導要領が小学校と中学校の教育内容のつながりを重視している事から小学校3,4年生の体育授業でもストリートダンスを取り上げるところも増えている。

一方、指導する先生達は不安気味である。必修化を前に、プロダンサーを招いて特訓を受けたり、外部のダンス教師がダンス指導をする出前授業などが進められている。また、基礎となるダンスの教則動画を無料配信するウェブサイトも出てきており、授業で教材として活用するという。

日本のストリートダンス人口は200万人規模(日本ストリートダンススタジオ協会による)に達しており、今後、授業でストリートダンスに触れる生徒が増えると、その裾野は更に広がりそうだ。
ダンス教室のキッズクラスは各地で開設されて急増している。芸能事務所と直接つながっているエイベックスアカデミーやEXPGなどのダンススクールは子供をメディアで活躍させたい親達の感心を引いている。
ダンス競技人口の拡大を受け全国約50のスタジオが加盟している日本ストリートダンススタジオ協会等が『ダンス検定』と講習プログラムの提供を開始。「習い事」として体系化も進んでいる。各地でコンテストやイベントも盛んである。

■弾むキッズ市場

2010年3月に創刊された『SDMteens』(発行元ジャスト・ビー)は、ティーンズ向けオーディション情報や出演できるイベント情報を網羅するエンタメ・フリー・マガジンとして発行部数10万部。全国約700ヶ所で無料配布している。ダンス雑誌『ダンス・スタイル・キッズ(DSK)』(発行元リットーミュージック)や『ガールズ・ステージ』(発行元主婦の友社)などでは、最新のダンスファッション情報が充実しており、レッスン着・ステージ用コーディネイトやダンスイベントのスナップ写真を大特集。旬のブランドやメイク情報も満載である。


人気のキッズ・ダンス誌&フリーペーパー
「ダンス・スタイル・キッズ」「ガールズ・ステージ」「SDMteens」


昨秋、パイオニアはストリートダンス専用の音響機器「STEEZ」を発売した。ラジカセ、ポータブル・プレーヤーやヘッドホンは、ダンサーマストなサウンド・ギアとして大ブレークしている。「STEEZオーディオ」には『ダンス練習機能』が付いている。

靴メーカーでは、今年1月に発売された「瞬足ダンス」(アキレス)は、スピンがしやすくステップを刻みやすくするダンスに特化した機能を搭載している。他社でも女子向けファッション性と機能性を融合したダンス専用シューズが登場している。

また、ストリートダンサーの代名詞といえるほど一人1個はぜったい持っている帽子『ニューエラ』。「かぶるだけでコーデにハクがつく!」とおしゃれキッズも指名買い。キッズ・ダンス専門雑誌「DSK」の帽子ランキングでは、皆が持っている帽子として第一位となっている。

大手スポーツメーカーやアパレル、化粧品、アクセサリーメーカーなどの関連業界が取り扱い商品の拡大やファッション×音楽×スポーツのコラボも予定している。新たな価値観を持ったキッズの市場に関連業界は熱い視線を送っている。

昨年の6月に開催されたマイケルジャクソン追悼ダンスイベントではキッズグループがM・Jの音楽に合わせてプロのステージさながらにダンススキルを競い合った。そして、昨年末(十二月二十四日)にはavex主催の恒例の日本最大級のダンスイベント『Dance NATION 2011』が幕張メッセで開催された。3000人の出演者と保護者を含め約3万人の観客が全国各地から集結。この日の為に練習してきたキッズもゴージャスな演出の巨大ステージで大スター気分。

ヒップホップの音楽に合わせて広がるキッズ・ダンス市場。
果たして消費もブレークするのだろうか。


釜Z本木事務所
 2012/04/05 13:05  この記事のURL  / 

繊研新聞10月4日掲載
     中国進出 
日本アパレルは成功できるか


日本アパレル企業の中国を中心としたアジア市場開拓への意欲は一段と加速しつつある。
市場の変化は、日本企業に待ったなしでグローバル化を迫る。 
新たな収益源の柱を打ち立てるチャンスでもある。激化する競合の欧米ブランドや韓国・香港・台湾、現地ブランドの強みは何か?日本中心の分析ではなく、世界の視点からのマーケット分析が重要な位置を占めるようになってきた。



世界視点での市場分析が重要

■即断即決の視点
 今年六月、日本のファッション系の大学院でセミナーを行った。留学生達に、「五年後に、中国でNO1になる中国アパレル企業はどこか」を予測してもらったところ、『METERS BONWE(メタスバンウェイ)社』が挙がってきた。
 1995年に温州で創業。今は約2千店舗を展開し、豊富な資金を背景に生産力増強と多店舗展開を一気に進め、市場シェアを獲得するスケール感がある。H&Mより低価格でトレンド性があり、ヤング向け量販ブランドとして売上げも認知度も中国では非常に高い。人気タレント等を起用し、ブランド知名度を挙げるスピードのあるマーケティング戦略で成功を収めている。
 中でも注目ブランドの『ME&CITY』は、海外デザイナーとスーパーモデルを起用しグローバルブランドに育成中である。


中国で元気なアパレル企業
Metersbonwe社



同社のファッショントレンドブランド「ME&CITY」



 この他にも中国全土を網羅した販売網を持ち、成長著しい中国ブランドが数多くあることに驚かされる。
 
 上海市内の有力大型百貨店・商業施設(十一施設)を対象にまとめた2010年各月の人気婦人服ブランド売上高ベストファイブ調査(上海服装行業協会)では、『ONLY』『VEROMODA』が常に売上高の上位1・2位を占めている。このブランドは、デンマークの『BESTSELLER社』のもの。1996年に中国に進出し非常に早い速度で拡大。現在、約三千店舗を展開。地方都市のショッピングモールや百貨店でも圧倒的な存在感を誇っている。特に『ONLY』は、ガーリッシュカジュアル感で中国の10代・20代の女の子たちへの受けが絶大。
その他、海外勢では『ESPRIT』『E・LAND』が5位以内に顔を見せている。 
 ところが同時期に中国進出した日本のアパレル企業で上述の上海での売上高ベストファイブ調査で上位5位以内に入るブランドはまだ無い。
この違いは何か?
 中国に20年間駐在し日本のアパレル企業中国進出の試みを数多く見てきた大手流通企業の日本人幹部社員は『BESTSELLER社』の「即断即決」のビジネススタンスの鮮やかさを肌で感じたという。
 
 日本のアパレル企業の多くは、即決即断が求められる中国ビジネスの中に「日本の組織と意思決定システム」をそのまま中国に持ち込み、スピード感に欠ける。また、多くの日本企業は日本市場で貯めた資金を中国での事業資金としており、当然、思い切った投資もできずスピーディーな事業拡大もできずにいる。


■販路拡大の鍵
 外資アパレル企業は、ブランドイメージを重視して、大都市からの出店を展開する。その影響で大都市の競合は、さらに厳しさを増している。これまで大都市で販売していた中国内販メーカーは内陸都市への進出を余儀なくされ、中国内の縫製工場の輸出も同様で、製品を作れば売れて利益が確保できた時代は終わり、大きな転換期を迎えている。
内陸都市にどのように販売網を築くかが成功の鍵である。が、これまでのように多額のプロモーション投資をして一気に市場シェアをとることも難しくなっている。

 上海のセレクトショップから見た日本ブランドイメージ調査(JETRO・2011年)では、欧米ブランドと比較して、「ブランドのステータス・認知力が不足している割には価格が高い」と評価されている。
欧米のキャッチアップと中国生産に依存した日本アパレルのビジネスモデルでは中国での戦を勝ち抜くことは難しい。

 中国の若者がアジアのお洒落先進国である日本の若者と同じ洋服を着たいという憧れを持っている。
 日本料理・ゲーム・映画などの分野では、日本オリジナルなものが評価されている。アパレル業界でも日本オリジナルのブランド力向上が急がれる。
 「クールジャパン」には、アキバ系、カワイイ系ばかりでなく.日本独自の優れたデザインや品質に裏打ちされたファッションの登場が望まれる。更に、現地の嗜好性・サイズ等に対応したビジネスプランが求められる。
 大胆なリスクの張りかたや「即、決断ができる」企業体制作りは、トップの中国進出に賭ける『本気度』にかかっていると言える。



釜Z本木事務所
 


 2011/10/06 13:34  この記事のURL  / 

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プロフィール
六本木 眞弓
(ろっぽんぎ まゆみ)
(株)六本木事務所 代表取締役社長。

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