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ユニクロ「LifeWear」2016秋冬コレクション 穏やかでコンフォートな進化系デイリー




「ユニクロ(UNIQLO)」2016年秋冬シーズン向けの「LifeWear」が発表されました。会場ではファッションショーも開催され、全体に大人っぽくて落ち着いたムードを印象づけていました。

ファッションショーではこなれたレイヤードがたくさん提案されました。メンズではドローストリングスのニットトップスの上からソフトな風合いのジャケットを重ね、着心地のよさげな装いに仕上げていました。プライベートシーンにもオフィスにもなじみそうな着こなしです。こういったコンフォート(着心地)志向の着姿が目についたのも、今回の傾向でした。

ウィメンズでもスカートとレギンスを組み合わせるような、フェミニンとスポーティーを響き合わせるスタイリングが印象的でした。総じて色は静かなトーンで、黒やグレー、オリーブが多用され、シックな雰囲気を醸し出していました。




これまでと同じく、カテゴリー別にブースが用意されています。定番系のアイテムを集めた「ESSENTIALS」の部屋ではチノパン、コットンシャツなど、文字通り、日々の暮らしに“欠かせない=essential”と思えるアイテムが集められていました。このようなベーシックなウエアがコレクションの軸になっているのは、ユニクロらしいところ。しかも、今回は色の面でも着回しが楽そうな基本色が主体で、着る人のアレンジ第でスタイリッシュな着姿に整えやすくなっています。






「WORK」のブースはオフィス空間を再現。パソコンが載ったデスクを並べて、クールなお仕事ムードを演出していました。職場の空気感にふさわしく、長時間のデスクワークでも肩の凝らないオフィスルックが提案されています。装いのテイストはクリーンでミニマル。薄手でも寒さを感じにくいウエアは仕事の能率までアップしてくれそうです。








今回の見どころと映ったのが、「SPORTS」のブース。健康的な気分を宿した「アスレジャー」のトレンドが世界的に盛り上がる中、スポーツウエアの機能性や伸びやかさは日常着に写し込まれて、シーンを超えたライフパートナーとなりつつあります。ヨガやランニング、アウトドアなど、スポーツにもいろいろありますが、ブースでモデルが見せていたのは、レギンスを取り入れながら、あまりアスレティックに寄せない着こなし。買い物や通勤にも生かせそうなスタイリングで、スポーツと日常生活の親和性を印象づけていました。






ブース形式のよさは、実際に着るシチュエーションがイメージしやすい点にもあります。「HOME」のブースにはソファが置かれ、男女のモデルがリラックスした風情で腰掛けていました。まとっていたのも、シンプルでありつつ、上質感が伝わる部屋着。快適な着心地がパーソナルな時間を一段となごやかにしてくれる「服のチカラ」が感じられる演出でした。




「KIDS&BABY」のブースでは大人とおそろいで着られる子ども服、ベビー服が用意されました。いい意味で「子ども扱い」しない服が素敵なファミリーコーディネートに誘います。ミリタリーカラーも加わって、幼さを遠ざけたキッズルックに仕上がっていました。




1周年を迎えた「MAGIC FOR ALL」では、「Varsity」と「Outdoor」をテーマに選びました。アメリカのカレッジファッションから着想を得た、スポーツ気分を漂わせるアイテムが提案されています。「Outdoor」の装いにはヴィンテージ感を投入。シーンを選ばない着こなしを組み立てやすいウエアをそろえました。






「Hana Tajima For UNIQLO」(ハナ タジマ フォー ユニクロ)は日本初上陸のライン。英国生まれのデザイナー、ハナ・タジマ氏とコラボレートした、東南アジアの伝統的な装いを生かした新たなコンフォートスタイルを打ち出しています。髪やボディーラインを露出しすぎない配慮が施されていて、髪を覆う布地の「ヒジャブ」も用意されました。1枚の服をいくつものアレンジで変形させられるマルチウェイ仕様の仕立てで、自在の着こなしが楽しめそうです。他では見られない新提案に興味津々でした。






「INES DE LA FRESSANGE」(イネス・ド・ラ・フレサンジュ)は16年秋冬シーズンも継続します。1960年代後半のパリをテーマに据えて、パリシックのムードを濃くしました。グレーをキーカラーに選んで、レディー感を漂わせています。郵便配達員の上着やハンティング用のジャケットなど、当時のパリで着られていたユニフォームを着想源に、イネス流のアレンジを加えました。










同じく継続シリーズのコラボ「CARINE ROITFELD」(カリーヌ・ロワトフェルド)ではフェイクファーが主役マテリアルに。ボリュームアウターが着姿を華やがせています。フェイクレザーもトレンチコートやライダースジャケットとして登場。ツイード生地のタイトスカートと組み合わせるようなコーデが披露されました。モードな装いを得意とするカリーヌならではのロングマントもお目見え。カムフラージュ模様やレオパード柄アイテムもカリーヌらしい大人の余裕を感じさせます。






ブースに展示してあった、ボリュームたっぷりのフェイクファーのコートを試着した素敵な女性を発見。私物のレギンスとカラフルなおしゃれスニーカーに合わせた見事な着こなしに、思わず話しかけてしまいました。実は彼女は人気ファッションモデルのエリーローズさんのお母様でMaxine Van-Cliffe Arakawaさんでした。「Maxine Digital Magazine」を運営されています。さすがのお見事コーデに、思わずパチリ(ご本人から撮影、公開の了解を頂いています)。大人女性ならではの華やかさと余裕を感じさせるアッパーなアスレジャー風は、2月のNYコレクションの会場でもちらほら見かけた注目スタイルです。

今回のユニクロ「LifeWear」では、個別のアイテムを「目玉商品」的に押し出すのではなく、リアルな日常に落とし込んで見せていたところに、ユニクロ流の「成熟」が感じられました。メッセージに掲げる「LifeWear」を物語る提案と言えるでしょう。穏やかな色味や、すっきりしたシルエットも、シーンを限定しない自在のスタイリングが組み立てやすそうで、出番が多くなる予感がしました。


UNIQLO
http://www.uniqlo.com/jp/

〜関連記事〜

ユニクロ「LifeWear」2016春夏コレクション シーンフリーに楽しむ自然体のおしゃれ
http://www.apalog.com/riemiyata/archive/201



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 2016/05/29 02:20  この記事のURL  / 

2016-17年秋冬パリ、ミラノコレクションまとめ














ドラマティックでロマンティック――。2016-17年秋冬パリ、ミラノ両コレクションは装飾性が強まり、おしゃれ心を挑発するような表現であふれました。発火点となったミラノではエキセントリックでエクストリーム(極端)な着想がランウェイを盛り上げています。パリも手仕事の美や量感・質感のたわむれがゴージャスであでやかな着姿に誘いました。有力ブランドでデザイナー交代が相次ぐ一方で、気鋭のクリエイターたちが若くしてモードのエンジンになるケースが相次ぎ、ヨーロッパファッション界の変革期を思わせます。

宮田理江のランウェイ解読 Vol.33 「2016-17年秋冬パリ、ミラノコレクション」

http://www.apparel-web.com/column/miyata/2016aw_paris_milano.html



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 2016/05/10 23:47  この記事のURL  / 

旅を文化に変えた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のアーカイブ展







「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の歴史をたどる展覧会「VOLEZ, VOGUEZ, VOYAGEZ - LOUIS VUITTON(空へ、海へ、彼方へ―旅するルイ・ヴィトン)」が2016年6月19日まで東京都千代田区紀尾井町の特設会場で開催されています。旅人を支えたトランクやバッグを主人公に、1854年の創業から始まる「旅とラゲッジの物語」をつづる大型回顧展です。


舞台に選ばれた紀尾井町は、1978年に日本初の店舗をオープンしたゆかりの地。先にパリのグラン・パレで開催された展覧会に、日本にまつわる内容を加えた構成になっています。














全体を見て興味深く感じられたのは、移動手段とラゲッジの関係性です。船から鉄道、飛行機へと旅の乗り物が進化していくのにつれて、旅人がラゲッジに求める機能やありようも様変わりしていき、「ルイ・ヴィトン」はその変化するニーズに応じたトランクやバッグを制作していったことが分かります。


旅の目的地も時代ごとに広がって、地域性や滞在理由に合わせたラゲッジが必要になりました。時の流れに沿った展示は、旅行用の荷物の変遷を、1本のドキュメンタリー映画のように映し出してくれます。













もともとは無事に荷物を運ぶという機能面が優先されていた旅行用ラゲッジでしたが、移動手段の安全性が高まるにつれて、ファッション表現としても重要な役割を担うようになっていきました。ブランドアイコンとなっているモノグラム柄の登場や、様々なディテールの追加、そして近年のアートフルなデザインと、装飾面での発展もこの展覧会の大きな見どころ。マーク・ジェイコブス氏が仕掛けた村上隆氏や草間彌生氏といった現代アーティストとのコラボレーション作品もあります。


川久保玲氏とのコラボでは、不規則な大穴が開いた異形のバッグが目を惹きます。書き殴ったような筆致のグラフィティー(落書き)風表現で知られたアーティスト、スティーブン・スプラウス氏はバッグにブランド名を荒々しくペイントし、新たな表情を与えました。今回の展覧会ではこういった歴代の逸品が間近に見られます。









大勢の有力者やセレブリティーが顧客リストに名を連ねてきたのも、「ルイ・ヴィトン」の伝説となっています。本展では明治期の政治家、板垣退助や、日本ダンディズムを体現した白洲次郎らが使っていたラゲッジが展示されています。特別な用途に合わせたオーダーメードのトランクでも、歌舞伎役者のための鏡台トランクや、茶道具を収めたトランクなど、日本ならではの特注ラゲッジが披露されました。


ブランド創業家が収集してきた、日本刀の鍔をはじめとする、日本にまつわる工芸品からは伝統的な日本の美へのリスペクトがうかがえます。モノグラム柄には日本古来の「紋」からのインスピレーションが働いたとされていて、我が国との文化的な絆も感じ取れました。


「ルイ・ヴィトン」はプロフェッショナルの旅も応援してきました。繊細な取り扱いが求められる楽器専用のラゲッジは世界を演奏旅行で飛び回る演奏者にとって頼もしい存在であり続けています。タイプライターがきちんとしまえるトランクは書斎を飛び出して、旅先で文書を編んだ物書きたちの相棒となったようです。









最後の部屋では「ルイ・ヴィトン」の職人がバッグやベルトを手仕事で仕上げる実演を見ることができます。手元のアップを大画面で映しているので、精緻なクラフトマンシップを実感する機会になります。











会場内は原則的に写真撮影が許されているので、絶好の撮影スポットを探しながら巡る楽しみもあります。数あるフォトジェニックな展示の中でも、飛行機や砂漠のシチュエーションは人気を集めていました。今までの展覧会は撮影禁止が一般的でしたが、SNSを通じた拡散がマーケティング効果を認められるようになって、展覧会のルールにも徐々に見直しが進んでいるようです。


広い会場内にはカフェスペースも設けられています。テラス席では解放的な気分でくつろいで過ごせます。赤坂見附駅と松屋銀座からは無料シャトルバスが出ています。事前に予約すれば、ガイドツアーも申し込めます。会場内ではスタッフが丁寧に説明してくれる姿を何度も見かけ、ブランドヒストリーを知ってもらおうという姿勢が感じられました。


これだけ見応えたっぷりの内容でありながら、入場は無料。ファッションだけではなく、旅に興味がある人には見逃せない展覧会と言えるでしょう。





VOLEZ, VOGUEZ, VOYAGEZ - LOUIS VUITTON(空へ、海へ、彼方へ―旅するルイ・ヴィトン)

http://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/heritage-savoir-faire/tokyo-expo#/home



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 2016/05/07 14:34  この記事のURL  / 

「初音ミク×CUNE」のコラボTシャツが発売 心地よい脱力感の「だらけマーケティング」





ほのぼのしたウサギのキャラクターがブランドアイコンになっているドメスティックブランドの「CUNE(キューン)」。派手な宣伝は打たないのに、やたらと売れるブランドとしても知られています。ビジネス的にガツガツしたところがなく、むしろ脱力気味ですらある「だらけマーケティング」は実はよく計算された戦略でもあるようです。今回、コラボレーションTシャツの発売が決まった、「初音ミク×CUNE」の企画にも、そのエッセンスが感じられます。






















初音ミクと言えば、世界に知られた「バーチャル・シンガー」。その有名キャラクターとのコラボとなれば、前のめりになって当たり前のところですが、CUNEは逆。今回のコラボTシャツで、まともにミクの顔が判別できるデザインは1点もありません。背中を向けてうつむいていたり、不気味などくろフェイスだったりと、元気感もさわやかさもゼロ。ろくろ首のようにウサギちゃんに巻き付いている姿まであり、ミクをほとんどお化け扱い。一方のウサギちゃんも目が飛び出したり、焼き鳥っぽく串刺しにされたりと、割と気味の悪い変形を施されています。

プレスリリースの文章もしゃれが利いています。「先方よりお話をいただいたのですが、社内に好き/詳しい人がいなかったので、ものすごく雑で適当な仕上がりとなりました。」と書かれていて、国際的ビッグネームとのコラボとはとても思えません。もちろん、実際はきっとそんなことはなくて、CUNEらしさを表現する手段としてこういった物言いを選んでいるのだと推察されます。でも、もしかすると、本当にそうだったのかも知れなくて、そのあたりの妄想を誘うあたりも巧みな演出と言えるでしょう。

CUNEは安田裕紀デザイナーが1994年に立ち上げたブランドで、2016年で設立22周年を迎えます。展示会やフォトブックでコレクションを発表していて、運営会社は「マンモス」です。

公式ブランドコンセプトにもこだわりがあります。「CUNEが作っているものはファッションではありません。モードでもありません。あえてたとえるなら『かろうじて服』といった ところです。自分たちが作りたいものを作っています。ですが、それが自分で着たいもの、欲しいものとは必ずしも一致しません。誰が着る、誰に着せたい、どうコーディネートする、といったことは一切考えていません。買わなくていいです。やっていることを遠くから見守っていてください。」。これが全文です。

「買わなくていいです」と言い切るブランドは例外中の例外。でも、実際には売れていて、自前ショップは東京都内に下北沢と原宿の2店舗があり、福岡にもショップを構えています。

毒っ気やウィットを感じさせるアレンジは今の「プレイフル」のトレンドとも通じ合うところがあります。今回の「初音ミク+CUNE T-SHIRTS」は2016年4月29日から発売スタート。ミクファンとCUNE好きの両方から支持されそう。この機会にCUNEの世界観をショップで感じ取ってみるのも面白いでしょう。

(c) Crypton Future Media, INC.
www.piapro.net

初音ミク+CUNE T-SHIRTS
2016 年 4 月 29 日発売

発売店舗
CUNE 各店
全国 CUNE 取り扱い店舗
札幌 MIRAI.ST

CUNE
www.cune.jp




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 2016/05/02 13:44  この記事のURL  / 

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宮田理江(みやたりえ)
ファッションジャーナリスト

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビ、ウェブなど、数々のメディアでコメント提供や記事執筆を手がける。

コレクションのリポート、トレンドの解説、スタイリングの提案、セレブリティ・有名人・ストリートの着こなし分析のほか、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南本『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(共に学研)がある。

公式サイト:http://riemiyata.com/
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