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ウエストゴム・パンツに特化 新ブランド「NUMBER M(ナンバー エム)」





ウエストをゴムで締めるパンツは楽ちんなはき心地がうれしい半面、ベーシックな見栄えが多かった感じがあります。でも、中村三加子デザイナーのブランド「MIKAKO NAKAMURA(ミカコ ナカムラ)」のデイリーライン「M・Fil(エムフィル)」から独立する形で提案される新ブランド「NUMBER M(ナンバー エム)」はこれまでのウエストゴム・パンツとは発想が異なります。

「NUMBER M」はウエストゴム・パンツの専門ブランドです。もともと「M・Fil」にはウエストゴムのパンツ「Easy Trousers(イージートラウザーズ)」というヒット商品がありました。累計6万本という人気アイテムです。「NUMBER M」はそのスピンアウト(派生)とも発展形とも呼べる取り組みで、ウエストゴム・パンツに特化しています。

やさしい着心地ときれいなフォルムの両立を目指しています。それを実現するキーパーツが独自開発のゴムです。1本のゴムを2つに折って作るダブルゴムを使って、ウエストを包み込むような優しいフィット感を生んでいます。欧米で幸せの象徴とされるブルーが「NUMBER M」のアイデンティティカラーに選ばれていて、ゴムの内側にもブルーがあしらわれています。

シルエットは細身クロップト、テーパード、ストレート、ワイドなど、様々な形が選べます。オントレンドのワイドパンツでも朗らかなフォルムが提案されていて、おしゃれにはきこなせそうです。















先日のローンチイベントでファーストコレクション(2016-17秋冬)を見ましたが、アートライクなモチーフが大胆に配してあったり、フレアスカート風のスーパーワイド幅に仕立ててあったりと、これまでの一般的なウエストゴム・パンツに比べて格段にファッション性が高くなっています。モノトーンの太めストライプはすっきりした着映え。布をつなぐ金属パーツの隙間からほのかに肌を見せるタイプも目を惹きました。

ウエストにはベルトのようなデザインを施したモデルもありますが、このベルトはあくまでも飾り。すべてがゴムで締める仕組みです。生産はMade in Japanにこだわっていて、全て国内で作っています。ゴムは織物の産地、石川県で生産しているそうです。

3つのコレクションが用意されています。そのシーズンにデザイナーが自由に表現する「PRESENT(プレゼント)」。素材、パターンなどで機能性とファッションを融合させたライン「ACTIVE(アクティブ)」。そして、「JETSETTER(ジェットセッター)」は文字通り、世界中を飛び回る人たちに向けたデイリーラインです。

参考プライス(税抜き)は最多価格帯が2万2000〜2万6000円と、割と手頃に設定されています。ショップでの取り扱いは2016年7月からになる見込みです。販売店舗は直営店(南青山サロン、salon de 1993)のほか、全国のセレクトショップ、百貨店を予定しています。

ストレスをできる限り下げる「コンフォート」志向はグローバルな流れとして一段と浸透してきました。同時に、適度に主張を織り込む「ほどほどグラマラス」の傾向も強まっていて、「NUMBER M」の発想は時代のニーズをしっかり受け止めていると映ります。上質を知るファッション業界人に支持されてきた中村デザイナーの提案だけに、この先、シーズンを重ねるごとにラインアップが充実していくのが楽しみなブランドです。


「NUMBER M」 Debut!
http://mikakonakamura.tumblr.com/post/142388261687/number-m-debut

MIKAKO NAKAMURA
http://www.mikakonakamura.com/



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 2016/04/14 01:24  この記事のURL  / 

時代を超えた魅力を実感 『PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服』展




オートクチュールは一般消費者には縁遠い存在と思われがちですが、ファッションの流れを作り出すうえで大きな役割を果たしてきたことも事実です。そういうオートクチュールの意義を実感できる展覧会『PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服』が東京・丸の内の三菱一号館美術館で5月22日まで開催されています。

高級注文服というオートクチュールの位置づけは知っていても、なかなかその全体像や成り立ちは知らないものです。そもそもマーケットがスーパーリッチや王族などに閉じているため、公開されている情報自体が少ないからでしょう。そういった点で、歴史の始まりから語り起こしてくれる今回の展覧会は貴重で意義深いと感じました。

とりわけ、今回の会場内に掲出してある「系統図」は見逃せません。19世紀後半にシャルル=フレデリック・ウォルトが始めて以来、たくさんのデザイナーがオートクチュールを手がけてきましたが、その師弟関係や系譜を示す図です。この図を見るためだけでも足を運ぶ価値があると思えます。












もちろん、展覧会の「主役」であるクチュール作品も見応えがあります。きらびやかな装飾や、過剰なまでに主張の強いシルエットに目を奪われがちですが、時代を映す丈感やウエスト絞りの移り変わりがオートクチュールを取り巻くモード事情の変遷を物語ります。ダンスの流行を背景にドレス裾が短くなったり、戦争の終結で華やぎが戻ったりなど、オートクチュールの世界にも時代の空気が反映されていることが分かります。

歴史的な遺産であるのに、タイムレスな美しさを備えていることにあらためて驚かされます。たとえば、「ジェンダーレス」は直近の傾向とされますが、かつてのクチュール作品にもそれに通じるような雰囲気が感じ取れます。袖先をたっぷり余らせる「スーパーロング・スリーブ」は2016-17年秋冬の新ディテールですが、その原型とも見える、床まで届きそうなほどに長い飾り袖にも遭遇。盛り上がるアシンメトリー(非対称)の演出も往年のクチュール作品に源流がうかがえます。

バレンシアガに代表される立体裁断の見事さは息を呑むばかり。「ジバンシィ」時代のアレキサンダー・マックイーンが見せたテイラーリングはサビル・ロウ仕込みの職人技の極み。私の好きなエルザ・スキャパレリの流麗さにも見惚れました。ピエール・カルダンの未来感覚は、フューチャリスティックのテイストが勢いづく今でもさびついて見えません。約130点にも及ぶ展示作品は10年刻みの時代順に整理して並べられているので、クチュール史をなぞるかのような感覚が味わえます。

ファッション美術館として名高い、パリ市立ガリエラ宮モード美術館の館長が監修して、2013年にパリ市庁舎で開催された展覧会を再構成しています。東京駅のすぐそばという超一等地にありながら、外壁がレンガ造りで床が板張りの、クラシック感を宿す三菱一号館美術館という場所は、ハイエンドな服飾史を振り返るこの展覧会に申し分のないシチュエーション。ノーフラッシュでの写真撮影が許可されている展示室もあるので、記念ショットも残せるのもうれしいところです。

デコラティブであでやかな装いが盛り上がる中、スタイリングのヒントがもらえる気がします。ベアバックやワンショルダーなど、オントレンドのデザインも紹介されていて、この春夏の着こなしに生かせそう。ちなみに、音声ガイドの特別チャンネルでは、ファッションジャーナリスト・生駒芳子さんがファッションとアートにまつわる解説を語っています。また、ミュージアムショップでは展覧会の関連グッズが販売されていて、ファッション関連書籍・画集も購入できます。三菱一号館美術館内にあるミュージアムカフェバー「Cafe1894」では、展覧会にちなんだデザート、ランチが用意されていて、展覧会の後に余韻に浸れるという点でもお薦めの展覧会です。




『PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服』
期間: 2016年3月4日〜5月22日
会場: 三菱一号館美術館
http://mimt.jp/paris-hc/



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 2016/04/12 11:55  この記事のURL  / 

2016-17年秋冬東京コレクション(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京)まとめ














2016-17年秋冬シーズンの東京コレクション(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京)では、エンターテインメント仕掛けのランウェイショーが目立ちました。プレゼンテーションでの発表も増加。妖しさを帯びた「ダークロマンティック」や、日本ならではの強みを生かした「スーパーボーダーレス」の趣が強まりました。毒っ気やユーモア、フューチャリスティックなどの演出も濃くなっています。デコラティブ(装飾主義)な素材、大胆なモチーフ使い、ウィットフルな量感などが提案され、主張が強めの装いが盛り上がりました。

宮田理江のランウェイ解読 Vol.32 「2016-17年秋冬東京コレクション」

http://www.apparel-web.com/column/miyata/2016aw_tokyo.html



〜関連記事〜

2016-17年秋冬東京コレクションリポート(前編)〜茶目っ気たっぷり ズレを楽しもう
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/beauty/fcolumn/CO005410/20160408-OYT8T50002.html

【2016-17秋冬・東京コレクション総括】6大キーワードから次のトレンドを読み解く
http://www.fashionsnap.com/inside/201617aw-tokyo-key/

【2016年秋冬東京ファッションウィーク】レビュー後編/スーパーボーダーレスで日本らしく ファッションの楽しさうたう

【2016年秋冬東京ファッションウィーク・】レビュー前編/ダークロマンティック濃く、量感は過剰に


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 2016/04/10 20:10  この記事のURL  / 

「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展 「デザイン」としての衣服






三宅一生氏の約45年間にわたる仕事を振り返る展覧会「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が国立新美術館で2016年6月13日まで開催されています。先日、行ってきました。約120点にも及ぶ服と映像資料で「ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)」の業績をたどる試みです。本展では一般的な繊維材料はもとより、紙、プラスティック、ラフィアなど、様々なマテリアルを生地に用いた作品が展示されています。

二次元(平面)と三次元(立体)を自在に行き来するかのような作品も一生氏のシグネチャーと呼べるでしょう。会場にはプリーツドレス「フライング・ソーサー」も展示。床にぺたっと畳まれた状態では、薄っぺらい円盤のようですが、上から引っ張ると、アコーデオン式にプリーツが広がって服の形になる仕掛け。外国から訪れた子どもたちが目を輝かせて、畳んだり伸ばしたりを繰り返していました。私もミニワークショップでは、実際に畳んだ状態のドレスを立体的に広げる体験をして楽しみました。

小さく畳めてしわにならない「PLEATS PLEASE(プリーツ プリーズ)」は「発明」とすら呼べそうな革新的な手法です。本展ではプリーツ制作の工程を初公開。工場のマシーンを展示室に据え付け、実際に編み上がる様子も紹介しています。

展覧会を一貫して流れるのは、「一枚の布」という一生氏のコンセプト。身体と布の関係性を重視し続けた一生氏のまなざしが全体に感じられます。目先のトレンドとは別次元のタイムレスな仕事ぶりに圧倒されました。技術者がねじってプリーツを作っていく手順や、1枚の布地から切り出して作る「A-POC(エイ・ポック)」のパターンなどを惜しげもなく公開されています。「三宅デザイン事務所」という企業名からも分かる通り、衣服を「デザイン」と位置づける発想です。ファッションの枠を越えた独創のアプローチは、ファッション業界に限らず、広い意味で「デザイン」に携わるすべての人に刺激を与えてくれる展覧会だと言えるでしょう。

MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事
http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/MIYAKE_ISSEY/



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 2016/04/04 07:48  この記事のURL  / 

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宮田理江(みやたりえ)
ファッションジャーナリスト

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビ、ウェブなど、数々のメディアでコメント提供や記事執筆を手がける。

コレクションのリポート、トレンドの解説、スタイリングの提案、セレブリティ・有名人・ストリートの着こなし分析のほか、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南本『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(共に学研)がある。

公式サイト:http://riemiyata.com/
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