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「第93回東京レザーフェア」革の表現力を証明 新鋭デザイナーと職人技のミックスがひらく可能性




革の展示会・トレードショーとしては日本最大級の「第93回東京レザーフェア」が12月3、4日の2日間にわたって、東京・浅草の東京都立産業貿易センター台東館で開催されました。50社・9団体が出展し、大勢が来場しました。展示会と聞くと、業界関係者だけのイベントと思われがちですが、実はこちらは一般客も無料で入場できる催しです(受付で登録が必要)。レザーを使った珍しいファッションショーも開催され、革の表現力をあらためて感じる機会となりました。

レザーファッションショーに参加した2組は、ともに東京コレクションで作品を発表している「リョウタムラカミ」(デザイナ―は村上亮太・村上千明両氏の親子ユニット)と「コトハヨコザワ」(デザイナ―は横澤琴葉氏)。山縣良和氏と坂部三樹郎氏がプロデュースする、次世代デザイナー育成プロジェクト「東京ニューエイジ」の中で実力を蓄えてきました。今回のショーでは、東京の下町エリアにある老舗の皮革メーカーとコラボレーションする形でコレクションを制作。「リョウタムラカミ」は久保柳(くぼりゅう)商店とカナメ、「コトハヨコザワ」は富田興業(とみたこうぎょう)と組んで、新鋭の自由な発想と、匠の卓越した技術がクロスオーバーした作品が生み出されました。









ロングヘアのフェミニンなムードの女性モデルをそろえた「コトハヨコザワ」は、硬質なイメージの強いレザーを、あえてひらひらしたペーパーライクな風合いで操っていた点が印象に残りました。布を無造作に破ったかのように見える、不ぞろい感を帯びた薄手素材が実はレザーという意外な演出。穏やかなドレープは革のソフト感を印象づけました。メタリック加工を施したり、アンフィニッシュ感をわざと残したりと、風合いにも変化をつけています。ほとんどの作品がアシンメトリー仕立てだった点も、トレンドの風向きをしっかりとらえていました。









男女のモデルをミックスして披露された「リョウタムラカミ」のコレクションでは、タンクトップやトランクスなど、これまでは革で仕立てるイメージが薄かったアイテムが次々と登場。ジェンダーレスなデザインが工夫されていて、カップルでシェアできそうな造り。オーバーサイズの遊びや、アップリケ風のディテールも目を惹きました。野暮ったさを逆手に取って面白がるような「プレイフル」な味付けは、今のグローバルモードの気分や、「ださかわ」が熱気を帯びる流れともなじんで見えました。

レザーを扱い慣れたデザイナーからは「規格外」とも映りそうな型破りの提案は、かえって革の秘める実力や可能性を引き出していたように見えます。革の世界は奥深いだけに、むしろ業界内部の「常識」にとらわれてしまう危うさもはらんでいます。2組の新鋭デザイナーはまだチャレンジャーの立場にある強みを生かして、ゴツ感やクールさが持ち味とされてきた革に、朗らかさややさしさを語らせる試みを仕掛け、一定の成功を収めていました。革に限らず、日本の服飾素材の様々な分野で、こういった若い才能を通じて、別の表現を生み出すトライが「進化」をもたらす可能性がありそうです。





「東京ニューエイジ」というプロジェクトそのものも興味深い存在となりつつあります。新たな表現者がゆるく集って、互いを刺激し合うような関係が見て取れて、どこかファッション界の「AKB48」のような雰囲気もあります。AKB同様、ここから「卒業」して日本のモードを担うデザイナーがどんどん出てくれば、ジャパニーズファッションはもっと面白くなっていく気がします。

今回、ショーの後のトークショーで、私は、両ブランドのデザイナーと、「東京ニューエイジ」プロデューサーでもあるデザイナーの坂部三樹郎氏と演壇でご一緒させていただきました。ファッションショーの感想や、浅草の老舗革問屋・物づくり企業と東京デザイナーとの取り組み、東京ブランドの今と可能性、日本の物づくりの未来などについて、それぞれの立場から意見を交わす機会となりました。







東京レザーフェアは革の可能性を追求するというミッションを掲げています。ファッションショーもその一環ですが、革素材の発表・展示は「本筋」と言える中心的な部分。新たな素材が次のモードを生むという関係にあることから、ファッション界は2016年春夏の発表を終えた段階ですが、今回の東京レザーフェアではさらにその先の2016-17年秋冬シーズンに向けたレザー素材が展示されていました。原皮や人工皮革などの実物を見る機会はなかなかないこともあって、興味津々で各ブースを見て回りました。

あちこちのブースを見て感じたのは、日本のレザー加工技術の奥行きです。レザーは欧州に有力ファクトリーが多くありますが、日本の皮革技術は世界レベルで見ても繊細と評価されているそうで、各ブースではその実力をうかがい知ることができました。布と違って、レザーはエイジング(経年変化)をめでるという別の楽しみが大きい素材です。ダメージが「味」を生むのもレザーの面白さ。物を大事にする意識とも通じるところがあり、今のおしゃれマインドともなじみます。

東京都の台東区や墨田区には皮革メーカー・工房が古くから集まっていて、世界屈指の厚みを持っています。今回の東京レザーフェアは観光名所の雷門からも近い浅草の真ん中で開催されました。フェアの後、外に出て仲見世に寄ったら、来日観光客らしき外国人がいっぱい。彼らに国産レザー商品が日本の代表的な「特産品」として認知してもらえるようにしていくうえでも、東京レザーフェアの意味は大きいと感じました。今回、こういった大事なイベントでトークショーに参加させてもらえたことをあらためてありがたく感じつつ、浅草を後にしました。







東京レザーフェア
http://tlf.jp/



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【2016春夏東コレ総括1】初参加ブランドが続々、次代を担う若手が台頭
http://www.fashionsnap.com/inside/jfw16ss-rm01/


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 2015/12/17 07:02  この記事のURL  / 

2016年春夏NYコレクショントレンド×日本の優れた素材から見る、「おうち洗濯」の意義



先日、アパレルウェブで花王「エマール」さんとのタイアップ企画があり、花王ファブリック&ホームケア事業ユニットの野原聡さんと日本ファッション・ウィーク推進機構テキスタイル事業・事務局長の川島朗さんと鼎談させていただきました。私は、2016年春夏NYコレクションの全体のトレンド傾向をお話ししました。

私はおうち洗濯をよくします。着たいタイミングを逃がしたくない場合や、服の一部だけに汚れがついてしまったときに丸ごとクリーニングに出すまでもないケースが結構あるからです。ピンポイントで部分洗いができるホームクリーニングはそれぞれの質感や風合いを大事にしながらきちんと洗えるので、安心感が高いところがあります。自分の目と手で状態を確かめながら洗っていけるのは、大事な服を守ることになり、いっそう愛着がわくし、自分のワードローブの再確認にもなります。

今回の鼎談では、川島さんからは日本のテキスタイルのすばらしさを、野原さんからは目からウロコのおうち洗濯の意義を教えてもらい、有意義で楽しい時間でした。今後はエコ・エシカル的な視点も含め、もっと「おうち洗濯」の良さを知りたいと思いました。

2016年春夏N.Y.コレクショントレンドと日本の優れた素材、そこから見えるおうち洗濯の意義

http://www.apparel-web.com/feature/2015/kao-emal.html


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2016年春夏NYコレクション
http://www.apparel-web.com/column/miyata/2016ss_ny.html



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 2015/12/14 20:27  この記事のURL  / 

2016年春夏パリ、ミラノコレクションまとめ








スーパーフェミニンが勢いづいた点は2016年春夏シーズンのパリ、ミラノ両コレクションで見られた大きな変化でしょう。堂々と女らしさを主張するような装いが物語るのは、自信と美意識を兼ね備えた女性像。ミニマルからの揺り戻しもあって、自分好みのスタイリングを選び取ろうとする女性に向けて、ミックスコーディネートの選択肢が幅広く用意されました。透ける演出が目立ち、色数も増え、ラッフルや刺繍でクラフトマンシップを強調する提案も相次ぎました。

アパレルウェブ「宮田理江のランウェイ解読」に寄稿しました。

2016年春夏パリ、ミラノコレクション

http://www.apparel-web.com/column/miyata/paris_milano_2016ss_01.html

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 2015/12/13 18:44  この記事のURL  / 

ユニクロ「LifeWear」2016春夏コレクション シーンフリーに楽しむ自然体のおしゃれ











ユニクロ(UNIQLO)2016年春夏「LifeWear」発表会が開催されました。今回のプレスリリースでは「自然体」という言葉が印象的でした。気負わないのだけれども、手は抜かない。快適でありつつ、様になる。そういった服がもたらす、「自分らしくいられる心地よさ」を提案するようなアイテムが多く見受けられました。ランウェイショーに登場したモデルがそのまま各シーンの部屋でくつろぐという演出にも、仕事とプライベート、自宅と街中といった場面にしばられない「シーンフリー」の発想がはっきり感じられました。

東京・渋谷の会場には、様々なシーン別に部屋が用意されていて、フロア中央のランウェイを歩いたモデルがそれぞれの部屋を訪れるという趣向でショーが進みました。「ベーシック」の枠を超える緻密なスタイリングが施されていました。ランウェイルックはいずれも洗練度がさらに高まっていて、トレンドへの目配りもしっかり働いていました。とりわけ、サマーレイヤードでの袖先や裾のしゃれたアレンジが目に残りました。







「Active」や「Relaxes」などの柱立てに沿って、アイテムが提案されています。同時代性を意味する「Contemporary」では、リネンシャツ、コットンシャツ、ワイドパンツ、ジョガーパンツ、イージーパンツが打ち出されました。「クリーンでミニマル」というトーンは今回の自然体ルックを象徴しています。

「Active」では動きやすく過ごしやすいウエアがそろいました。肌触りや伸縮性に優れているドライEXシリーズ、AIRism(エアリズム)に加え、撥水・透湿性の高いブロックテックパーカが登場。実用性を重んじる「ユーティリティー」のトレンドにもなじむ提案です。夏の始まりが早まり、不安定な天候が当たり前になってきた昨今の事情にもマッチしています。

おうちで気楽に過ごすようなシーンを想定しているウエア類が「Relaxes」にはそろっています。会場の小部屋にもソファが置かれていました。キーアイテムはおなじみの楽ちんウエア、リラコとステテコ。リラコは初のワンピースが登場します。フランネル素材のルームパンツ「ネルパン」も部屋着を定位置としない使い勝手を試したくなります。

ユニクロらしい定番ウエアを集めた「Essentials」はジーンズやチノパン、コットンシャツ、リネンシャツがキーアイテム。日々の暮らしに欠かせないベーシックなウエアだからこそ、着飽きないスタイリングが肝心。ランウェイでは袖ロールアップやトップス裾レイヤードなどの小技が利いていました。サマーアウターの投入や、ツートーン・ルック、帽子使いなども着姿に変化をもたらしています。



Tシャツの「UT」は多彩なバリエーションが用意されました。日本のポップカルチャーを生かした企画としては漫画『キン肉マン』が話題を集めそう。ウサギのキャラクターで有名なディック・ブルーナ氏や、スヌーピーでおなじみの漫画『ピーナッツ』、バーバパパ、ブロック玩具「LEGO」の絵柄は朗らかなムードを呼び込みます。ブック型クラッチバッグで知られるデザイナー、Olympia Le-Tan氏も参加しています。ロック史に残るレッド・ツェッペリン、セックス・ピストルズ、そしてカート・コバーンもTシャツのモチーフになります。書道モチーフは和テイストの新顔。和紙の老舗「日本橋榛原」も加わりました。



「AIRism」では男性にうれしい新商品も登場。今回開発されたメンズシームレスVネックはシャツの下に着て快適に過ごせます。白に加えて、肌なじみのよいベージュも用意されました。ベビー用にはメッシュ生地がお目見え。たくさん汗をかきやすい赤ちゃんにうれしい心配りです。



機能性の高い「COMFORT BEAUTY WEAR」からは、ワイヤレスブラの進化形が生まれました。ウレタン樹脂のサポートがやさしくバストラインを整えます。ウルトラシームレスショーツはボトムスに響きにくいうえ、ストレッチが利いていて、薄手パンツや透けるボトムスの日でも伸びやかな気持ちで過ごせそう。



子ども向けの「KIDS & BABY」では大人っぽい新アイテムが披露されました。たとえば、ボーイズ用のトレンチコートはダンディ感と愛くるしさが同居する一着。共布ベルトが縫い付けてあるところにも、安全性への気配りが行き届いています。エアリズムのフルジップパーカは外で走り回るような過ごし方にぴったり。ドライストレッチジャケットは男女両方でラインアップ。女の子向けのショートフレアパンツはスカートとパンツのいいとこ取りで、ガーリーにもアクティブにも映ります。





「MAGIC FOR ALL」にはディズニーやマーベル、ピクサーのキャラクターが勢ぞろい。12月に新作公開が控える映画『スター・ウォーズ』も加わり、ファンタジーや冒険心を装いにまとわせてくれます。









おしゃれの伝説的ミューズと組んだ「INES DE LA FRESSANGE(イネス・ド・ラ・フレサンジュ)」コレクションは「Voyage」「Le Sport」「Uniform」がテーマ。サファリジャケット風アウターやポロシャツ、クリケットセーターなどでさすがのリミックスに仕上げています。涼やかなサッカー生地も用意されました。色はベージュ、オリーブ、ローズが加わっています。第1弾のスプリングコレクションはオンラインストア限定で12月11日〜20日に販売されます。一般発売は1月8日の予定です。





2シーズン目を迎えた「CARINE ROITFELD(カリーヌ・ロワトフェルド)」はスーツやミリタリージャケットをストレスフリー素材と交わらせ、上質感と着心地を両立。お得意のペンシルスカートでタイトな着姿に導いています。ファーやレザーで装いをつやめかせました。グラマラスな気分が復活する中、アニマルモチーフやカムフラージュ柄も盛り込んでいます。





「UNIQLO AND LEMAIRE」はすがすがしいムードのスポーツウエア風ルックを提案しました。コットン主体のミニマルな仕立てがさわやかで夏らしい雰囲気。ポケットが着姿を弾ませています。



英国ブランドの「リバティ」とコラボレートした新ライン「LIBERTY LONDON for UNIQLO(リバティロンドン フォー ユニクロ)」が16年春夏に発売されることも発表されました。リバティ社は過去140年にわたるアーカイブを持ち、その品格を帯びた柄・模様は「リバティプリント」として有名です。新ラインでは英国の伝統的なフローラルプリントを採用。ユニクロのテクノロジーと融合したアイテムは公開が待ち遠しくなります。

16年春夏のコレクションに感じられるのは、自分を主人公に据えて、自在のスタイリングを楽しんでもらいたいという意識です。服の役割や居場所を固定的に考えないで、伸びやかな着こなしを組み上げるポジティブな態度を応援してくれているようです。来春夏はポジティブでプレイフルな装いが勢いづくとされていて、ユニクロの新コレクションも「楽しいおしゃれ」を自然体のスタンスで盛り上げてくれそうです。

UNIQLO
http://www.uniqlo.com/jp/

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ユニクロ「LifeWear」2015秋冬コレクション 機能性は進化、コラボも深化
http://www.apalog.com/riemiyata/archive/178

ユニクロ「LifeWear」2015春夏コレクション さらに楽しげにヘルシーに
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ユニクロ「LifeWear」2014秋冬コレクション プレイフルなレイヤードルック
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ユニクロ LifeWear2014春夏コレクション 「イネスとNIGO」が登場
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進化系「ユニクロ」を映し出す「LifeWear」2013年秋冬コレクション
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 2015/12/02 05:29  この記事のURL  / 

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宮田理江(みやたりえ)
ファッションジャーナリスト

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビ、ウェブなど、数々のメディアでコメント提供や記事執筆を手がける。

コレクションのリポート、トレンドの解説、スタイリングの提案、セレブリティ・有名人・ストリートの着こなし分析のほか、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南本『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(共に学研)がある。

公式サイト:http://riemiyata.com/
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