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「2015-16年秋冬東京コレクション」まとめ











2015-16年秋冬・東京コレクションは東コレが新たなステージに上がった印象を残しました。全体を包んだ「大人っぽい」というムードがクリエイター側の意識を物語っています。グローバルトレンドに目配りしつつ、ディテールや素材感に創意を盛り込む試みが目立ちました。

ランウェイリポートをご覧頂けたら幸いです。

宮田理江のランウェイ解読 Vol.25 2015-16年秋冬東京コレクション

http://www.apparel-web.com/column/miyata/2015aw_tokyo.html




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 2015/06/16 12:26  この記事のURL  / 

「matohu(まとふ)」10周年長着茶会で味わった充実した時間


デビュー当初から特別な敬意を抱いて拝見してきたブランド「matohu(まとふ)」。日本の伝統的な美意識をクリエーションの軸に据え、東京モードに清新な風を吹き込ませてきたブランドです。早いもので2005年の創立から今年で10周年。この記念すべき節目に、デザイナーの堀畑裕之と関口真希子の両氏が企画したアニバーサリーイベントの「茶会」に参加させていただきました。

「10周年記念matohu長着茶会」の会場は、東京・南青山にある根津美術館庭園内の茶室。同館は茶人でもあった「鉄道王」根津嘉一郎ゆかりの場所。私邸跡を生かした同庭園には、風情のそれぞれ異なる茶室が点在していて、ここでの茶会はお茶の世界では憧れの茶事とされています。

6月5日(金)と6日(土)の2日間にわたって催された今回の「matohu長着茶会」では、薄茶2席と酒肴席の計3席が用意され、茶席では両デザイナーがそれぞれ亭主となって参加者をもてなしました。

「長着茶会」とうたわれている通り、長着をまとっての出席が提案されていました。もっとも、その場にふさわしければどんな服装でも構わない、形式張らない茶席でしたので、普段着姿でも参加できる点も主催側の心配りを感じさせました。

私がお招きにあずかったのは、5日午後2時スタートの、プレス関係者を招いた会でしたが、顧客の方々が集まった会では、見事に全員が長着を羽織って来場されたそうです。顧客の方々の「matohu愛」を示すエピソードです。







最初は堀畑さんが亭主を務める、「一樹庵」での小間薄茶の席。腰をかがめて小さいにじり口をくぐって、こぢんまりした茶室の中へ。どきどきの茶会スタートです。

これまでのコレクションテーマにちなんだ茶道具を使うという趣向でお茶を頂きました。最初にmatohuのロゴとしておなじみの千鳥の形をした和菓子が登場。茶器は2005-06年秋冬のファーストコレクションでテーマにした「織部」にちなんで、織部焼が選ばれていました。慣れない本格茶席で緊張を禁じ得なかったのですが、堀畑さんは楽に正座できる椅子を女性に勧めてくださり、参加者の気分をやわらげていました。床の間には堀畑さん作の青竹花入れに一輪挿し。掛け軸に書かれた和歌3首にまつわる話も興味深いものでした。













続いて、広間の「披錦斎」へ移って、今度は関口亭主のお茶を頂戴しました。「現代作家新作道具席」と銘打って、表参道本店で開催してきた様々なアーティストとのコラボレーション企画にちなんだ道具立てで参加者の目を楽しませました。たとえば水差は食を通してアート体験を創り出すTAKAGI KAORU氏、釜は鍛金・彫金家の藤井由香利氏が制作しています。張子バッグの「コシェル」作の亀盆と水辺の千鳥盆にお菓子がのって登場。深堀隆介氏作の金魚が書かれた掛け軸、AKIKO BAN氏作の香合「かさなりあう魂」などもあり、私が毎年拝見してきたmatohuゲストアーティストさんたちの作品が10周年を静かに祝っていました。

両デザイナーがこしらえた茶碗も登場しました。堀畑さんがかつて愛用していたパイプやカニ形の灰皿も披露され、お人柄に触れるきっかけともなりました。茶会が進むに従って、「人が集い、食事やお茶、器、アートを総合的に楽しむお茶会は日本の美意識がぎゅっとつまった生活芸術です」という招待状の言葉が実感をもって理解できました。





最後の席となった酒肴席は参加者10数人が集まる格好で、広い部屋の「弘仁亭」で催されました。室内にはアーカイブの長着が集められていて、このシグネチャーアイテムの魅力を再確認できました。過去のコレクション招待状やランウェイショーの映像も見ることができて、10年間の歩みを感慨深く思い返す機会となりました。









塗り物に入って供された椀物は、「世界のベスト・レストラン」でも高く評価された東京・西麻布のフレンチレストラン「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフが用意してくださった品。カブの中をくり抜いてカニをどっさり詰めた料理はパセリのソースで味付け。和食とフレンチをマリアージュして、和洋の垣根を越えた「matohu」の創作姿勢を味覚で表現していました。

おいしい食事のおかげで、日本酒が自然と進み、気持ちがほぐれてきました。八寸で頂戴したキビナゴの南蛮漬けは関口さんが自らこしらえてくだったそうです。水ナスの揚げ煮もおいしく頂きました。お茶会ビギナーにとっては前半のお点前での緊張感と、後半の宴席でのリラックス感が対照的に思えました。

堀畑さんと関口さんからもいろいろと本音が聞けました。ブランドを立ち上げた頃は、自分たちが提案しようと考えていた装いが本当に受け入れてもらえるのかどうか、予想がつかなかったけれど、あきらめずに10年間続けてきて、手応えが感じられるようになってきたといった思い出話に、感慨深く聴き入ってしまいました。日本にブランドは無数に存在しますが、「matohu」はぶれないポリシーと、丁寧なクリエーションが際立っていて、時間が経っても色褪せない品格や価値を感じさせます。





あっという間に思えた茶会の2時間でした。茶会の後に頂戴したお土産袋の中に入っていたお手紙をじっくり拝読しました。そこには、今後はコンテンポラリーなデザインを示して豊かな交わりの場を作り出すネットワーク「matohuプロジェクト」を広げていくプランがつづられていました。「服を通して平和の一端を担いたい」「服は人がまとい、思いを語らい、共有する場をもってはじめて生きた器となるという事を実感するひとときとなりました」というメッセージには、10年の軌跡への自負と、この先へ進む気概がうかがえます。

毎シーズンのコレクションテーマからも「日本の美」について気づきをくださる「matohu」は、本当に誠実で素敵なブランドです。今回の茶会は私にとって忘れられない貴重な体験となりました。本当にありがとうございました。

matohu
http://www.matohu.com/





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 2015/06/07 11:23  この記事のURL  / 

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宮田理江(みやたりえ)
ファッションジャーナリスト

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビ、ウェブなど、数々のメディアでコメント提供や記事執筆を手がける。

コレクションのリポート、トレンドの解説、スタイリングの提案、セレブリティ・有名人・ストリートの着こなし分析のほか、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南本『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(共に学研)がある。

公式サイト:http://riemiyata.com/
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