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百貨店をテーマにした映画『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』

(c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.



ファッションデザイナーやおしゃれアイコンを題材にした映画が
相次いで公開される中、人物ではなく、「百貨店」という場をテーマにした
ドキュメンタリー映画『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』
異彩を放ちます。タイトルが示す通り、NYの5番街に立つ老舗百貨店が
「主人公」。そこで働くプロフェッショナルたちが物語を織り成しています。

NYのモード界で「バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)」は
特別な存在であり続けています。マンハッタンにはほかにも
「サックス・フィフス・アベニュー」や「ブルーミングデールズ」などの
有名デパートがありますが、バーグドルフはそのラグジュアリー感と
洗練度で群を抜いています。NYブランドの多くがここでの取り扱いを
きっかけに世界ブランドに飛躍していったという伝説も、バーグドルフの
名前をタイムレスな別格デパートとして位置付けるのに一役買っています。



(c)Rie Miyata


(c)Rie Miyata


(c)Rie Miyata


(c)Rie Miyata



2014年春夏NYコレクションの期間中、私がバーグドルフを訪れた際には、
写真のようにダイナミックなウィンドウディスプレイが目をひきました。
こちらは1980年にファッションイラストレーションに新風を吹き込んだ
Tony Viramontes氏の作品集『Bold, Beautiful and Damned』
10月に出版されるのを記念して、彼のイラストをモチーフに構成された
ウィンドウです。Viramontes氏の華やかな画風は、デュランデュランの
メンバーらが結成したグループ「アーケイディア」のアルバム
『So Red the Rose』(1985年)のジャケット画でご存じの人も多いでしょう。

この映画ではバーグドルフの栄光を支えてきた「黒子」たちに
スポットライトを当てています。例えば、ウィンドウディスプレイを
飾り付ける担当者や、売り場に立ち接客に当たるパーソナルショッパー。
1軒の百貨店がモードを発信していく裏側で、これほどたくさんの才能が
注ぎ込まれているのかと驚かされ、同時に彼らがバーグドルフに捧げる
忠誠心の高さや自負の強さにも心を打たれます。一生のうちに何度も
勤め先を変えることが当たり前であり、それがむしろ成功の証明とすら
見なされている米国ビジネスシーンにあって、彼らの長期にわたる献身的な仕事ぶり。




ベティ・ホールブライシュ氏 (c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.



パーソナルショッパーのベティ・ホールブライシュ氏のエピソードも
興味深く感じました。ベティの接客術は常識をかなりはずれてて、
例えば、試着した顧客が「どう見える?」と尋ねると、似合わないものは
似合わないと本音を吐きます。真に顧客のことを思うからこその直言。
長年磨き上げた売り場でのスタイリングのセンスに裏打ちされているから、
信頼され、顧客はアポイントメントをとってでも彼女の接客を受けるのです。
彼女の仕事ぶりは著書『ファッションセラピストが教えるおしゃれの秘密』からもうかがえます。



リンダ・ファーゴ氏 (c)Rie Miyata


ファッションディレクターのリンダ・ファーゴ氏は、バーグドルフの
ファッションアイテムを買い付けるバイイング部門の責任者。
No.2に当たる副社長のポジションにあり、バーグドルフの顔的人物です。
NYコレクションのショー会場でファッションスナップ写真を撮っていると、
必ず大勢からのフラッシュを浴びる着こなし達人でもあります。



マイケル・コース氏 (c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.



マーク・ジェイコブス氏 (c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.




リンダのお眼鏡にかなって、バーグドルフの売り場に並ぶということは、
モード界で実力が認められたということとほぼ同じ意味であり、その価値は
この映画の中でマーク・ジェイコブス氏やマイケル・コース氏ら大勢の
トップデザイナーの口から畏敬を込めて語られています。
新鋭デザイナーの目利きに当たっては、厳しい評価を下すのかと思いきや、
映画では、彼女の物腰は、どんな駆け出しデザイナーにも親身で丁寧。
きちんと作品を見た後、長所を挙げた上で、さらなる改善点を具体的にアドバイスする
彼女の態度には、次世代の才能を一緒に育てていこうとする熱意と愛情が感じられます。



(c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


ファッション市場にはクリエイター、売る側、消費者の3者が存在していて、
どれが手薄でも、その市場は成熟していきにくくなるものです。
この映画は売る側の代表格と言える百貨店の大切さをあらためて
裏付けてみせた点で、これまでのファッション映画とは別の意味の
価値を持ったと言えるでしょう。それぞれの持ち場で最善を尽くし、
顧客の満足度を高めるバーグドルフの担い手たちの仕事ぶりからは、
ファッション業界に限らず、どんなビジネスにも通じる、仕事との
向き合い方や、プロ意識の保ち方などを教わることができそうです。

『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』
10月26日(土)Bunkamuraル・シネマほか順次公開!
(c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
http://www.bergdorf.jp/
【配給】:ショウゲート

〜関連記事〜

映画『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』に学ぶ、おしゃれの極意
http://www.gallardagalante.com/galante/blog/2013/10/post-112.html






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 2013/10/14 09:36  この記事のURL  / 

「BALLY(バリー)」がエベレスト初登頂60年祝う











スイスのラグジュアリーブランド「BALLY(バリー)」
世界最高峰の名を冠した「エベレスト」という
コレクションを持つことでも知られています。
その名前は、1953年に人類がエベレスト初登頂を達成した際、
シェルパのテンジン・ノルゲイ氏がBALLYの靴を履いていた
という事実に由来します。この歴史的な出来事から今年で
60年に当たるのを記念して、先日、BALLY銀座店で、
カクテルパーティ「1953-2013 EVEREST」が開催されました。

1851年にスイスでカール・フランツ・バリー氏が創業したBALLYは
160年を超える歴史を持つ老舗ブランド。クラフトマンシップに
裏打ちされた最高級の靴で高い評価を獲得し、さらに
バッグやウエアでも世界的な人気を得ています。

2013-14年秋冬メンズコレクションはエベレスト登頂60周年を
テーマに、レザーパーカやファー付きバッグを提案。
登山史の伝説をまとうかのような誇らしい気分に誘います。
例えば、シェーブドディアスキンで造られたHIMALAYA BOOT(ヒマラヤブーツ)は、
テンジン氏が履いていたオリジナルブーツの複製版です。
バリー銀座店内にはシューズ、バッグ、ウエアなどの新作が並び、
充実したラインアップを印象づけました。







贅沢にファーをあしらったウエッジソールのレディースブーツなども素敵でした☆




バリー銀座店
東京都中央区銀座8-8-5
http://www.bally.com/

〜関連記事〜

BALLY 2013-14秋冬 ミラノ メンズ コレクション
http://www.apparel-web.com/collection/2013aw/milanomens/bally/

山中健さんのブログ
http://www.apalog.com/yamanaka/archive/757




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 2013/10/12 13:43  この記事のURL  / 

カール・ラガーフェルドに2年間密着した映画が11月公開

(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.


(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.



数多いファッションデザイナーの中でも、
カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏は特別な存在です。

パリモードの代名詞的存在の究極ブランド「シャネル(CHANEL)」。
イタリアの重鎮ブランド「フェンディ(FENDI)」。この両ブランドの
デザイナーを兼ねており、さらに、自分の名前を冠したブランドもあります。
そのモード君主に約2年間も密着したドキュメンタリー映画が
『ファッションを創る男〜カール・ラガーフェルド〜』です。

今更ながらにカールのすごさが伝わってきます。
常に最高の注目を集める「シャネル」のデザイナーを
1983年から30年もの長きにわたって任され続けているのです。
先日、1997年から16年間にわたって務めてきた「ルイ・ヴィトン」の
アーティスティック・ディレクターを離れると発表したマーク・ジェイコブス氏。
「ランバン」を復活に導いたアルベール・エルバス氏が就任12年ですから、
カールの30年という期間の長さが想像できるでしょう。



(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.


(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.


(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.



カールの人物像は秘密のベールに包まれてきました。
今回のドキュメンタリーは、年齢すら公表されていない
謎の多いカールの実像に迫った点で極めて貴重と言えます。
高い襟やたくさんの指輪、黒いサングラスがトレードマークで、
そのレンズに向こうに隠されてきた彼の素顔に迫ります。
幼少期、セクシャリティについてなどについても語っています。

コレクション発表に向けて準備を進めていくプロセスや、
創作と向き合う態度などがカメラに収められています。
本作の映像から伝わってくるのは、ストイックで、ファッションデザインという
仕事にまっすぐな姿勢でした。これほどまでに集中力とテンションを
保ち続けるのは容易ではないはずですが、この離れ業を30年間も
重ねてきたという事実には、あらためて敬服させられます。



(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.


(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.



タイトルは『ファッションを創る男』となっていますが、映画の中では
仕事に臨む上での哲学や、カール流のプロ流儀なども自ら語っていて、
ファッションに関係のない仕事に就いている人にも、ビジネスのヒントが
もらえそうです。完璧主義者のカールらしいこだわりが随所に表れていて、
仕事との向き合い方を考えさせられるところもあります。

「シャネル」のミューズである女優のニコール・キッドマンをはじめ、
著名人やセレブリティーが大勢登場する点でも見応えがあり、
ファッションビジネスを知る上でも気づきや発見がたくさん用意されています。

『ファッションを創る男〜カール・ラガーフェルド〜』
2013年11月16日(土)からシネマート新宿、
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開

(c)Realitism Film / Melange / NoSugarNoMilk.
http://www.alcine-terran.com/lagerfeld/




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 2013/10/09 12:35  この記事のURL  / 

2014年春夏NYコレクション全体の傾向









2013年9月に開催された14年春夏NYコレクションでは、
ビーチリゾートに誘うような、風通しに優れた涼やかな風情が印象的でした。
肌に付かず離れずといった感じで、落ち感のあるシルエットも目につきました。

スポーティーなアイテムを、エレガントな着こなしに整えるアレンジは
さらに加速。アメリカの歴史や風土をポジティブにとらえ直す試みも相次ぎ、
カリフォルニア州南部に象徴されるウエストコーストのビーチライフや
名門大学のキャンパスシーンを連想させるプレッピーも見直されました。
1960年代のヒッピームーブメントから着想を得たスタイリングも登場。
さらには、ヒップホップやストリートな90年代テイストも復活しています。
一方、インスピレーションソースのグローバル化も広がって、
アフリカやインド、中南米からインスパイアされた装いも提案されました。

2014年春夏NYコレクション全体の大きな流れを解説しました。
次シーズンの春夏トレンドの参考にしていただけたらうれしいです。

2014年春夏NYコレクション

http://www.apparel-web.com/column/miyata/ny_2014ss.html

〜関連記事〜

2014春夏NYコレクション・各ブランドのリポート
http://www.apalog.com/riemiyata/archive/105

プレゼンテーションが多彩に 2014春夏NYコレクションレポート
http://www.fashionsnap.com/inside/ny14ss-presentation/

2014年春夏NYコレクション! 次トレンドはコレ
http://fashionbible.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/2014ny-c765.html




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 2013/10/04 13:14  この記事のURL  / 

「J.Crew(J.クルー)」ショップの心温まるおもてなし


昨年もこちらで紹介したとおり、「J.Crew(J.クルー)」
Eコマースの取り組みが進んでいますが、実はリアルショップでの
接客やもてなしでも高い評価を受けています。
NYコレクション中に発表されるプレゼンテーションでも
毎回話題を集めていて、アメリカで最も勢いのある
カジュアルブランドの1つと言えるでしょう。













今月発表された2014春夏コレクションでは、サーフカルチャーを写し込んだ
コレクションを披露し、NYコレクション全体のトレンドであった
西海岸テイストやリラクシングムードを色濃く反映していました。
スタイリングの面でも参考になるルックがたくさんありました。
「J.Crew」は小物にも定評がありますが、今回は英国の
フットウエア・デザイナーであるSophia Webster(ソフィア・ウェブスター)氏との
コラボレーションを発表し、こちらも注目を集めました。




NYへ行くたびに、「J.Crew」のショップチェックは欠かせません。
過去にもパンツやボリュームジュエリーなどのアイテムを
購入しましたが、ここ毎シーズン、気に入っているのがシューズ
(写真の靴、シルバーは2月に、ブルーはこの9月にゲット)。

今回、ブルーのシューズを購入したときも感じたのですが、
「J.Crew」ではショップスタッフの接客がとても丁寧で感心します。
日本流の接客に慣れた私でも感動ものです。
靴に合わせてコーデの提案をしてくれたり、お会計の際も
ちゃんとスタッフから接客してもらったかどうかを再確認してくれたり、
「ここまでするのか」と驚かされるぐらいの念入りなもてなし。
日本から来たことを話すと、オンラインでは日本からも買えるからね、と
ちゃんとアピールしてくれた上、最後はショップの外までお見送り。
まるで日本でサービスを受けているかのように心のこもったもてなしでした。
スタッフさんは皆、笑顔が素敵で、こちらまで自然とニッコリとなりました。

日本から来たファッション関係者に聞いたところでは、
ジャケットを購入しようとしたけれど、サイズがなかったのですが、
他店をすぐ探してくれて、翌日に宿泊先のホテルまで
メッセンジャーで届けてくれたそうです。
スピーディで親身な対応に心を打たれたようでした。

また、RINAさんのブログにもありましたが、パーソナルスタイリストの
サービスもあるようです。J.Crewでは楽しくお買い物をしてほしい
という想いがそのままかたちになっているかのようです。

私は使ったことがないのですが、店内には困ったときに使える専用の
赤電話が設置されていて、サイズや色違いなどが店になかった場合、
オペレーターに対応してもらえるのも心強いところ。
店内でショップスタッフさんに質問しようとしても
接客中だったり、近くにいなかったりすることがありますが、
この赤電話サービスなら時間のロスにもならなくていいですよね。
メールやウェブ経由ではなく、具体的に説明しやすい
電話応対というのも、困った人の気持ちが分かっている感じがします。

品ぞろえでワクワクさせてくれるJ.Crewは、サービスでも来店者の
気持ちをあたためてくれるから、NYへ行くたびに足を運びたくなります☆

J.Crew
http://www.jcrew.com/

〜関連記事〜

J.Crew流 おしゃれに見える「キャップ」のかぶり方
http://allabout.co.jp/gm/gc/426491/

プレゼンテーションが多彩に 2014春夏NYコレクションレポート
http://www.fashionsnap.com/inside/ny14ss-presentation/



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 2013/10/01 10:41  この記事のURL  / 

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宮田理江(みやたりえ)
ファッションジャーナリスト

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビ、ウェブなど、数々のメディアでコメント提供や記事執筆を手がける。

コレクションのリポート、トレンドの解説、スタイリングの提案、セレブリティ・有名人・ストリートの着こなし分析のほか、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南本『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(共に学研)がある。

公式サイト:http://riemiyata.com/
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