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【インタビュー】デザイナーに聞く 新ライン「ヒステリア バイ ハッピー ソックス」
  2017/09/01 16:45 | インタビュー

新ラインデザイナーのポーラ・マソ氏


 スウェーデン発のソックスブランド「ハッピー ソックス(Happy Socks)」(ロイネ/東京、木下昌彦社長)が今秋冬、大人の女性向けの新ライン「ヒステリア バイ ハッピー ソックス(HYSTERIA BY HAPPY SOCKS)」を発売した。“ヒステリックなほど自由”というコンセプトを持つ新ラインは、上質でモードな雰囲気を漂わせつつ、鮮やかなカラーリングやインパクトのあるグラフィックで、ひねりの効いたスタイリングを提案している。新ラインのデザイナーを務めるポーラ・マソ(Paula Maso)氏に話を聞いた。


■「ヒステリア バイ ハッピー ソックス」(以下ヒステリア)
 大人の女性に向けたハイエンドなソックスコレクション。ファースト・シーズンとなる今秋冬は、中世の建築や光彩アートに影響を受け、幾何学的なプリント柄や大胆なグラフィックを採用した。スリンキー・ヴィスコースやマーサライズ・コットンなどの上質素材を使っているため、中心価格(税抜き)は1,500〜2,100円と本コレクション(中心価格1,300円)より2〜5割ほど高め。ストックホルム、米LA、東京の3都市で販売し、日本では、東京・原宿の旗艦店で9月1〜9日の期間限定でポップアップショップをオープンした。




――新ラインのデザイナーに起用されたきっかけは?

 もともと「ハッピー ソックス」のファンだったの。たまたまヴィクトール(ハッピーソックスの創業者でクリエイティブ・ディレクターのヴィクトール・テル氏)のメールアドレスを知ることができ、「ハッピー ソックス」のデザインをやってみたいとメールで直談判してみたの。それから1年半、返信はまったくなくて。でも、ちょうどヒステリアのプロジェクトがスタートした頃、ヴィクトールから突然連絡があって、デザインをやってみないかって声をかけてくれたの。


――テキスタイル・デザイナーとして活動してきたが、ソックスをデザインする上での発見や苦心した点は?

 まずテキスタイルとソックスでは、面積がまったく違う。靴下は、限られた面積の中でデザインを完結させなければならず、色の配置や織り方などの捉え方もテキスタイル・デザインとは全く違っていた。その点においては、とてもチャレンジングなことだった。

 でも、デザイン上のルールやバウンダリー(境界線)がなかったのは、とても楽しかった。ヴィクトールは、クリエイティブ面でのジャッジメントを任せてくれたので、自分がやってみたいことを最大限に実現できたと思う。


新ラインの商品にはすべて、KarenやLilyなど女性の名前が付けられている。



――「ヒステリア」は大人の女性に向けたライン。


 心がけたのは、ガーリッシュになりすぎないこと。大人の女性たちが取り入れやすいよう、個性を出しつつも、スタイリングの邪魔にならないようなデザインに仕上げている。




――日本の市場でも大人の女性がソックスをスタイリングに取り入れることが増えている。
 ファビュラス(素晴らしい)なことだと思う。ファッションを楽しむことに年齢は関係ないし、それぞれの個性を生かしたスタイリングを楽しむことが大切だと思う。ヒステリアはまさにそういう女性たちに向けたラインだから。


――今後のビジョンは?

 ヒステリアを世界に広めること。ゆくゆくは、ヒステリアの単独店舗やフラッグシップストアをオープンさせたい。若いクリエイターや、強い影響力を持つクリエイティブな女性たちと、色々な形でコラボレーションすることも夢の1つ。




新ラインをイメージしたディスプレイが施されている原宿店


ポーラ・マソ(Paula Maso):ベネズエラ出身のプリント・パターンデザイナー。2011年に英ロンドンカレッジオブファッションを卒業後、ウィメンズウエアブランドのテキスタイルデザイナーとして活動。2016年にHappy Socks社に入り、新ラインのヘッドデザイナー兼「ハッピー ソックス」のコンセプトデザイナーとして活動している。http://paulamaso.com/



【CEOに聞く】IT×メイドインジャパンで急成長 カスタムオーダーシャツ「オリジナル スティッチ」の販売戦略
  2017/08/28 08:00 | インタビュー

ジン・コーCEO



 オンライン上で自分好みのシャツを注文・製作できるサービス「オリジナル スティッチ(Original Stitch)」を開発・運営する米サンフランシスコのファッション系ITベンチャー、オリジナル社(ジン・コーCEO)が新サービスを相次ぎ投入している。400種類以上の生地ラインナップをはじめ、細かいデザイン設定や人工知能を用いた高精度のサイズ測定、日本製の品質の高さなどを強みに、現在前年比250%の売り上げ伸び率を維持している同社。3月には、オーダーシステムのプラットフォームをアパレル企業や百貨店を中心とする小売り店向けに発売。加えて、日本国内ワイシャツ製造売上高1位の山喜(大阪市)とこのほど提携し、生産基盤も整えた。オンライン上でカスタムメイドシャツのオーダーシャツを販売する競合他社が増えるなか、どこに勝機を見るのか。ジン・コーCEOに聞いた。


【関連記事】
“すべてのクローゼットにカスタマイズシャツを” 米オリジナル社がオーダーシャツ製作・販売システムを他社に提供


――今回の提携によって「オリジナル スティッチ」がパートナーシップを持つ国内工場は3拠点(フレックスジャパンの長野・熊本工場、山喜の信州工場)となった。今回、山喜をパートナーに選んだ理由は?

 ブランドの急成長に伴い、生産キャパシティー拡大の必要性を感じ、国内新規先となる提携工場を探していた。山喜はカスタムシャツメーカーの国内トップ企業として、優れたクラフトマンシップ、豊富な経験、長い歴史と信頼のすべてを兼ね備えている。日本のシャツ製造におけるリーディングカンパニーと提携を組むことで、私たちの先進的なオンラインプラットフォームを通じた多くのオーダーを、彼らが持つ複数の工場から世界中のユーザーに届けることができると考えた。

 また、山喜は生産工程の新技術開発をけん引する存在でもある。彼らが持つ先進技術を駆使することによって、日本製の質を落とすことなく、高品質なカスタムシャツをより早く生産することが可能となる。今回の提携は、グローバル展開においても強力なコンビネーションを発揮すると考えている。


――2017年度は現在の4倍にあたる20万枚の販売を目指している。山喜との提携で、生産量はどれくらい増えるか?提携のメリットはほかにもあるか?

 現行のフレックスジャパン工場では1日300枚のカスタムシャツを生産しているが、山喜との提携によって、10〜20%(MOM※)生産量が増えると予測している。

 また、彼らが持つ先進技術を駆使することにより、日本製の質を落とすことなく、高品質なカスタムシャツをより早く生産することが可能となる。

※MOM:製造オペレーション管理



日本の工場での製造工程を紹介する映像を製作。「丁寧にものづくりを行う日本の工場のスピリットは、私たちの事業成長になくてはならない存在」と語るコウCEO。日本の工場との提携により、メイドインジャパン市場の拡大も目指す。



――現在カスタムオーダーシャツを販売する企業が増えている。「オリジナル スティッチ」の強みは、受注生産による最小限の生産で豊富な選択肢に対応する“マス・カスタマイズ”にあると思われるが、改めて「オリジナル スティッチ」の独自性や強みについて教えてほしい。

 まずは品質と価格。メイドインジャパンのカスタムシャツが業界最安値の5,500円から購入できること。次にフィット感。国内アパレルEC業界の平均返品率が約18〜20%であるのに対し、「オリジナル スティッチ」の返品率は4%と低い。96%のお客様は最初のオーダーで満足のいくフィット感を実現している。もし、最初のオーダーのサイズ感が違う場合、新しいシャツを無料で差し上げるという保証も行っている。

 簡単に利用できることも大きな利点だ。お店に行き、人と会話をする必要はない。オンライン上で最短5分で注文できる。 リピート率が高いことも当ブランドの特長で、毎月の売り上げの68%はリピーターによるものだ。満足度が高いという数値実績も出ており、日本では90%以上という高いお客様満足度を誇っている。

 素材のバリエーションは400種類以上と業界一。 細かいデザイン設定や、精度高いのサイズ測定を加えると、日本製の品質の高さなどを強みに、10億通りのデザインが可能だ。「オリジナル スティッチ」のシャツを着れば、"オリジナルな"人物になれるということ。


自社開発の人工知能(AI)「ボディグラム(Bodygram)」によって精巧な自動採寸を実現した自社開発の技術「サイジングアプリケーション」。A4サイズの紙と手持ちのシャツを併せて撮影すると、そのシャツのサイズを自動的に割り出してくれる



――3月に「オリジナル スティッチ カスタマイズ・プラットフォーム」をスタートした。「オリジナル スティッチ」のオーダーシステムのプラットフォームをアパレル企業や百貨店を中心とする小売り店向けに提供するものだが、各社の反応や利用状況は?

 このサービスを開始してから、現時点で20の有力ブランドと、店舗からのお問い合わせを頂いた。開始時期についてはまだ発表できないが、今のところ3つのブランドやパートナーと密に動いている。初年度は5社との提携を目標としている。


――10月に手がけるサイトリニューアルのポイントは?

 リブランディングの基本的なポイントは、私たちのコアとなる価値観をブランドの発するメッセージに乗せ、ユーザーとの深い心のつながりを築いていくことにある。


――もしいま課題があるとすれば?

 顧客の獲得をよりスピーディーに行うこと。”すべてのクローゼットにカスタムシャツを”というブランドミッションを実現するために、多岐にわたるマーケティングチャンネルや戦略を活用し、迅速な新規顧客の獲得を目指す。


■「オリジナル スティッチ」
http://dev-originalstitch.com

■オリジナル スティッチ カスタマイズ・プラットフォーム
http://dev-originalstitch.com/platform/

(AW編集部)
【インタビュー】香港ファッションを動かすデザイナーたち<4> ラリー・チョン&イ・チャン「ヘヴン プリーズ+(HEAVEN PLEASE+)」
  2017/08/09 17:00 | インタビュー
 香港では近年、地元ファッションデザイナーたちの活動を支援するプロジェクトが続々と立ち上がっている。“ファッション都市・香港”を掲げた国際トレードショー「第1回センターステージ」が2016年9月にスタート。また、工場地帯と知られる九龍湾には、若手デザイナーの育成・創業支援を行うためのインキュベーション施設「DIP(Design Incubation Programme)」を今年4月にオープンした。こうした動きの背景にあるのが、香港政府の後押し。香港政府は2016/17年度から3カ年で5億HKドルをファッション産業に投資することを発表。クリエーション振興を支えることによって、ファッション産業全体の経済活性化につなげる狙いがある。

 この取り組みに先駆け2015年に始動したのが、「ファッション ホンコン(Fashion Hong Kong)」だ。デザイナーたちのグローバルな活躍を目指し、香港貿易発展局が海外でのプロモーションやイベントを実施するプラットフォームで、香港の気鋭デザイナーたちが、台湾やNY、コペンハーゲンなどのファッション都市でコレクションを披露。日本でもジャパンファッションウィーク東京の公式スケジュールとして、2015年から毎年ランウェイショーやショールーム、ポップアップショップなどを開いている。

 豊富なチャンスを追い風に、香港のクリエーションはいま、どのような広がりを見せているのか。今年10月に東京で開かれる「ファッション ホンコン」への参加を予定している4組のデザイナーのもとを訪ねた。

■情報
「ファッション ホンコン」に参加する4組は、10月1〜31日の1カ月間、「H3O TOKYO」でショールーム展示会も行う予定。



ラリー・チョン&イ・チャン「ヘヴン プリーズ+(HEAVEN PLEASE+)」


ラリー・チョン(左)とイ・チャン


 メンズウエアのデザイナーだったラリー・チョンと女性誌エディター出身のイ・チャンの2人が手がける「ヘヴン プリーズ+」。ブランド立ち上げのきっかけは、2012年の世界終末論だった。「2人で長い旅に出た後、香港に戻ってビンテージのセレクトショップをやりたいと考えていた。でも、もし本当に世界が終わるなら、自分たちにしかできないことをやろうと決めた」(チャン)。2012年12月にスタートしたブランドの名前には、“世界の終わり”を前に、天国での楽しい世界を願う2人の思いを込めている。


 手描きのイラストやアシンメトリーなラッフルを用いたインパクトのあるデザインやフォルム。ブランドの由来と同様、服づくりも、文学や音楽、絵画などからインスピレーションを得たコンセプチュアルなアプローチが多い。


 「ブランドを続けるなかで、コマーシャルラインとのバランスも取れてきたが、やはりショーピースでブランドの世界観を感じてほしい。ショーピースを実際に手に取り、着てもらうこと。今の私たちのチャレンジの1つでもある」(チョン)。「私たちの服は、見た目のインパクトは強いけど、着ている人のスタイルに自然と馴染む。チムサーチョイを歩いていたとき、コレクションラインのアウター(写真下・中段左)を着た女性を実際に見かけ、涙が出るほど嬉しかった(笑)」(チャン)。





近年は、ウォン・カーウァイ監督の1995年映画「恋する惑星」を題材にした「カリフォルニア・ドリーミン」(2016春夏/写真上段)や、チャンが19歳のときに執筆した恋愛小説「MaLan <馬藍>」、蝶(butterfly)の美しさ(beautiful)を造語で表現した「beautifly」(2016秋冬/写真下中段)などをテーマに発表。2017春夏は「THE LOST EXPLORER」(写真下段)がテーマ。ルックブックでは、旧国際空港など香港の文化や歴史に焦点を当てている



 東京でのショーを皮切りに、海外でのプロモーションに再び力を入れる。「パリやベルギー、韓国などのトレードショーに参加したことはあるが、当時は香港での仕事が軌道に乗り始めた頃だった。香港でのビジネスが順調に進んでいる今、日本のほか、ニューヨークやパリ、ロンドンでもプロモーションしていきたい」(チャン)と意欲を見せる。


 若手ブランドをけん引する存在として、香港のファッションシーンをどう見ているか。「ヴィヴィアン・タムらのおかげでドレスファッションの認知が広がった一方、カジュアルウエアの盛り上がりはまだまだだった。だが今は、カジュアルウエアを含め、クリエーションの層が広がっている。特に80〜90年代生まれのデザイナーたちを中心に、国際感覚を持ち合わせた優れたデザイナーたちが台頭していると感じる」(チャン)。


 今回、香港のデザイナーとともに、ショーを行う。「香港の文化や歴史を大切にし、コレクションを通じて、それを伝えること。これは、香港のデザイナーだからこそできることだし、責任でもあると感じている」(チャン)と語る。そして、「まずは、ショーを見に来てくれた方々の心を動かすこと。デザイナーとしては、それが最も大切だと感じている」(チョン)と語った。



◆デザイナーと香港を知るためのQ&A

―デザインのインスピレーションになるものは?
 香港出身の詩人シム・ラウ。彼の詩はいつもインスピレーションを与えてくれる。アートは記憶の中に宿るもの、そのために作るものだと考えている。


―今最もおすすめのエリアやお店は?
 コーズウェイベイにある私たちのお店「HEAVEN PLEASE+ Causeway Bay」。お店に来てもらえば、ファッションの新たな楽しみ方やライフスタイルを発見できるはず。


国内外の気鋭ブランドが並ぶコーズウェイベイのファッションウォーク内にあるショップ。
尖沙咀店とは異なり、店舗内にはテーブルや椅子も用意。
読書やお茶を楽しんだり、ゆったりとした時間を過ごすことができる。



―1人で過ごすのにおすすめの場所は?
 九龍島・油麻地エリアにある映画館「ブロードウェイ・シネマテーク(Broadway Cinematheque)」。映画の上映だけでなく、オルタナティブな書籍やDVD、音楽も揃っていて、デザイナーにとっては宝物を発掘するような場所。


―友人と過ごすのにおすすめの場所は?
 ランタオ島にある香港ディズニー・パークに隣接するインスピレーション・レイク。友人とピクニックをしたり、ゆっくり過ごすのにはぴったり。


―香港の最も美味しいローカルフードは?お店の名前は?
 菠蘿包(パイナップルパン)。まさにパイナップルのような見た目をしているのだけど、香港では知らない人はいないといっていいほど代表的なローカル・フード。旺角(モンコック)にある「金華冰廳(Kam Wah Cafe)」の菠蘿包がおすすめ。ぜひ試してみて。


―香港の美しい景色といえば?
 サイクリングコースがある大美督(タイメイトック)。静けさとともに、香港の美しい自然を楽しめるから。


―香港に住んでいるメリット&デメリットは?
 いつも混雑していて、パブリックアートのスペースも限られている。でも多くの人がいるからこそ、そこに多くのストーリーが生まれ、クリエーションのためのインスピレーションを得ることができるのだと思う。


ルックブックはシーズンコンセプトに沿って、アートブックのような作りこみ
右は、イ・チャンが19歳の時に執筆した「MaLan <馬藍>」



「HEAVEN PLEASE+」
 http://heavenplease.com

【インタビュー】香港ファッションを動かすデザイナーたち<3> ポーリー・ホー「ルーム ループ(LOOM LOOP)」
  2017/08/09 10:40 | インタビュー
 香港では近年、地元ファッションデザイナーたちの活動を支援するプロジェクトが続々と立ち上がっている。“ファッション都市・香港”を掲げた国際トレードショー「第1回センターステージ」が2016年9月にスタート。また、工場地帯と知られる九龍湾には、若手デザイナーの育成・創業支援を行うためのインキュベーション施設「DIP(Design Incubation Programme)」を今年4月にオープンした。こうした動きの背景にあるのが、香港政府の後押し。香港政府は2016/17年度から3カ年で5億HKドルをファッション産業に投資することを発表。クリエーション振興を支えることによって、ファッション産業全体の経済活性化につなげる狙いがある。


 この取り組みに先駆け2015年に始動したのが、「ファッション ホンコン(Fashion Hong Kong)」だ。デザイナーたちのグローバルな活躍を目指し、香港貿易発展局が海外でのプロモーションやイベントを実施するプラットフォームで、香港の気鋭デザイナーたちが、台湾やNY、コペンハーゲンなどのファッション都市でコレクションを披露。日本でもジャパンファッションウィーク東京の公式スケジュールとして、2015年から毎年ランウェイショーやショールーム、ポップアップショップなどを開いている。


 豊富なチャンスを追い風に、香港のクリエーションはいま、どのような広がりを見せているのか。今年10月に東京で開かれる「ファッション ホンコン」への参加を予定している4組のデザイナーのもとを訪ねた。


■情報 「ファッション ホンコン」に参加する4組は、10月1〜31日の1カ月間、「H3O TOKYO」でショールーム展示会も行う予定。


ポーリー・ホー「ルーム ループ(LOOM LOOP)」



 ポーリー・ホーがデザインするウィメンズブランド「ルーム ループ」は唯一、東京で行われる「ファッションホンコン」に2015年から毎年参加している。



 東京でのショーについて「プレス、バイヤーからよい反応をいただいていたが、ビジネスにつながってきたのは2年目から」とホー。昨年10月のショー開催後には、東京千代田区のモード&ギャラリー麹町コレクションで約2週間ポップアップイベントを実施。また今年5月には、アッシュ・ペー・フランスによるセレクト業態デスティネーショントーキョー(ルミネエスト)やラフォーレ原宿で開かれた、香港の若手ブランドを集めた期間限定ショップに参加。いずれも好調なセールスを記録した。「バイヤーやフォトグラファーとの縁から仕事が生まれることも。東京でのネットワークが広がってきたのも嬉しい」と語る。





「LOOM LOOP」2017春夏コレクション




 オリエンタルでひと癖あるプリント柄を、エッジの効いたデザインで見せるのが「ルーム ループ」の魅力。それとともに、ブランドを語るのに欠かせない取り組みの1つが、伝統工芸とのコラボレーションだ。珠江デルタで300年以上の歴史を持つ広東シルクをドレスに使用したり、チャイナドレスなどにみられる飾り結びをつなげ、ロングジレやバッグのパーツとして取り入れるなど、手作業で丁寧に作られる技法を積極的に採用し、モダンなスタイルに昇華させていく。




紫の発色が美しい広東シルクのドレス。
泥を主原料とした天然染料で染めた独特のムラも特徴



飾り結びをモチーフにしたバッグ(奥)も人気



 「日本の着物に対する考え方がとても好き。ものづくりにストーリー性があり、歴史あるものを大切にする姿勢を感じるから。私も中国の伝統を伝承していくことに使命感を感じている」という。



 10月に東京で3度目のショーを行う。「新コレクションは、春が訪れ、新しい生命の息吹を感じさせる中国の旧暦からヒントを得ている」と語るホー。「東京では、信頼関係を長く築いていけるような取引先と出会いたい」と加えた。






◆デザイナーと香港を知るためのQ&A

―仲のいいデザイナーやクリエイターはいますか?
 2年前にコラボレーションした香港の有名な陶芸家ホン・ワー・ロー氏。彼が、「LOOM LOOP」2015春夏のコレクション・テーマ「Goldfish(金魚)」に合わせて作品を製作し、それを私たちのショップで1カ月ほど展示したのだけど、彼はその後、この作品をさらに発展させて、国際的なコンペティションで受賞した。また、台湾の大型書店チェーン「誠品書店」の企画として、台湾で中国式カリグラフィー・アーティストとして活動するトン・ヤンツェ氏とのコラボレーションも決まった。彼の作品にインスピレーションを受けたカプセルコレクションを10月半ばから11月末まで台湾で展示する予定。お互いの手法でコラボレーションすることは、とても面白いしチャレンジングなことでもある。今後もこうした取り組みには喜んで参加したい。



―今最もおすすめのエリアやお店は?
 上環(ションワン)にある太平山街は、地元香港のデザイナーや個人経営の素敵なお店があるからおすすめ。静かなエリアだし、ゆっくり散策するのにもぴったりだと思う。行くたびに面白いお店を発見できるのも嬉しい。古いものと新しいもの、西洋と東洋の建物が混在する街並みは、ほかにはない雰囲気。






―1人で過ごすのにおすすめの場所は?
 ヨガをやったりジムでジョギングをしたりするのが好き。スポーツをやっていい汗をかけば、周りの目は気にならないし、自分自身の呼吸とエクササイズだけに集中できる。私にとっては、これが1人でいるときの理想的な過ごし方だと思う。



―友人と過ごすのにおすすめの場所は?
 私の自宅が、友人たちと集まるにはベストな場所。外出する必要はなく、ただ家で過ごすの。シンプルでヘルシーな料理を作ったり、ワインを飲みながら、お喋りをしたり音楽を聴いて過ごす。とてもリラックスできるし、外の喧噪を気にすることもない。何よりレストランで周りの人から苦情を言われることもないから(笑)。



―香港の最も美味しいローカルフードは?お店の名前は?
 私が1番好きなのは、魚団子入り麺。安いのに美味しいのがいい。よく知られているローカルフードだから、香港の色々なお店のメニューに入っているけど、私のベストは、大埔(タイポ―)地区にある「蔡潤記」というお店にあるもの。



―香港の美しい景色といえば?
 中環(セントラル)と尖沙咀(チムサーチョイ)を行き来するスターフェリーに乗ると、香港の最も美しい風景が見られるし、すごく楽しい。小さい時はいつも乗っていたけど、料金もリーズナブル(大人片道2HKドル〜)だし、フェリーから見える景色は最高。ヴィクトリア湾からの自然な風や匂いを感じることもできるから、ぜひ乗ってみて。





―香港に住んでいるメリット&デメリットは?
 香港はメトロポリタンな街だから、世界のあらゆるものが手に入る。イタリア料理から日本料理、インド料理まで食べられるし、お店も、規模の小さいものから専門店までさまざま揃っている。そして、世界有数の金融都市だから、何か事業を始めるには最適な場所だと思う。ただその反面、ものごとの流れが速すぎて、プレッシャーを感じることもある。特に私たちのようなデザイナーにとっては、プレッシャーを感じやすい環境かもしれない。好きなものや、やりたいことだけをやることは、難しい。市場のニーズに応えていくことも必要なのだと思う。



■「LOOM LOOP」
 http://www.loom-loop.com/

【インタビュー】香港ファッションを動かすデザイナーたち<2> ハリソン・ウォン「ハリソンウォン(HARRISONWONG)」
  2017/08/09 10:30 | インタビュー
 香港では近年、地元ファッションデザイナーたちの活動を支援するプロジェクトが続々と立ち上がっている。“ファッション都市・香港”を掲げた国際トレードショー「第1回センターステージ」が2016年9月にスタート。また、工場地帯と知られる九龍湾には、若手デザイナーの育成・創業支援を行うためのインキュベーション施設「DIP(Design Incubation Programme)」を今年4月にオープンした。こうした動きの背景にあるのが、香港政府の後押し。香港政府は2016/17年度から3カ年で5億HKドルをファッション産業に投資することを発表。クリエーション振興を支えることによって、ファッション産業全体の経済活性化につなげる狙いがある。

 この取り組みに先駆け2015年に始動したのが、「ファッション ホンコン(Fashion Hong Kong)」だ。デザイナーたちのグローバルな活躍を目指し、香港貿易発展局が海外でのプロモーションやイベントを実施するプラットフォームで、香港の気鋭デザイナーたちが、台湾やNY、コペンハーゲンなどのファッション都市でコレクションを披露。日本でもジャパンファッションウィーク東京の公式スケジュールとして、2015年から毎年ランウェイショーやショールーム、ポップアップショップなどを開いている。

 豊富なチャンスを追い風に、香港のクリエーションはいま、どのような広がりを見せているのか。今年10月に東京で開かれる「ファッション ホンコン」への参加を予定している4組のデザイナーのもとを訪ねた。

■情報
「ファッション ホンコン」に参加する4組は、10月1〜31日の1カ月間、「H3O TOKYO」でショールーム展示会も行う予定。



ハリソン・ウォン「ハリソンウォン(HARRISONWONG)」



 「ブラックは、ブランドを象徴する色。コレクションには欠かせない色なんだ」と話すハリソン・ウォンは、ファッション業界で20年近くのキャリアを持つベテランだ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションで修士号を取得したのち、欧州・アジアの各地でコレクションを発表。香港や中国のファッション企業でデザインディレクターを歴任し、2014年、満を辞して、自身の名前を冠した「ハリソンウォン」をスタートした。




「HARRISONWONG」メンズ2017春夏コレクション


 2017春夏は、ブランドの代名詞とも言えるブラックを軸に、バウハウス様式にインスパイアされたジオメトリックなプリント柄やパターンを採用。スポーツの素材やディテールで清涼感のあるスタイルを見せた。「モードでエッジを効かせているけれど、どこかにエレガントな要素を残している」とブランドのコンセプトについて説明する。


 現在、セントラル(中環)の商業施設PMQにメンズウエアの店舗を持つほか、チムサーチョイ(尖沙咀)のK11では、メンズ・ウィメンズの両ラインが揃う店舗と、ディフュージョンライン「ソン オブ ア キング(SON OF A KING)」の単独ショップをそれぞれ運営。今月8月には、同エリアにある香港最大級のショッピング施設ハーバー・シティにも新店舗をオープンした(月末にグランドオープン)。


「PMQ」に入るメンズの単独ショップ。内装もブラックで統一。


 セレブリティーが各メディアで着用することも多く、香港発ブランドとしての地位を着実に積み上げている。最近では、K11を中心に中国本土の男性客による購買が伸びており、「これからメンズウエアの需要がメンズが伸びる市場。可能性を感じている」という。

 東京では、ファッションホンコンのイベントを通じて販売を行ったことはあるが、ランウェイショーを披露するのは初めて。「アートが好きなので、最新コレクションもアートにインスピレーションを得たものになると思う。成熟した東京のマーケットで、何ができるか試してみたい。さまざまな方と出会えるのを楽しみにしている」という。


◆デザイナーと香港を知るためのQ&A

―仲のいいデザイナーやクリエイターは?
 ファッションデザイナーとして、仲良くしているクリエイターは多い。日頃から一緒に仕事をしているフォトグラファーから、ファッションショーの成功には欠かせないディレクターや演出家までさまざま。デザインをすることは孤独な作業だが、ファッションを世に送り出すというのは、クリエイターたちを1つの方向にまとめあげなければならない、とてもコラボレーティブな作業だ。


―デザインのインスピレーションになるものは?
 アートの世界で今何が起きているかを知るため、ギャラリーや美術館によく行く。ほかのアーティストやアートのムーブメントからインスピレーションを得ることもある。私のコレクションが、ビジュアルアートの影響を受けていることがわかると思う。


―今最もおすすめのエリアやお店は?
 商業施設の「PMQ」。(既婚者の警察官向けの宿舎を)復元し、再利用したヘリテージの1つだが、地元香港のデザイナーたちのお店をあらゆるジャンルから幅広くセレクトしている。エキシビジョンやイベントも常に開催しているから、おすすめだ。



―1人で過ごすのにおすすめの場所は?
 香港といえば、ショッピングやグルメで有名だが、1人旅にも最適な街だ。ショッピング漬けというわけでなければ、銅鑼湾(コーズウェイベイ)から上環(ションワン)まで、ぜひ香港トラム(通称:Ding Ding)に乗ってみてほしい。お金をかけずに普通とは違う香港島を楽しみたいなら、賢い選択だと思う。


―友人と過ごすのにおすすめの場所は?
 セントラルからソーホーの間を通るミッドレベル・エスカレーター。エスカレーター沿いのストリートには、大型のショッピングモールから小さなアートギャラリー、ブティックまでが軒を連ねている。途中のランカイフォンで降りれば、ナイトライフやクラビングを楽しめる。



―香港の最も美味しいローカルフードは?お店の名前は?
 私のベスト・ローカル・フードは、雲呑(ワンタン)麺。香港以外で美味しい雲呑麺は見つからないくらい!雲呑麺が食べられるお店はたくさんあるけど、どこも美味しいし値段も高くない。「Mak's Noodle」が、数あるお気に入りの中でも好きなお店の1つ。


―香港の美しい景色といえば?
 ザ・ピークから見る景色は最高だ。世界で一番の夜景が楽しめる。


―香港に住んでいるメリット&デメリットは?
 香港は、ショッピングをするにも、食事をするにも、移動するにも、そして、ビジネスをする場所としても、便利な場所。だけど、生活していくには、とても高くつく。特に、家賃相場は世界で一番の高さだ。



「HARRISONWONG」
 http://www.harrisonwong.com/


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