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【インタビュー】香港ファッションを動かすデザイナーたち<4> ラリー・チョン&イ・チャン「ヘヴン プリーズ+(HEAVEN PLEASE+)」
  2017/08/09 17:00 | インタビュー
 香港では近年、地元ファッションデザイナーたちの活動を支援するプロジェクトが続々と立ち上がっている。“ファッション都市・香港”を掲げた国際トレードショー「第1回センターステージ」が2016年9月にスタート。また、工場地帯と知られる九龍湾には、若手デザイナーの育成・創業支援を行うためのインキュベーション施設「DIP(Design Incubation Programme)」を今年4月にオープンした。こうした動きの背景にあるのが、香港政府の後押し。香港政府は2016/17年度から3カ年で5億HKドルをファッション産業に投資することを発表。クリエーション振興を支えることによって、ファッション産業全体の経済活性化につなげる狙いがある。

 この取り組みに先駆け2015年に始動したのが、「ファッション ホンコン(Fashion Hong Kong)」だ。デザイナーたちのグローバルな活躍を目指し、香港貿易発展局が海外でのプロモーションやイベントを実施するプラットフォームで、香港の気鋭デザイナーたちが、台湾やNY、コペンハーゲンなどのファッション都市でコレクションを披露。日本でもジャパンファッションウィーク東京の公式スケジュールとして、2015年から毎年ランウェイショーやショールーム、ポップアップショップなどを開いている。

 豊富なチャンスを追い風に、香港のクリエーションはいま、どのような広がりを見せているのか。今年10月に東京で開かれる「ファッション ホンコン」への参加を予定している4組のデザイナーのもとを訪ねた。

■情報
「ファッション ホンコン」に参加する4組は、10月1〜31日の1カ月間、「H3O TOKYO」でショールーム展示会も行う予定。



ラリー・チョン&イ・チャン「ヘヴン プリーズ+(HEAVEN PLEASE+)」


ラリー・チョン(左)とイ・チャン


 メンズウエアのデザイナーだったラリー・チョンと女性誌エディター出身のイ・チャンの2人が手がける「ヘヴン プリーズ+」。ブランド立ち上げのきっかけは、2012年の世界終末論だった。「2人で長い旅に出た後、香港に戻ってビンテージのセレクトショップをやりたいと考えていた。でも、もし本当に世界が終わるなら、自分たちにしかできないことをやろうと決めた」(チャン)。2012年12月にスタートしたブランドの名前には、“世界の終わり”を前に、天国での楽しい世界を願う2人の思いを込めている。


 手描きのイラストやアシンメトリーなラッフルを用いたインパクトのあるデザインやフォルム。ブランドの由来と同様、服づくりも、文学や音楽、絵画などからインスピレーションを得たコンセプチュアルなアプローチが多い。


 「ブランドを続けるなかで、コマーシャルラインとのバランスも取れてきたが、やはりショーピースでブランドの世界観を感じてほしい。ショーピースを実際に手に取り、着てもらうこと。今の私たちのチャレンジの1つでもある」(チョン)。「私たちの服は、見た目のインパクトは強いけど、着ている人のスタイルに自然と馴染む。チムサーチョイを歩いていたとき、コレクションラインのアウター(写真下・中段左)を着た女性を実際に見かけ、涙が出るほど嬉しかった(笑)」(チャン)。





近年は、ウォン・カーウァイ監督の1995年映画「恋する惑星」を題材にした「カリフォルニア・ドリーミン」(2016春夏/写真上段)や、チャンが19歳のときに執筆した恋愛小説「MaLan <馬藍>」、蝶(butterfly)の美しさ(beautiful)を造語で表現した「beautifly」(2016秋冬/写真下中段)などをテーマに発表。2017春夏は「THE LOST EXPLORER」(写真下段)がテーマ。ルックブックでは、旧国際空港など香港の文化や歴史に焦点を当てている



 東京でのショーを皮切りに、海外でのプロモーションに再び力を入れる。「パリやベルギー、韓国などのトレードショーに参加したことはあるが、当時は香港での仕事が軌道に乗り始めた頃だった。香港でのビジネスが順調に進んでいる今、日本のほか、ニューヨークやパリ、ロンドンでもプロモーションしていきたい」(チャン)と意欲を見せる。


 若手ブランドをけん引する存在として、香港のファッションシーンをどう見ているか。「ヴィヴィアン・タムらのおかげでドレスファッションの認知が広がった一方、カジュアルウエアの盛り上がりはまだまだだった。だが今は、カジュアルウエアを含め、クリエーションの層が広がっている。特に80〜90年代生まれのデザイナーたちを中心に、国際感覚を持ち合わせた優れたデザイナーたちが台頭していると感じる」(チャン)。


 今回、香港のデザイナーとともに、ショーを行う。「香港の文化や歴史を大切にし、コレクションを通じて、それを伝えること。これは、香港のデザイナーだからこそできることだし、責任でもあると感じている」(チャン)と語る。そして、「まずは、ショーを見に来てくれた方々の心を動かすこと。デザイナーとしては、それが最も大切だと感じている」(チョン)と語った。



◆デザイナーと香港を知るためのQ&A

―デザインのインスピレーションになるものは?
 香港出身の詩人シム・ラウ。彼の詩はいつもインスピレーションを与えてくれる。アートは記憶の中に宿るもの、そのために作るものだと考えている。


―今最もおすすめのエリアやお店は?
 コーズウェイベイにある私たちのお店「HEAVEN PLEASE+ Causeway Bay」。お店に来てもらえば、ファッションの新たな楽しみ方やライフスタイルを発見できるはず。


国内外の気鋭ブランドが並ぶコーズウェイベイのファッションウォーク内にあるショップ。
尖沙咀店とは異なり、店舗内にはテーブルや椅子も用意。
読書やお茶を楽しんだり、ゆったりとした時間を過ごすことができる。



―1人で過ごすのにおすすめの場所は?
 九龍島・油麻地エリアにある映画館「ブロードウェイ・シネマテーク(Broadway Cinematheque)」。映画の上映だけでなく、オルタナティブな書籍やDVD、音楽も揃っていて、デザイナーにとっては宝物を発掘するような場所。


―友人と過ごすのにおすすめの場所は?
 ランタオ島にある香港ディズニー・パークに隣接するインスピレーション・レイク。友人とピクニックをしたり、ゆっくり過ごすのにはぴったり。


―香港の最も美味しいローカルフードは?お店の名前は?
 菠蘿包(パイナップルパン)。まさにパイナップルのような見た目をしているのだけど、香港では知らない人はいないといっていいほど代表的なローカル・フード。旺角(モンコック)にある「金華冰廳(Kam Wah Cafe)」の菠蘿包がおすすめ。ぜひ試してみて。


―香港の美しい景色といえば?
 サイクリングコースがある大美督(タイメイトック)。静けさとともに、香港の美しい自然を楽しめるから。


―香港に住んでいるメリット&デメリットは?
 いつも混雑していて、パブリックアートのスペースも限られている。でも多くの人がいるからこそ、そこに多くのストーリーが生まれ、クリエーションのためのインスピレーションを得ることができるのだと思う。


ルックブックはシーズンコンセプトに沿って、アートブックのような作りこみ
右は、イ・チャンが19歳の時に執筆した「MaLan <馬藍>」



「HEAVEN PLEASE+」
 http://heavenplease.com


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