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【マカオレポート2016】中国返還から17年 マカオがファッションデザイナー育成に力を入れる理由
  2016/10/26 22:30 | マカオレポート2016

3階建ての住居を改築「マカオファッションギャラリー」


 マカオ特別行政区(マカオ)では、1999年にポルトガルから中国に返還されて以来、政府が主導となり地元ファッションデザイナーを支援する動きが強まっている。有力デザイナーによるコレクションを紹介・販売する「マカオファッションギャラリー(Macao Fashion Galllery)」もその1つ。海外からの観光客やバイヤーを取り込んでおり、デザイナーたちの知名度アップやビジネス機会拡大のための重要な役割を担っている。


プロモーションと販売をバックアップ「マカオファッションギャラリー」

 「マカオファッションギャラリー」は、マカオ政府と民間組織による非営利組織・マカオ生産力及び科技轉移中心(CPTTM)とマカオ政府文化局が2012年にオープンした販売・イベントスペース。南欧ポルトガルの名残りを色濃く残し、世界遺産が数多く存在する旧市街ラザロ地区に位置する。クリーンながらどこかレトロなムードが漂う3階建てのスペースは、住宅地だったものを改築したのだという。



1階の販売スペース。店内ではバーチャルフィッティングもできる



 1階の販売スペースでは、マカオファッションデザイナー協会が選定したデザイナーたちのアイテムを並べる。春・夏・冬ごとにブランドを入れ替え(マカオは秋が非常に短いため)、常時8〜10ブランドを紹介している。現在は冬期限定ショップ(9月13日〜2017年1月1日)として、「MACON」「Nega.C」「AXOXYXOXS」「AURALO ARTE」「CLASSICO MODERNO」「DARE TO DREAM」「JADE.L」「ZICS」の計8ブランドを取り扱っている。


 「自身の店舗を持たないブランドにとって、このギャラリーはエンドユーザーとの接点を持てる貴重な場。オンラインストアを持っているブランドにとっては、サンプルを並べたショールームとしても機能している」(ギャラリーの運営スタッフでもあるCPTTMのJOVITAさん)。来場者は、ひと月に1,000〜2,000人。立地の狙い通り、海外からの観光客を中心に取り込んでいる、「多いのは日本人や韓国人の方々。日本では雑誌で紹介された影響も大きい」。業界向けのプロモーションも積極的に行っており、「2日後には、中国からの招待バイヤーも来る予定」(同)という。


現在開催中の「スタイル・エンカウンター・モーメント」8組のデザイナーによるサンプル製作品をそれぞれ2点ずつ展示している。CPTTM出身の「AXOXYXOXS」の(L・チョン&E・ウォン)や「Auralo Arte」(A・ロー&R・チョイ)の作品も。



 2〜3階のイベントスペースでも期間限定の企画展を打ち出し、多くの来場者をひきつけている。現在開催しているのは、「スタイル・エンカウンター・モーメント(Style・Encounter・Moment)」(10月7日〜2017年1月1日)。マカオ人デザイナーたちが賞金16万パタカ(約210万円)を競ってサンプル製作を行うコンテスト「Fashion Exhibition of the 3rd Subsidy Prgramme for Fashion Design and Sample Making」で勝ち抜いたファイナリスト8組の作品を展示するものだ。同コンテストは、マカオ政府文化局とCPTTMが2013年から開催しており、グランプリ受賞者は賞金が贈られるだけでなく、ビジネス機会が一気に広がるチャンスを手にする。過去には、CPTTMのネットワークを通し、舞台衣装製作など大型オファーを受けた受賞者もいる。


デザイナー育成をファッション産業振興の重点課題に



CPTTM内にある「ハウス・オブ・アパレル・テクノロジー」。海を望むマカオ半島南部に位置する



 実はこうした地元デザイナーを数多く輩出しているのも、CPTTMだ。2002年に設立されたCPTTM内の「ハウス・オブ・アパレル・テクノロジー」(HAT)は、マカオ唯一のファッション&クリエイティビティーのスペシャリスト養成機関。18カ月間のディプロマプログラムでは、デザインをはじめ、縫製やパターン、ヘアメイク、刺繍、プリントまで、ファッションを体系的に学ぶことができる。近年では、マカオにある聖ジョゼフ大学との共同学習プログラムや、中高校生向けコースも実施。技能五輪国際大会への参加など、クリエイティブ力・技術力の向上を全面的に支えている。


 マカオでは1970〜1980年代にかけ、香港資本のもと繊維産業が主力産業として栄えたが、廉価な労働力競争により、生産拠点が中国や東南アジアにシフト。製造業全体のシェアも低下した。繊維産業の縮小を食い止めようと、1999年後の中国返還後、マカオ政府がCPTTMとともに取り組んできたのがデザイナーの育成だ。


 孫家雄(Shuen Ka Hung)CPTTM理事長は、デザイナー育成の背景について、「マカオのファッション産業振興に必要なのは、ファッション文化の創造。小都市でしかもファッション業界に携わる人材が少ないマカオで業界を発展させることはたやすいことではない。しかし、クリエーションや文化の創造に人材の数は重要ではないと考えている」と説明。「デザイン、プロモーション、販売の3点に注力して地元デザイナーを継続支援していく」と強調した。


デザインや縫製、デジタルプリント、刺繍、ニット製作など服飾の制作全般が学べる



国内外のファッション関連書籍が読める図書室やセミナールームなども完備している


 2008年にはHATのインキュベーション型プログラム「MACONSEF」を開始した。ディプロマプログラムを終了した生徒の中から優秀な成績を収めた3人を毎年選出。生徒はCPTTMの支援を受けながらさらに2年間、マネジメントや海外での展示会参加などファッション業界でキャリアを築くための実践的なコースを受けられるというものだ。2015年7月の香港ファッションウィークでは、若手の代表格として活躍する「MACON」のジェーン・チャンや「Nega.C」のイザベラ・チョイとともに、ランウェイショーを披露した。


 さらに2012年にオープンした「マカオファッションギャラリー」で、マカオブランドのプロモーションと販売のサポートにも乗り出すなど、CPTTMとともに対外発信の強化に取り組むマカオ政府。今年で7年目を迎えた「マカオファッションフェスティバル2016」(2016年10月20〜22日)も海外バイヤーの来場数が過去最高を記録するなど、マカオ発ブランドへの関心が高まっており、継続的なプロモーションが着実に成果を見せ始めている。


「マカオファッションフェスティバル2016」では、「MACONSEF」在籍デザイナーによる作品が披露された




「マカオファッションギャラリー」前の路地では1カ月に1回ランウェイショーも開催



マカオファッションギャラリー
マカオ生産力及び科技轉移中心(CPTTM)


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