
週末に読んだ
『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』(冷泉彰彦著、日本経済新聞社)が面白かった。帯に「米大統領選が100倍面白くなる!」とあるとおり、オバマvs.マケインとその背景にある民主党vs.共和党の対立軸を整理するのに非常に役立つ。最近の米下院による金融安定化法の否決(その後、可決)と強く反対した国民世論も、この本を読んだ後だと、なるほどと納得できる。
民主党と共和党について私は恥ずかしながら、リベラルと保守、大きな政府と小さな政府、国際協調と単独行動主義、東海岸・西海岸のブルーステートと中部・南部のレッドステート――、というような漠然としたイメージしか持っていなかった。本書では民主党と共和党の対立軸の変遷と両党を支持する国民感情の違いなど、歴史を追って丁寧に説明してくれる。広大なアメリカでは、地理的・宗教的な背景によって民主党DNAと共和党DNAの2つの価値観が国民に深く根付いていることがよくわかる。大統領選は最高権力者を選ぶ手段であると同時に、アメリカを分断する価値観の戦いでもあるのだ。
この本でユニークなのは、映画作品を通じて民主党的カルチャーと共和党的カルチャーを解説していることである。ハリウッドはもともと民主党支持者が多い。だから日本人が連想するハリウッド映画は民主党カルチャーを反映したものとなりがちだが、それでも共和党カルチャーの映画もけっこうある。何が民主党カルチャーで共和党カルチャーなのか詳しくは本書を読んで欲しいが、本書のキーワードで言えば民主党カルチャーとは「純愛と和解」、共和党は「孤軍奮闘とほろ苦い人生」。最近で例えれば、テレビドラマだけれども「セックス・アンド・ザ・シティ」が民主党カルチャー、「デスパレートな妻たち」が共和党カルチャーだという解説は説得力がある。
両党の世界観は企業にも反映される。本書を読み進めていけば、民主党カルチャーを象徴するのがアップルで、共和党カルチャーを代表するのがウォルマートという指摘はよく理解できる。
ファッション企業はどうか。これは本書では取り上げられていないので、私の推測だけれども、高付加価値を訴求するビジネスモデルのファッション企業は、リベラル色が強いように思える。
(H)